a woman holding a basketball
Dennis Leupold


「私は水辺で育ちました」と語る26歳のシドニーは、確かにワシントン州とアイダホ州の境にある小さな街の湖畔で育った。でも、このひと言には、もっと深い意味が込められている。自称“出不精”から若手女性スターに成り上がった彼女にとって、あの湖は単なる湖じゃない。あの湖は彼女の人格を作り上げた場所であり、彼女が自分であることを感じるために戻る場所。そこでは、エミー賞に2度ノミネートされた新進女優のシドニーも制作会社Fifty-Fifty Films創業者のシドニーも、ごく普通の少女に戻る。

シドニーは昨年の夏、専属スタイリストと仕事仲間を連れて、その湖に滞在した。その旅の最後にシドニーは冒険に満ちた1週間分の写真をインスタグラムにポストして、キャプションで『みんなにも、湖にいるときの私を知ってもらえたらいいのにな』と呟いた。

シドニーいわく、湖にいるときの彼女は「すべてを剥ぎ取った素の自分」で、「あのキャプションを付けたのは、一緒にいた人たちが口を揃えて『できることなら世界中にいまのシドニーを見てほしい』と言っていたから。あれが本来の自分だから」

その湖畔にいるときのシドニーは救助犬のタンクとハイキングをして、時間が空いたら家の中を片付ける。森の中で車を走らせ、木にぶら下がったブランコから水の中にドボンと飛び込む。家族(タンクを含む)とお揃いのクリスマス柄のパジャマを着て、いつかアイスクリーム店を開くことを夢見ている。そして水上スキーのスラロームが何より大好き(スラロームは1枚板で行う点で普通の水上スキーと異なる)。

「私が歩けるようになるやいなや、母は私をUボードという子供用の水上スキー板に乗せました」とシドニー。「祖母やいとこの家の桟橋に差し掛かると、得意気に片手を離して手を振っていましたね。それ以来ずっと水上スキーをしています。一番好きなことだから」

でも、シドニーはハリウッドの喧騒から逃れるために水上スキーを続けているわけじゃない。シドニーが水上スキーを愛してやまないのは、それが試練をくれるから。「水上スキーは上半身、バランス感覚、体幹、脚をフルに使うアクティビティなので、あっという間に疲れます。ひと夏、水上スキーに明け暮れたあとは体が全然違うんです。腕は筋肉がついて引き締まり、腹筋も硬くなる。でも、本当に楽しいので、水上スキーをワークアウトとして見ることはないですね」(水分補給はもちろん、自らがブランドアンバサダーを務める『Bai』のフレーバーウォーターで。お気に入りのフレーバーはパイナップルマンゴー)

a woman sitting on a ledge
Dennis Leupold

シドニーは水上でも仕事でも、きついことを楽しむタイプ。「初めてのことも物怖じせずにやってみる。そういうときは自分が本当に誇らしく思えます」。だからシドニーはこれまでも、複雑な役を演じたり、時速100kmで波を横切ったりしてきた。「身体的にできることは分かっています。問題は精神的に最後までやり抜けるか」とシドニー。「私は、この精神力を水上スキーにも演技にも何にでも使っています。大事なのはフィジカルよりメンタルですから。体を鍛える必要はありますが、最終的に大事なのはマインドです」

腕がパンパンになろうと手がヒリヒリしようと、シドニーは水上スキーのロープを離さない。どんなに痛くても、最終的には精神的な見返りが肉体的な負担を上回ると分かっているから。「水上スキーをしている間は自分の呼吸しか聞こえません。他の音がしなくなります。あの場所には私だけ。ボートの後ろには、私とスキーと湖しかありません。あの瞬間は板を走らせることしか考えない。あんなふうに無駄な思考を止めてくれるアクティビティは少ないんです」

シドニーは社会不安障害を抱えている。「世界が異常に騒がしく、いろいろなことが同時に起きているときは、自分のバランスを取ろうと思っても、精神的に一杯いっぱいになってしまうことがあります」。そういうときは、タンクと外で過ごす時間の中に癒しを見いだす。湖畔の森の中をとりとめもなく歩いたり、カリフォルニア州マリブにある新居近くのソルスティス渓谷でトレッキングをしたりしながら。

不安は誰もが経験すること。だからシドニーはメンタルヘルスに関する話もオープンにしているけれど、シェアする内容は慎重に選んでいる。というのも、たった一度のパニック発作を一部のメディアが複数の発作として報じたせいで、大変な思いをしたことがあるから。「パニック発作の話は一度しかしていません。『パニック発作を起こしたような感じだった』と言ったんですが、それをメディアが好きなように報じてしまって」

a woman in a pool
Dennis Leupold

自分の名声が高まって、いままでの生活が変わることに文句があるわけじゃない。むしろ、メットガラ(MET GALA)に参加したり、ローリングストーンズのミュージックビデオに出演したりという全ての機会に感謝している。けれどシドニーは、仕事の成功や世間からの注目が幸せを保証するものではないことを若くして理解している。人生にはレッドカーペットの上でインタビューを受けることより大事なものがあるということも、決して短くないキャリアの中で学んできた。

「私は11~12歳の頃から女優として活動してきましたが、みんなに興味を持ってもらえるようになったのはここ数年のことで、誰も『YES』と言ってくれない時期が8~9年はありました。ここまで来るのに、たくさんの『NO』を押しのけてきたんです」

シドニーを支えるために家族は大きな犠牲を払った。「私の両親は多くのものを失いました。破産申請をして湖畔の家も失いました(この曽祖父母の家はのちにシドニーが買い戻した)。当時の私たちには、ロサンゼルスで暮らせるほどの経済的な余裕がなかったんです。他の街で暮らす余裕もなかったですね」

生活費の足しにするため、当時のシドニーはベビーシッターやレストランのトイレ掃除をしたり、ユニバーサルスタジオでツアー客の案内をしたりしていた。「あの頃は、家族が私を応援してくれていたからこそ余計に辛かったですね。女優業以外の仕事は考えられませんでした。家族をガッカリさせたくなかった。だから、どれだけ時間がかかってもテレビや映画に出るつもりでいましたし、何かが起きるまで辞める気は一切ありませんでした」

その“何か”とは、HBOで放映されたミニシリーズ『Sharp Objects(原題)』だったのだろう。そこからはノンストップで、『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』、『ユーフォリア』、『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート』『リアリティ』『Anyone But You(原題)』、『マダム・ウェブ』といった作品への出演依頼が相次いだ。自称“仕事中毒”のシドニーは、複数の台本とギッシリ詰まったスケジュールを大いに楽しんでいる。「私はこの忙しさが好きなんです」。全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキの最中は「私生活も同じくらい忙しくしようとしていた」そう。

この機会に少しゆっくりしてほしいという家族の要望に反して新たな挑戦を求めていた、というよりむしろ必要としていたというシドニーは、いつもなら自分の制作会社の作品に取り組む時間を利用して、自分の誕生日パーティーを企画した。テーマは80年代のプロム(実際の『プロムには一度も出たことがない』そう)。ふわふわしたピンク色のドレスを形から生地までデザインし、パーティーには友達と家族を呼んで大騒ぎしたけれど、誕生日当日は本来の彼女らしく、地元のアートスタジオで巨大な青いカップケーキの絵を描きながら静かに過ごした。「絵画と読書は大好き。どちらも自分のためだけにするアクティビティです」

sydney sweeney
Dennis Leupold

シドニーの自立心は母親から受け継いだもので、いつか自分の子供にも受け継いでほしいもの。小さい頃、シドニーはウェイクボードで目の横を17針も縫うケガをした。「医師から水に入っていいと言われた日のことは忘れません。母に車で湖に連れて行かれて、『ボードの上で立つまでは水から上がれないよ』と言われたんです。あのときは泣きましたが、いまでは母がしてくれたことに心から感謝しています」

この“自分のことは自分で何とかする”という経験は、撮影と同時に友情が終わってしまうハリウッドで大いに役立つ。ハリウッドでは「有意義な人間関係を築くのが難しいので、特別なつながりを感じたときは、それをなるべく深める努力をしています」。特に『ユーフォリア』で共演中の「モード(・アパトー)は妹のような存在」で、撮影がないときもできるだけ一緒にいるそう。

最近では、俳優のグレン・パウエルとも『Anyone But You』を通して絆を深めた。「グレンと一緒に作り上げたこの作品は一生忘れないでしょう。この映画を作る過程で私たちが感じた愛と楽しさを観客の皆さんにも感じてほしいと思います」とシドニー。「出演者とスタッフの間で共有される喜びとエネルギーは、私がいつも自分が好きなラブコメから感じ取っているものなんです。幸運にも私は、それをこの映画の中で感じることができました」。

シドニーの中核にはやさしさと忠誠心という価値観があり、彼女はその価値観に合致する人としか付き合わない。「私にとってやさしさは誰もが持つことのできる最も重要な特性です。人間は、うまくいっているときもいかないときも支え合うもの。だから私は、家族や友達に対してできるだけ忠実でありたいと思いますし、彼らにも私に対して忠実であってほしいと思います。みんなが一緒に成功する姿を見るのも好きですね」

みんなと成功を分かち合いたいという強い気持ちは、シドニーがいまでも家族と強固なつながりを維持している理由の1つ。「いとこたちは親友です。私は自分の家族と故郷が大好き。家族のニーズには最優先で応えます」

何百万人ものファンが付くずっと前から家族に愛されてきたシドニーは、いまの自分だけでなく未来の自分のことも信じている。「私は常に未来の自分を尊敬するようにしています。10歳の頃は25歳の自分を尊敬していましたし、いまは50歳の自分を尊敬しています。そして、いつも未来の自分が誇りに思う決断をしたいと思っています」

sydney sweeney
Dennis Leupold

シドニー・スウィーニー流、オフ日の朝の過ごし方

撮影がないときのシドニーは、至ってシンプルなルーティンで1日を始めるそう。

ステップ1:愛犬とイチャイチャする

休日のシドニーは、ベッドから出る前に愛犬のタンクを抱き締めて充実した時間を過ごす。

ステップ2:肌を潤す

シドニーが洗顔に使っているのは、肌に優しい『Laneige(ラネージュ)』のウォーターバンク・クレンジングフォーム。そのあとは「顔に雲を乗せているような感じ」がするという同メーカーのウォーターバンク・ブルーヒアルロン酸保湿クリームで水分を閉じ込める。最後はウォーターバンク・ブルーヒアルロン酸アイクリームを塗って準備完了!

ステップ3:体を動かす

「ワークアウトは朝にするのが好きですね。大体いつもランニングをするか(ピラティス風ワークアウトスタジオの)『Solidcore』に行くかです」とシドニー。『Solidcore』で高強度かつ低衝撃のワークアウトをすると「自分の体が強くなっただけでなく、しっかり伸びた感じもします。終わったあとは最高の気分ですよ」

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Words by Lindsay Geller
Photographed by Dennis Leupold
Styled by Kristen Saladino
Translation by Ai Igamoto

From: Women's Health US
Headshot of Lindsay Geller
Lindsay Geller
Lifestyle Director

Lindsay Geller is the Lifestyle Director at Women’s Health, where she oversees the Life, Sex & Love, and Relationships sections on WomensHealthMag.com and the Mind section of Women's Health magazine. When she's not writing or editing articles about the latest dating trends and pop culture phenomenons, she's usually watching reality TV or playing with her dog, Lucille (Go Fetch That) Ball.