アンナ・デルヴェイ(本名:アンナ・ソローキン)は資産家の令嬢と偽って、裕福なニューヨーカーから大金をだまし取った。2018年、その具体的な方法を『Vanity Fair』誌が記事にしたことで、一躍ときの人となる。

この実話に基づいてNetflixは、1人の記者が“アンナ・デルヴェイ”として生きていたアンナ・ソローキンの真実に迫るオリジナル作品『令嬢アンナの真実』を制作。アンナは、6700万ドル(約80億円)の信託基金を持つドイツ人遺産相続人のフリをしていたが、嘘がバレて刑務所に送られた。

そのすべてが興味をそそるし、予告編には「実話に基づく嘘にまみれた物語」というハイセンスなタグラインまで付いている。

でも、この激動の人生を画面越しに観ていると考えずにはいられない。アンナ・デルヴェイはいまどこで、何をしているのだろう。アメリカ版ウィメンズヘルスから見ていこう。

刑務所にはもういない

ABCニュースによると、アンナは2019年5月、重窃盗罪、重窃盗未遂、利益窃盗の訴因で有罪となり、2万4000ドル(約280万円)の罰金と約20万ドル(約2300万円)の損害賠償を課せられたうえ、刑務所に送られた。が、2021年2月に出所。『Paper』誌によると、もともと4~12年の禁固刑だったはずが、模範的な態度が認められ、たった2年で仮釈放された。

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でも、米国移民税関執行局(ICE)に拘留された

でも、アンナの自由な生活は長続きしなかった。

『New York Post』紙によると、2021年3月、仮釈放から2カ月も経たないうちにアンナは、マンハッタン南端部の出入国管理局に出頭し、ビザ切れの不法滞在で米国移民税関執行局(ICE)に身柄を拘束された。『Insider』誌によるとアンナは、アメリカに来る前に住んでいたドイツに追放される可能性があり、それが決定するまでは、ニュージャージー州ハッケンサックの施設で拘留されるということだった。

弁護士いわく「強制送還されたかも」

アンナの弁護士マニー・アローラは、今年の3月14日からアンナと連絡が取れていない。これを理由にアローラは、すでにアンナがドイツに退去させられたとみており、ABCニュースに対して「そういううわさが飛び交っていますし、今日の午後はソローキン氏から連絡がありません。これは(国外退去の)通常の慣行です」と語った。

NBCニュースによるとアローラは、「法律上、ICEは3月19日までソローキン氏を追放できないはずです。2月17日に国外退去命令が出されましたが、その後30日間はわれわれが異議を申し立てられる期間ですから」とコメントしている。

「でも、相手は官僚ですし、今回の案件はファイルの数が膨大ですから、書類に何らかのミスがあっても分かりません。今日の午後はソローキン氏から連絡がありませんので、国外退去が行われたことを前提に処理しています」

インスタはいまも健在

アンナは再びSNSを使い始めた。仮釈放の直後には、バスタブに浸かりながらシャンパンを飲む自分の姿を投稿している。ちなみに、女優のジュリア・フォックスとは友達らしい(下の投稿のコメントに彼女からのコメントがある)。

「私が遺産相続人なんて一度も言ってないじゃない」

ABCニュースとのインタビューの中でアンナは、2017年に逮捕されるまで、実家が金持ちだとか自分が遺産相続人だとか言ったことは、一度たりともないと話した。「私が(メディアで描かれているような)バカで欲張りな人間じゃないことを世界に証明したいです」。贅沢な生活を送れないことは自分でも“分かっていて”、みんなにお金を“返そうとしていた”らしい。

自分のストーリーを売った

アンナは、ネットフリックスと『令嬢アンナの真実』を制作したプロデューサーのションダ・ライムズに自分のストーリーを売った。でも、ABCニュースによると、ニューヨーク州法の下では、犯罪者が自分の犯罪をネタに金儲けをすることが許されないため、その収入はまず被害者への返済に充てられた。

正直言って、悪びれた様子はない

今年2月には『Insider』誌に寄稿して、いまだにICEの身柄拘束が解けないことに対する怒りをあらわにした。

「私がだました銀行に対する賠償金は、服役中にすべて支払いました。それに、普通の人が2年間でこなすような量の仕事を6週間でしたから、仮釈放が早まったのです」

「ビザ切れによる不法滞在は非意図的なもので、私にはどうすることもできませんでした。刑期は終えましたが、刑事上の有罪判決に対する身の潔白を証明するため、上訴しています。仮釈放中は、ニューヨーク州やICEのルールを一度も破っていません。にもかかわらず、私はいまだに明確で公正な道筋を与えられていないのです。ICEに拘留されている人の中で女性は私1人だけ。言葉ではなく行動で、私が特別であることを示してください」

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Korin Miller and Sarah Felbin Translation: Ai Igamoto