• 栄養学専門誌『Nutrients』に掲載された新たな論文によると、タンパク質の摂取量を体重1kgあたり0.5g増やせば、加齢に伴う筋量の低下が防げる。
  • 鶏肉、脂肪の少ない牛肉、魚、豆腐、豆類、卵、ギリシャヨーグルト、カッテージチーズ、レンズ豆は、食生活に取り入れやすい高タンパクの食材。

これまでの研究により、タンパク質を十分に摂取すれば、加齢に伴う筋量低下を防げることが分かっている。でも、高齢者には、どのくらいのタンパク質が必要なの? そんな疑問について、ランナーズワールドからご紹介。

この謎の解明に乗り出したのは韓国の研究チーム。栄養学専門誌『Nutrients』によると、この12週間の研究では、70~85歳の男女96名が3つのグループに分けられた。

通常のタンパク質摂取量を申告したあと、1つ目のグループは体重1kgあたり0.8g(推奨栄養所要量)、2つ目のグループは体重1kgあたり1.2g、3つ目のグループは体重1kgあたり1.5gのタンパク質を毎日摂取。どのグループも、通常の運動を継続するよう指示された。

その結果、体重1kgあたりのタンパク質摂取量が0.54g増えるだけで、男性の筋量が著しく増加した。女性には同様の変化が見られなかったけれど、タンパク質の摂取量が増えると(プラスして運動を続けた場合は特に)女性の筋量が増すことを示す研究結果は数多く存在する。

また、研究チームの話では、同化抵抗性(タンパク質合成)の違いにより、高齢の女性が筋量を増やすには、高齢の男性よりもタンパク質を多く摂取する必要がある。

この研究論文によると、高齢の男性には、体重1kgあたりのタンパク質摂取量を0.5g増やすだけで大きな変化が現れた。でも、女性の場合、これだけでは不十分。

臨床栄養学専門誌『The American Journal of Clinical Nutrition』に掲載された小規模の研究結果は、高齢の女性の場合、タンパク質を推奨栄養所要量よりも30%ほど多く摂取してやっと、筋量の維持や増強が可能になることを示している。

また、豪グリフィス大学健康科学部運動スポーツ学科教授のベリンダ・ベック博士によると、日頃の運動で筋量を増やすのは、高齢期の筋力だけでなく可動域のためにも重要。

ベック博士が行った最近の研究では、ジャンプやランニングといった衝撃の強いエクササイズが、高齢女性の筋量と骨密度を改善することが分かった。高い筋量と骨密度は、高齢期の身体機能を維持する上で絶対不可欠。

「筋力や活動量が低下して可動域が狭くなるのは、加齢に伴う当然の結果と思われがちです。医療関係者の中にも、そう信じている人がいるくらいです」とベック博士。「でも、必ずしもそうである必要はありません。あなたがいま何歳でも、筋量と骨密度の改善にフォーカスすれば、必ず成果が現れます」

鶏肉、脂肪の少ない牛肉、魚、豆腐、豆類、卵、ギリシャヨーグルト、カッテージチーズ、レンズ豆には、筋量の低下を防ぐタンパク質が豊富に含まれている。この先もケガ知らずの体で元気に走りたいのなら、日常的に摂取しよう。

※この記事は、ランナーズワールドから翻訳されました。

Text: Elizabeth Millard Translation: Ai Igamoto