加齢に伴い、基礎代謝は低下する。言われなくてもわかってるって? 研究によると、平均的な成人女性は毎年1.5ポンド(0.68kg)ずつ体重が増えている。となると、50歳になる頃までには40ポンド(18kg)以上増えていてもおかしくないみたい......。

それでよければなにも問題はないけれど、極力今の体重をキープしていきたいと思うのであれば、ホルモンの変動や筋肉の減少、脂肪燃焼力を低下させるストレスと戦っても損はないはず。

幸いにも、基礎代謝を上げる方法はいくつもあり、中年期の体重増加は避けて通れないものではない。代謝を促進する食品を食べるとよく眠れるようにもなるし、今まで以上に活力が漲るようになる。うまくいけば、体が少し引き締まったと実感できるようにもなる。今回は、イギリス版ウィメンズヘルスから基礎代謝を上げる12の方法をご紹介。

1. 摂取カロリーを減らす(でも減らしすぎないこと)

体重を落とすには確かに摂取カロリーを減らす必要はあるけれど、カロリーの摂取量を制限しすぎてしまえば、代謝に二重の打撃を与えることになる。基本的に、生命を維持するために最低限必要なカロリー(ほとんどの女性が1日に必要とするカロリーは約2,000kcal)よりも少ない食事を摂ると、体は少ないカロリーで生きていけるように、代謝を低下させるようになる。

さらにジョージア州立大学で栄養学と運動生理学の准教授を務めるダン・ベナドット博士によると、体はエネルギーを得るために、カロリーを消費する貴重な筋肉組織を分解し始めるとか。「空腹にならないように十分な量を食べましょう。三度の食事では毎食あたり430kcalを目安に食べて、その間の午前中と午後3時頃に150kcal程度の間食をとるようにすると、代謝は順調に進みますよ」

2. 毎朝、栄養のある朝食を食べる

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© Ian Laker Photography//Getty Images

朝食を食べると基礎代謝が上がり、活力に満ちあふれて1日を過ごすことができる。朝食を食べない女性は、朝食を食べる女性に比べて肥満になる確率が4.5倍も高いという事実は単なる偶然じゃない。なにもなければヨーグルトだけでも食べよう。あるいは、必須タンパク質が摂れるミルクとトッピングを加えたオートミール粥を作って食べるといい。

カフェインは中枢神経刺激薬なので、毎日1杯(2杯でもオッケー)のコーヒーを飲むと代謝が5〜8%上がり、1日に98〜174kcalほど消費されることになる。

2012年に科学雑誌『Obesity』が発表した研究によれば、高カフェイン摂取は、体が熱を維持する熱産生と脂肪の酸化による体重減少と関連していることが示されている。

3. 食事に食物繊維をしっかり取り入れる

食物繊維が豊富な野菜や果物、全粒穀物、豆類などの豆類を食事に取り入れると、満腹感が長く保たれ、不健康な食べものを無性に食べたくなる欲求を抑えられる。

食物繊維を多く摂取する女性は、長期的に体重が増えにくいことが研究で明らかになっている。女性は1日に21〜25g、男性は1日に30〜38gの食物繊維を摂取することを目標にしよう。

食物繊維を多く含む野菜や果物には、ラズベリー、梨、リンゴ、グリーンピース、ブロッコリーなどがある。

タンパク質と食物繊維、脂質を毎日バランスよく摂取していれば、ホルモンの分泌量が抑えられ、おなかの脂肪が増えるのを防ぐことができる。

4. 体内の水分量が不足しないように気を付ける

科学雑誌『Obesity』に掲載された論文によると、水を飲むことは、カロリーの摂取量が減り、代謝が上がることによって減量を加速させることにつながる。

その理由は、高カロリーの甘い飲みものを水に置き換えるようになるからだと研究者は考えている。さらに水を飲むことは、脂肪分やその他の脂質を分解する「脂肪分解(リポリシス)」を促進するのにも有用だと考えられているそう。

メカニズムがどうであれ、1日2リットルは必ず飲むように。

5. HIITトレーニングで代謝を上げる

高強度インターバルトレーニングは、定常状態での有酸素運動よりもおなかの脂肪を燃焼させて、基礎代謝を向上させる効果があることが実証されている。

短時間の激しい運動と強度の低い運動を交互に行うと、より高い割合で基礎代謝が向上し、運動をした数時間後にはより多くのカロリーを消費するようになる。これは、EPOC(運動後の過剰酸素消費量)として知られている。

6. 筋力トレーニングを始める

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JGI/Jamie Grill//Getty Images

筋力トレーニングは、30歳代になると衰え始める筋肉量を増やすのに有効なエクササイズ。

学術誌『Journal of Applied Physiology』に掲載された論文によると、筋力トレーニングは安静時の代謝量を高めることから、運動をしていないときでもカロリーが消費されるようになる。これは賢い。

筋力トレーニングに関して言えば、コンパウンドエクササイズは複数の筋肉を一度に鍛えられるもっとも効率的な方法のひとつで、ジムの時間を節約することにもつながる。

加重スクワットやショルダープレス、リバースランジ、バイセップカールのようなコンパウンド種目は、複数の筋肉を同時に鍛えられ、時間や費用に見合った最高の価値を得ることができるオススメのワークアウト。

7. タンパク質の摂取量を増やす

体は脂肪が少ない筋肉を維持するために、タンパク質を必要とする。赤身肉を85g、ナッツを大さじ2杯分、低脂肪ヨーグルト220gくらいを目安に、三度の食事と間食で取り入れるようにしてみて。

タンパク質には食物繊維と同様に、満腹感を長時間持続させ、カロリー密度の高い精製された加工食品を無性に食べたくなる欲求を抑える働きがある。

8. 鉄分が多い食品を食べる

書籍『Fire Up Your Metabolism』の共著者であり栄養士のタミー・ラカトスが言うには、鉄は、筋肉が脂肪を燃焼するために必要とする酸素を運ぶうえで欠かせない栄養素。

女性は閉経するまでの期間ずっと、毎月の生理の出血によって鉄が失われる。貯蔵鉄を補充していかなければ、エネルギーの枯渇や基礎代謝が低下するリスクを負うことになる。

貝類、赤身肉、豆類、栄養強化された穀物類、ほうれん草は、鉄分の優れた供給源。

9. ビタミンDの摂取量を増やす

このビタミンは代謝を活発にする筋肉組織の維持に必要不可欠であり、イギリスでは多くの人が十分な量を摂取できていないことがわかっている。

イギリス国民保険サービス(NHS)は、3月下旬/4月上旬から9月末までに紫外線を通して必要なビタミンDを皮膚の中で生成することができるように、日光を浴びることを奨励している。

栄養からビタミンDを十分に摂取できるように心がけることも大切。サーモンの切り身は、ビタミンDの1日の推奨摂取量の90%を摂取できる。他にも、マグロ、エビ、豆腐、シリアル、卵などが良質な供給源。

とはいえ、ビタミンDを食べものだけに頼る必要はない。イギリス国民保健サービスによると、

「秋と冬の間は、体がビタミンDを作るのに十分と言えるほど紫外線が強くありませんので、食事からビタミンDを摂取する必要があります」

けれども、食事だけで十分な量のビタミンDを摂取することは難しいため、秋から冬にかけては(妊婦や授乳中の女性も含め)すべての人が、10μgのビタミンDを含むサプリメントを毎日摂取することを検討すべきとのこと。

10. アルコールを制限する

a close up shot of friends clinking sparkling wine glasses at sunset
Yana Iskayeva//Getty Images

アルコールを飲んでいるときは脂肪が燃焼されにくくなり、代わりにアルコールが燃料として使われるようになるため、脂肪が燃焼されるスピードも遅くなる。とくに糖分の多いアルコールは要注意。

次のハッピーアワーでは低カロリーのアルコール飲料か、ノンアルコール飲料を選ぶように心がけてみよう。

11. カルシウムが多い食材をもっと食べる

「多くの女性に共通して見られるカルシウム不足が、基礎代謝を低下させる原因になることを示すエビデンスはいくつもあります」と、ラカトスは説明する。さらに、無脂肪乳や低脂肪ヨーグルトなどの乳製品を通してカルシウムを摂取すると、他の食品に含まれる脂肪分の吸収も減らすことが研究で示されているそう。

ヴィーガンや乳製品フリーのミルクを好む人は、商品のラベルを確認し、カルシウムやその他の必須栄養素が強化されているものを選ぶようにするといい。

新陳代謝をもっとも高める食品
・アボカド
・チーズ
・ブラックビーンズ
・グリークヨーグルト
・ほうれん草
・サーモン
・卵
・ヘンプシード
・レンズ豆
・牛肉
・豆腐
・牛乳


12. できる限り、体を動かして生活する

体重や身体組成を管理できること以外にも、運動が重要であることを示す理由は無数に存在する。けれども、NEAT(非運動性熱産生)として知られる「運動以外の日常生活の動作による消費エネルギー」も同様に、健康的な基礎代謝を維持していくうえでは欠かせない。

足を伸ばしたり、階段を上ったり、立ったまま電話をしたりするなど、このような日々の小さな動きの積み重ねによって、毎日のエネルギー消費量が増え、合算すると1日の消費カロリーが350kcalも余分に増えたりする。

健康的な体組成を目指して余分な体重を減らしたいとき、落とした体重をずっとキープしていきたい場合にも、日常の中の小さな動きはどんな動きでさえも、あなたの目標達成につなげてくれる。

※この記事は当初、アメリカ版『Prevention』に掲載されました。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text:SELENE YEAGER Translation : Yukie Kawabata