目的別・平凡なオートミールの栄養価を高める方法と食べ方
栄養補給のニーズを満たす組み合わせは多種多様。
ピーナッツバターとゼリーのように、ランナーと炭水化物の相性は良い。中でも、シンプルなオートミールは、炭水化物の補給にピッタリなオプションのひとつ。
炭水化物が体の主なエネルギー源であることは周知の事実。運動前に摂取すれば長距離ランやハードなトレーニングの支えになるし、運動後に摂取すれば不足分が補われ、疲労が早く回復する。
とはいえ、炭水化物ならどれも同じというわけではなく、特に優秀なのがオートミール。オートミールには食物繊維が豊富に含まれており、糖質が血液に吸収される速度を緩める働きがある。そのおかげで「ランニング中も、エネルギーが長時間に渡って効率的に供給されます」とスポーツ栄養士のケリー・ジョーンズは説明する。
水で調理したシンプルなオートミールは、軽い運動の30〜60分前にスナックとして食べるといい。運動後でも、もちろんOK。スポーツ栄養士のエイミー・グッドソンによると、運動後に摂取する炭水化物の90%は、次のワークアウトに必要なグリコーゲンの補充に使われる。なるべく45分以内に食べることで、リカバリーが早まるそう。
しかも、オートミールの食べ方は、空白のキャンバスに絵を描くようなもの。栄養上のニーズを満たしてくれる組み合わせは無限大。まずは専門家一押しの美味しくて栄養価の高い食べ方を試してみよう。その内容をランナーズワールドからご紹介。
オートミールのおいしい食べ方&レシピ15
栄養価の高いオートミールの作り方
ベース+タンパク質+良質な脂質+トッピング
オートミールの主役でもあるオーツ麦は、大きく3つに分類できる。調理時間が最も長く、少し噛み応えのあるスティールカットオーツ。調理時間が数分と最も短く、柔らかい食感のクイックオーツ。そして、調理時間と硬さが真ん中くらいのロールドオーツ。
タンパク質は筋肉の増強と回復に欠かせない栄養素で、オーツ麦にも幾らか含まれている。良質な脂質との組み合わせは、オートミールを食べ応えのある一品に仕上げてくれるだけでなく、心臓にも良い。また、フルーツや野菜、ソースにシロップ、スパイスなどを加えることで、風味や食感がプラスされ、栄養価も高くなる。自分のニーズやトレーニングの中身に合わせてトッピングをカスタマイズしてみよう。
目的に合ったオートミールの作り方
1.タンパク質を増やす場合
タンパク質を加えたオートミールは胃の中でゆっくり消化されるため、ランニング後の食事やスナックにピッタリ。運動後30~60分以内にタンパク質入りのオートミールを摂取して、リカバリーを加速させよう。
・水の代わりに1カップの牛乳または豆乳(無糖)を使う(これでタンパク質が7~8g増)。
・お好みのプロテインパウダーを1杯加え、好きな濃度になるまで水を足す。
・半熟卵、または目玉焼きをトッピングする(これでタンパク質が6g増)。
・スライスしたベーコンまたはハムを好きな大きさにカットして乗せる。
2.糖質を足す場合
調理済みのオートミール1カップには炭水化物が54g含まれているけれど、長距離ランやレースの前には、少し多めに摂取しておくといい。
・大きめのバナナを1本を刻んで入れる(これで炭水化物が30g増)。「ランナーに必要なカリウムや電解質も併せて取り込めますよ」とグッドソン。
・大さじ1杯のハチミツを加える(これで炭水化物が17g増)。「ハチミツの種類によってはGI値(グリセミック指数)が精製糖より低いため、血糖値の上昇を抑えつつ、素早くエネルギーが補給できます」とジョーンズは説明する(ハチミツのGI値は、加工プロセスやもとになった花の種類などによって変わる)。
・大さじ1杯のメープルシロップを加える。
3.食物繊維を減らしたい場合
オーツ麦にもともと含まれている食物繊維を減らすことはできないけれど、グッドソンが言うように、ラズベリーやブラックベリー、リンゴ、梨といった繊維質のフルーツを避ければ、お腹の調子が悪くなることもない。ジョーンズによれば、オーバーナイトオーツのレシピに頻出する繊維質のナッツやシード(チアシードやフラックスシードなど)も避けるべき。
4.糖類を減らす場合
風味の付いたオートミールとは違い、プレーン味のオートミールは添加糖を含まない。よって、糖類を減らしたいなら、オートミールを極度に甘くしかねない材料を制限すること。
砂糖やハチミツ、メープルシロップは言うまでもないけれど、非乳製品ミルク(パッケージに無糖と書いてあるもの以外は基本的に添加糖を含む)、人工的に甘くされたプロテインパウダーやドライフルーツ、ジャムやゼリーにも要注意。
甘さを出したいときは、シナモンやナツメグといったスパイスを加えるのがグッドソンのオススメ。趣向を変えて、醤油や刻んだ青ネギのトッピンングで風味を出してみるのもいい。
5.ヘルシーな脂質を加える場合
プロテイン同様、良質な脂質を加えることで、オートミールがより食べ応えのある一品に。ただし、脂質が多ければ多いほど消化に時間がかかるため、走っている最中に、お腹の調子が悪くなることもある。よって、以下のレシピはリカバリースナック用に取っておこう。
・必要なエネルギー量に応じて、大さじ1/2〜2杯のナッツバター(ピーナッツバターなど)を加える。
・アボカド1/4個をスライスし、ボウルにのせて醤油をかける。その上に卵を乗せてシラチャーソースをふりかける。
・ひとかけの有塩バターを溶かし入れ、味に深みを出す。
6.風味をプラスする場合
炭水化物、タンパク質、脂質、糖類の量を劇的に増やさなくても、オートミールに風味を付けることは可能。
・トーストした細切りココナッツをふりかける。
・スプーン1杯分の無糖カカオパウダーを加える。
・調理前にフライパンでオーツ麦を焼く。表面が茶色くなり、ナッツの香りが立つまで焼くと更に美味しい。
・シナモンとナツメグで風味を出す。
・アーモンドスライスを焼き、少量の塩をふる。
Text: Marygrace Taylor Translation: Ai Igamoto