減量を目指しているのであれば、積極的に体を動かすことが重要なのはご存じのとおり。先ごろ発表された新たな研究によると、朝に行う運動は、他の時間帯の運動よりも減量に効果的であることがわかった。

オンライン医学ジャーナル『Obesity』誌で発表された研究では、米国疾病予防管理センター(CDC)が2003年から2006年にかけて実施した国民健康・栄養調査(20歳以上の成人の参加者5285人の、運動・食事・生活習慣に関する調査)のデータが使用された。参加者は加速度計を装着し、活動レベルを測定した。

研究者らは、朝、特に午前7時から9時の間に中程度から強度の運動をした人は、お昼や夕方に運動した人よりもBMI(体重(kg)÷身長(m)の2乗で算出される値。体格指数とも呼ばれる)が低いことを発見した(※ただしこの記事を作成した『Prevention』誌では現在、BMIを健康の指標として使用していない)。

また、朝に運動する人は、毎日同じ時間に運動する傾向が高いこともわかったうえ、1日の後半に運動する人に比べて摂取カロリーが少なかったそう。

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オレンジ・コースト・メディカルセンターのメモリアルケア・外科減量センターで肥満外科を担当する医師のミール・アリ氏は、こう話す。「朝に運動をすれば1日の調子が整い、食べ物の選択により集中できるようになる可能性があります」「つまり、朝に運動をしてしまえば、その日は食事に集中するだけでいいのです」

いっぽう、栄養・食事療法学アカデミーの全米メディアスポークスパーソンで、予防医学審査委員会のメンバーでもあるメリッサ・プレスト氏(臨床栄養学博士、登録栄養士)は、「空腹時に運動すると、その日の摂取カロリーが減る可能性があるという研究結果も存在しますが、絶食状態で朝に運動することが減量に最適かどうかを証明するには、さらなる研究が必要です」と語る。

また、摂取カロリーを減らすことが常にベストとは限らない。新しいダイエットやワークアウトプランを始める前には、必ず栄養士や医療専門家に相談するようにしたい。

また研究者らは、朝の運動は1日の大半を座りっぱなしで過ごす人に良い影響を与える可能性があるとも判断している。しかしこの研究はあくまで観察にすぎず、朝の運動が本当に減量や健康全般に最適かどうかは、臨床試験でしか判断できないことも覚えておきたい。

運動をいつ行うかが、減量にどう影響する?

プレスト氏は、日が経つにつれて運動をサボりがちになってしまうと話す。彼女は「疲労や他の予定が邪魔をすることもあるので、朝に運動することでより規則正しく活動できるようになり、体重管理の助けになる可能性があります」と説明する。

また、朝に運動をすると1日を通して代謝が上がり、通常よりも多くのカロリーを消費するというエビデンスもあるとアリ氏は言う。彼は「1日の後半に運動すると、代謝アップの恩恵を受ける時間が減ってしまいます」と語る。

朝の運動は、減量する際に重要な、質の高い睡眠を促進する可能性もあるとアリ氏は付け加える。

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結論

この研究では、朝に運動している人はBMIが低いという関連性が示された。しかし、登録栄養士であり、ダイエットに関する著書も出しているケリー・ガンズ氏は、この研究は多くの要因をコントロールした臨床研究ではないため、さらなる調査が必要であると話している。

プレスト氏は、運動を一貫して生活の一部にすることが、時間帯や全体的な健康状態よりも重要だと語る。ガンズ氏もこれに同意し、「この研究が何を示していようと、その人が実際に運動する時間帯こそが、その人にとってベストな時間帯なのです」と話す。

アリ医師は、ほとんどの場合において、減量ダイエットの基本は炭水化物や糖分の摂取を減らし、脂肪を燃焼させる体内メカニズムにスイッチを入れることだと言う。そのため、タンパク質と野菜を重点的に摂取することが重要になる。「他のことと同じように、朝の運動はさまざまなよい効果をもたらすかもしれませんが、減量において重要な要素は、やはり食事なのです」

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Prevention

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Madeleine Haase

Madeleine, Prevention’s assistant editor, has a history with health writing from her experience as an editorial assistant at WebMD, and from her personal research at university. She graduated from the University of Michigan with a degree in biopsychology, cognition, and neuroscience—and she helps strategize for success across Prevention’s social media platforms. 

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大学卒業後、広告代理店や出版社での勤務を経て渡英。現地のメディア関連会社で勤務した後、アフリカ6カ国を陸路で縦断。帰国後はデザイン/カルチャー雑誌『+81』の編集部に所属し、出産を機にフリーへ転身。一男一女を育てながら、ファッション、デザイン、アート、旅行などの分野で翻訳、執筆を行っている。愛知県東海市出身。