「書く瞑想」とも呼ばれるジャーナリングは、自分に自信をつけて、神経質な思考を手放したいときの頼もしいツール。これまでの研究でもジャーナリングは、ストレスを減らし、不安な心を落ち着かせる効果的な方法であることが証明されている。

見た感じ、ジャーナリングをする人は2つのタイプに分かれている。書き始めたら一気に人生が好転したという人と、書いてはいるけれど効果が出なくて悩んでいる人。

いずれにせよ、頭の中の考えを取り出す方法は書く以外にもある。ジャーナリングをセルフケアの一環にしたくても、書くスピードが遅すぎて自分のインナーモノローグについていけない(あるいは単純に手が痛い)という人には、ボイスジャーナリングが向いているかも。イギリス版ウィメンズヘルスから見ていこう。

ボイスジャーナリングとは?

簡潔に言うと、紅茶を飲みながら、ボイスレコーダーを相手に深くて大事な話をしたり、ただ1日の出来事を話したりすること。親友と本音トークをするときの感覚に近いけれど、気まずい沈黙や、自分が話す番を待つ必要はない。

このボイスジャーナリング(別名オーディオジャーナリング)は人気上昇中で、TikTokのPVは28億回以上。この方法なら、わざわざ手で書き留めなくても自分の思考を簡単に手放せる。

メンタルヘルスケアサービスLuxe Psychology Practiceの創業者で心理療法士のジェイド・トーマスによると、ボイスジャーナリングは、自分の考えと気持ちを声にして録音すること。「自分の感情や体験を書く代わりに、話してスマホに録音します。思考と感情の変化が速すぎて書けないという人は多いですが、ボイスジャーナリングなら紙に書くときよりも速く、その瞬間の思考を捕えられます。書くことが好きじゃない人も始めやすいタイプのジャーナリングと言えますね」

ボイスジャーナリングの最大のメリットは、自分が好きなように話しながら思考の1つひとつと向き合い、その内容を時間をかけて振り返ることができる点。

「発話は自然発生的な行為なので、書くときよりも自分を非難したり抑制したりする可能性が低いです。言葉の選択や声の抑揚、さらにはうっかりミスから、従来のジャーナリングでは見えなかった潜在的な感情や信念が見えてくることもあります」と説明するのは、カウンセリング心理学者のペレグ・アムコヤ。「感情を声にすると、沈黙(意図せずに止まったり躊躇ったりする瞬間も含めて)が言葉より雄弁になったりもします。沈黙は、深い感情を処理したり、熟考したり、感情を抑え込んだりしているサインですから。そういう瞬間に立ち返ると、内省を必要としているエリアが分かってきます」

ボイスジャーナリングには、セラピー効果だけでなく、話し手を落ち着かせ、記憶の定着を促進するという瞑想的な作用もある。

アムコヤいわくボイスジャーナリングは、その環境の聴覚的なスナップ写真。そして「このスナップ写真は、自分がその中にいるのではと思うほど鮮明に当時の記憶や感情を呼び起こすことがあります」とアムコヤ。「ときどき古い録音を聞いてみると、昔の自分と話し合える。過去の視点と現在の視点のダイナミックな相互作用によって、自分に対する理解が深まり、内面の和解や調和が促されます」

始め方はいたって簡単

「スマホの録音ボタンを押して、頭に浮かんできたことを何でも話してみてください。パートナーやセラピストに話す感じで、その日、その週、特定の出来事を振り返り、自分の気持ちを言葉にします」とトーマス。「あなたにとってのボイスジャーナリングの目的は何でしょう。感情を処理するためですか? 自分の経験を音声日記にするためですか?」

ボイスジャーナリングは画期的な方法でストレスを解消してくれる上に、「思ってもみないような深い気付きをたくさんくれます」とアムコヤは続ける。

「ボイスジャーナリングは単なるセラピーツールではありません。その人の魂にアプローチする聴覚の冒険です。本気で耳を傾ければ、あなたの声が内なる宇宙を見せてくれるかもしれませんよ」

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Izzah Kazi Translation: Ai Igamoto

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伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。