海外のインターナショナルスクールでの高校生活をきっかけに、社会問題に興味を持ちはじめ、2016年からヴィーガン生活を送るMiyuさん(@tokyovegangirl_miyu)。“できる人が、できることを、できるだけ” をテーマに、ヴィーガン・サスティナブル・エシカルな生活、環境問題をはじめとした社会問題の解説など、日々の『何気ない選択』について考え直すきっかけになるようなコンテンツを日々発信。今月からそんなMiyuさんによる“ヴィーガン”というライフスタイルについての連載がスタートする。
週2でステーキ、週末はお寿司。大好物はクリームたっぷりのケーキ、大嫌いなものは緑黄色野菜。食べられる野菜は片手に収まるくらいの量、それも大好きなチーズがたっぷり入ったシーザーサラダドレッシングと一緒に。そんな生活を19年していた私が「肉も乳製品も卵ももう食べない」と伝えたとき、母は「何カ月続くか見ものだね」といった。それから5年半経った今も、私はヴィーガンを続けている。
そもそも、ヴィーガンって?
あなたは、“ヴィーガン”という言葉を聞いて、どんなイメージを持つだろうか。
「健康そうだよね、なんか最近よく聞くけど何食べてるの?」
「サラダ? 正直あんまりいいイメージはないかも......」
「ベジタリアンと何が違うのかわかんない」
これらは私が初対面の人に自己紹介して言われた言葉。なんとなく聞いたことはあるけど、よく知らない、という方も多いのではないだろうか。
ベジタリアンは、肉や魚などを食べないが、乳製品や卵などは口にする。そしてヴィーガンは、乳製品や卵を含むあらゆる動物性食品を避け、“可能なかぎり、動物から搾取しない”というライフスタイルのことを指す。
菜食主義のイメージが強いので食事法だと思われることも多いが、ライフスタイルなので、衣食住すべてに関わる。
洋服は、ウール、カシミヤ、アルパカ、毛皮、革製品、羽毛、シルク、ムートン、スエードなどを避け、食事では肉、魚介類、乳製品、卵、ゼラチン、はちみつ、甲殻類、昆虫など、動物とその副産物を避ける。
また水族館や動物園やサーカスなどの動物を利用した商売が行われている場所にも行かない。
こう見るとなかなか制約が多いな、と我ながら思うものの、私はこの生活を制限だとか、堅苦しいものではなく「地球にも、動物にも、そして自分にも優しい暮らし」だと捉えて非常に楽しんでいる。
私がヴィーガンになった理由
人々がヴィーガンになる理由は大体おおまかに4つに分類される。
健康・動物倫理・環境保護・宗教だ。
私が、かれこれ5年目になるヴィーガン生活を始めたきっかけは、高校生の頃に通っていたインターナショナルスクールだった。
当時、私はそもそもヴィーガンという言葉をよくわかっていなく、ベジタリアンとの区別もついていなかったし、❝ベジタリアン=宗教的な理由から殺生をしない人たち”だと思っていた。
そんな私の前に、2015年頃、なんと3人も、それも別々の理由でヴィーガンを始めた人が現れた。皮膚疾患を治すためにヴィーガン食をはじめた歴史の先生、動物を傷つけたくなくてヴィーガンをはじめた友人、環境問題への関心が高かったことでヴィーガンになった担任の先生。彼女たちから、1年ほどかけて色々な話を聞いた。
健康面では、2015年のWHOのレポートでホットドッグ、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉は大腸がんのリスクを高めるほか、赤身肉も同様のリスクがあると発表されたこと※1。
動物に関しては、家畜動物たちは人口的に器具を使って妊娠させられ、工場のように区間分けされた衛生環境が良くない場所で育てられているケースもあると知ったこと※2。
そして環境面では、肉を生産する過程で森林破壊が起きていること、また牛のゲップやおならから出るメタンガスなどの温室効果ガスが地球温暖化の大きな要因の一つになっていること※3。
そんな話を耳にしながら、彼女たちのランチをたまに分けてもらったりしているうちに、「あれ、普通においしいな......あれ、動物性ってなくても生きていけるんじゃない? むしろ健康にもいいらしいし。製造工程で悪いことが多く起こっているし、もしかして食べるメリットがあまりない......?」と考えるようになった。
仲がよかった友人7人のうち1人がヴィーガンを始めたことで、他の友人も私と似たような考えになった子が増え、いわゆる「いつメン」のうち、1人がヴィーガンに、私を含めた3人が肉・乳製品・卵をやめた。
そこから1年は、母に「料理をする上で魚まで食べなくなったら何を作ればいいかわからない」「家族で焼肉にもお寿司にもいけなくなったら困る」と言われたことで魚介類は食べていたものの、高校のあったインドネシアから日本に帰国してからは一人暮らしを始め、自分で食事をコントロールできるようになったことをきっかけに、魚介も食べるのをやめた。
参考文献
※1:WHO report says eating processed meat is carcinogenic: Understanding the findings
※2:工場式畜産の発展 浅野 幸治
※3:LESS IS MORE REDUCING MEAT AND DAIRY FOR A HEALTHIER LIFE AND PLANET
ヴィーガンになって大変だったこと
肉や乳製品、卵などの食材は比較的避けるのは楽だ。
ただ、和食には欠かせないかつおだしは、みそ汁やうどん、そばなどはありとあらゆるものに入っているため、避けるのが本当に難しかった。
最近はよく聞くようになった“ヴィーガン”という言葉だが、4年半前は認知度もかなり低く、東京はまだしも、地方への旅行では食べれるものが何もなかった。
いまだに地方では困ることもあるが、最近は自炊をする分には色々な種類の食材も出てきているので随分楽になった。
ヴィーガンになってよかったこと
寝起きがよくなったこと、ずっと悩んでいた便秘をしなくなったこと、そして自分の体質に乳製品が合っていなかったことに気づけたことだ。
以前は朝が大の苦手で目覚ましを5分おきに設定していたが、消化でそこまでエネルギーを使わないからなのか、一度のアラームと朝日で起きられるようになったのは本当によかったと思っている。
そして大好物の生クリームやチーズ、チョコレートは、食べたら気分が悪くなったりおなかを壊していたが、それが乳製品のせいだったことにも気が付けた(アジア人の9割は乳糖不耐症だと言われている)。
動物倫理・環境問題・自分の健康すべてにアプローチできるライフスタイルを続けていることで、自分の精神状態もよくなったと思う。
ヴィーガンのものはこの世の中にまだまだ少ない。でも少ないからこそ、ヴィーガンアイテムの取り扱いがどこかのお店で始まったり、ポップアップショップなどを見かけると、宝探しで宝石を見つけたような楽しい気分になる。
ヴィーガンライフを実践してみたい人へ。まずこれから始めてみて!
個人的にはすべての動物性のものを一気にやめるのは本当に難しいし、なかなか無理があると思う。人によっては体質的に不調が現れるケースもあるので、まずはお肉の代わりに豆腐や大豆ミートなどを使ってみたり、牛乳の代わりに豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどの植物性ミルクを試してみて。
ヴィーガン料理をVcook(ヴィーガン版クックパッド)やYouTube、インスタで調べて作ってみるのもいい。
小さな、そして自分の生活に取り入れられそうなことを少しずつ、ゆっくりと始めてみるのがおすすめ。いろいろなものを比べてみて、試してみて、いつもの日常に少しの変化を産んでいくことは楽しく続けるコツでもある。
まずは「ヴィーガン」という言葉にアンテナをはった生活を始めてみよう、そう意識してもらえたら、とても嬉しい。
高校で海外のインターナショナルスクールに通ったことをきっかけに、2016年から社会問題に興味を持ち、ヴィーガンになる。“できる人が、できることを、できるだけ” をテーマに、ヴィーガン・サスティナブル・エシカルな生活、環境問題をはじめとした社会問題の解説など、日々の『何気ない選択』について考え直すきっかけになるようなコンテンツを発信。
インスタグラム:@tokyovegangirl_miyu