脂肪燃焼サプリの摂取を検討したり、どういう効果があるか興味を持ったことある? 脂肪燃焼サプリといっても数多くあるし、体に対する影響はさまざまなため、混乱してしまうことも。脂肪燃焼サプリの多くは、代謝の促進や燃料としてより多くの脂肪燃焼、食品からの脂肪吸収量を抑えるとうたわれている。詳しく見ていこう。

体重減少のもっとも健康的な方法は、栄養、運動、休息を意識したサスティナブルなライフスタイルの変化。けれどもこうしたやり方でスリムな体型を目指すのは時間も労力もかかる。カプセルやシェイクを飲むだけで、スピードアップできるという誘惑に抵抗するのは難しいかもしれない。

脂肪燃焼サプリの多くは、生コーヒー豆やラズベリーケトン、緑茶エキスなど、天然の物で聞き覚えのあるものを含んでいる。ただ、だからといって必ずしも有効、あるいは安全に使えるというわけではない。サプリメントで生理学的過程を微調整することは、リスクや副作用の可能性も。

今回は、フィットネスとライフスタイルのコーチングアプリFeeeleticsのエメカ・オコラチャ医師と、パーソナライズ栄養サービスを提供するVitMedicsの臨床栄養学者のマイク・ウェイクマン氏に、安全性や副作用、効能など、脂肪燃焼サプリについていろいろと話を聞いた。

脂肪燃焼サプリって何?

「脂肪燃焼サプリ」とは、「特に運動中の脂肪代謝を促進または有益に適応させ、体重減少を促すことを目的に開発された」栄養サプリのことを指すと、ウェイクマン氏は話す。ウェイクマン氏いわく、これは通常脂肪分解(リポリーシス)、または脂肪蓄積(脂質生成とも呼ばれる)の阻害を刺激することによって、行われるそう。大半の脂肪燃焼サプリはこの両方を目的とした商品が多いサプリメントの一種だという。

成分表を見てみると、成分が2種類以上あることに気づくだろう。「それぞれに異なる役割があり、組み合わせることで相乗効果が想定されています」とウェイクマン氏。「多くのサプリメントでは、これらの主張を裏付ける情報は、研究に基づいています。さらなる研究が必要で、とりわけ“ヒト”を対象としたきちんとした臨床試験が必要です」

体内に熱を発生させる脂肪燃焼サプリ

fire inside stomach isolated on white illustration about felling of people with burning sensation from gastritis
solar22//Getty Images

熱を発生させる脂肪燃焼サプリは、安静時代謝率(RMR:安静時に消費されるカロリー数)を高めるよう設計されている。体がカロリーを消費するときは熱が発生する。「体内で熱を発生させることによって、代謝が早くなり、代謝のプロセスを助けることになります」とオコラチャ医師。

発熱系の脂肪燃焼サプリで人気があるものは大抵、カフェインやガラナ、カプサイシンなどの天然由来の発熱成分が含まれている。これらの植物ベースの化合物の多くは代謝にたしかな効果があるものの、体脂肪を減らすのに十分な効果があるかどうかは明らかではないそう。

・脂肪分解

アミノ酸の一種、Lーカルニチンなどの脂肪分解成分は、ブドウ糖に頼るのではなく、脂肪を分解しエネルギーにすると、オコラチャ医師。それらは脂肪細胞を構成する要素である脂質を分解すると、医師は説明する。「これは酵素や水を通して体内で自然に起きることですが、脂肪分解系のサプリはその過程を加速するよう設計されています」

・脂肪ブロック

キトサンなどの脂肪ブロック成分は、「炭水化物と脂肪の消化を妨げます」とオコラチャ医師。「完璧なサプリのように聞こえますが、いくつかの欠点もあります」これらの成分は脂肪や炭水化物の体内吸収を防ぐだけでなく、同様に栄養の吸収も止めてしまいます」皮肉にも、栄養不足が予想外の体重増加につながることもある。

脂肪燃焼サプリの効果は?

脂肪燃焼サプリの効能にまつわる科学的に強固な証拠はないという。脂肪燃焼サプリの成分が代謝を促進し、体内の脂肪をより燃焼するという証拠はあるものの、その効果は一般的に小さく、実際に体脂肪を削減するかどうかを判断する研究は多くされていない。

だからといってすべての脂肪燃焼サプリを非難すべきということではない。「脂肪燃焼サプリが有効かどうかについてはまだ多くの研究が必要です」とオコラチャ医師。「ただ、私の見解では、運動や健康的な食事と共に、きちんと安全に利用すればいくらかの効果はあると思います。ただ、それらが健康的かどうかは、まだ判断がつかないのです」

脂肪燃焼サプリはバランスのとれた食事や定期的な運動療法を促進するために設計されたもので、代替となるわけではない。ハンバーガーやフライドポテトを食べたあとに、追って脂肪燃焼サプリを飲むのはあまり役には立たない。「健康的で、サステナブルな脂肪減少は、定期的な運動とヘルシーな食生活を通してのみ維持できるものです」とオコロチャ医師は付け加える。「完全にそれに置き換わる、あるいは補完する魔法の薬はありません」

脂肪燃焼サプリは危険?

脂肪燃焼サプリを摂取することによる副作用や潜在的なリスクを知っておくことは重要。成分によって、頭痛や心拍数の上昇、不眠症などの症状や、炎症性大腸炎や肝臓へのダメージなどの重篤な合併症などその症状の深刻さはさまざま。

マイナーな副作用が回復に影響することも。例えば、食生活に変化はなくても、睡眠不足によって脂肪の蓄積を促進してしまうこともあるそう。シカゴ大学の研究では、ダイエット中の人が睡眠を削ったところ、カロリー摂取量は変わらなくても、脂肪から減少する体重は55%下がったという。

さらに、脂肪燃焼サプリは薬剤のように厳しく規制されておらず、徹底的に検査されているわけでもない。ゆえに慎重すぎるくらいに慎重になった方がいい。特に刺激剤が多く含まれていたり、異なる成分が含まれている時は注意しよう。常に、信頼できる販売店から購入するようにし、使用を始める前に医師に確認しよう。

「自分が購入する商品は自分でリサーチすることが大切です」とオコラチャ医師。「成分表示に記載されていない物質が混入している汚染サプリメントや極端な量の摂取は、高血圧や発作、死にすら至ることもあります。これらの副作用はレアなケースかもしれませんが、無視すべきではありません。他の副作用には、不安や落ち着きのなさなどがあります」

脂肪燃焼成分6種類

woman having coffee and texting on her phone at home
Luis Alvarez//Getty Images

驚くべきことに、脂肪燃焼成分はキッチンで見つけられそう。科学的に裏付けられた脂肪燃焼フードやドリンクをご紹介。

1.カフェイン

運動前にはカフェインを一杯楽しもう。紅茶やコーヒーは通常1杯あたり40〜150㎎のカフェインが含まれているとウェイクマン氏。研究によると、カフェインは、体内のエネルギーを最大11%活性化するだけでなく、より多くの脂肪を燃焼しやすくすることが明らかになった。カフェインは、アドレナリンなどの神経伝達物質の放出を促し、「エネルギー消費や脂肪の酸化を高め、脂肪や筋肉に蓄積されてる脂肪酸を放出し、脂肪分解が刺激される」とウェイクマン氏は説明している。

2.カプサイシン

カプサイシンは唐辛子の辛みとなっている化合物で、食事に取り入れやすい。辛ければ辛いほど、カプサイシンが多く含まれる。カプサイシンは、体内の脂肪燃焼を助けたり、脂肪吸収の抑止や食欲の減退を促す。

「カプサイシンは主に神経細胞の受容体を活性化させることにより脂肪の酸化を増やすことが示唆されており、カフェイン同様、アドレナリンの分泌や脂肪分解が増加します」とウェイクマン氏は話す。他の研究では、空腹ホルモンであるレプチンを減らし、満腹ホルモンであるアディポネクチンを増やすことによって、脂肪生成を抑制することが示されているという。

3.緑茶

緑茶にはカフェインだけでなく、エピガロカテキンガレート(EGCG)と呼ばれる抗酸化物質も豊富に含まれており、これにも発熱作用があるとされていて、この2つは互いに相乗効果を発揮するそう。6つの研究の分析によると、緑茶エキスとカフェインを組み合わせて摂取すると、プラセボと比較して16%多く脂肪を燃焼させることができたという。

「緑茶エキスは、紅茶同様にカメリアシネンシスの葉から抽出されます」とウェイクマン氏。「エピガロカテキンガレート(EGCG)は、交感神経系の刺激につながり、エネルギー消費を促すと考えられています」緑茶エキスは通常の緑茶の粉末またはカプセル形態であるため、1日最大5杯緑茶を飲むと効果が得られるそう。

4.水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は消化の際に水分を吸収し、ゲル状の物質になる。かさばるので、消化が遅くなり、満腹感が得やすくなる。また、GLP-1などのホルモン値を増加させ、グレリンなどの空腹感ホルモンを抑えることでも満腹感を感じられる。水溶性食物繊維は、食品から吸収されるカロリーや脂肪を減らすことも、研究によって判明している。

水溶性食物繊維はサプリメントの形態で摂取することもできる。食物繊維の一種であり、シラタキにも含まれるグルコマンナンはゾウコンニャクという植物の根から抽出され、サプリも人気がある。けれども、できる限り食品から摂取する方がいい。黒豆、芽キャベツ、アボカド、アプリコット、洋ナシは水溶性食物線維を多く含む。

5.プロバイオティクス

ある系統的レビューによると、プロバイオティクスは体脂肪率を減らすことができるという。食欲や脂肪蓄積に関するホルモンやタンパク質に影響を与え、食事から吸収するカロリーを減らすそう。サプリメントで摂取しなくとも、ケフィアやヨーグルト、テンペ、キムチ、ザワークラウト、みそなどからも豊富に摂取できる。

初期の研究によると、特定の乳酸菌属、とりわけガセリ菌(ラクトバチルス・ガセリ)は、脂肪の減少に特に効果的なことがわかっている。200人以上を対象にした研究では、ガセリ菌を12週間摂取した被験者が、おなかの脂肪が8.5%減少し、サプリメントの摂取を止めた被験者は1カ月以内に元に戻ったとされている。

6.タンパク質

タンパク質は脂肪燃焼において重要な栄養素。満腹感を持続させ、筋肉を作り、代謝を促進してくれる。ある研究では、タンパク質が豊富な食事(1日のカロリーの25%をタンパク質から摂取)をした被験者は、その半量の食事をした人と比べて1年間で10%多くのおなかの脂肪を減らすことができた。

このいわゆる「筋肉の栄養素」は、GLP-1やPYY、CCKといった満腹ホルモンレベルを上げ、空腹ホルモンであるグレリンを下げることで、食欲を抑制する。朝食には、スクランブル豆腐、ギリシャヨーグルト、カッテージチーズオムレツなどのタンパク質の多い食事を食べて1日を始めると、その日に食べるカロリーが135キロカロリー少なくなることが研究によってわかっている。

※この記事は、『Net Doctor』から翻訳されました。

Text: Annie Hayes Translation: Asami Akiyama