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空前のヨガブーム。始める理由は人それぞれだろうけど、ヨガを通して人生を立て直した女性がいる。

ストックホルム出身のレイチェル・ブラセンは、現在28歳で1児の母。飲酒運転をしたりドラッグに手を出したりと、精神的にかなり不安定だった10代の彼女を変えたのは、瞑想合宿とコスタリカでの旅行中に出会ったヨガだったという。2010年、カリブの島アルバに移住した後、ヨガ・SUPインストラクターとして教え始めた。

その後、彼女は自著『Yoga Girl』でニューヨークタイムズのベストセラー作家となり、ポッドキャストを開始したと思えばカフェをオープンし、初めての子育て中のヨギーとは思えないバイタリティを発揮している。良いことも悪いことも包み隠さず、いつも心から真実を語るレイチェルと、彼女を支える旦那さんの姿勢に共感するインスタグラムのフォロワー数は210万人にも上る。

正直、彼女の人生は幅も奥行きも広すぎて、ページ1枚にはとてもまとまらない。そこで今回焦点を当てたいのは、彼女の妊娠から子育てに至るまでの生き様。すでにママのあなたも、いつかママになるあなたも、きっと考えさせられるはず。

1.歴史をぬりかえた出会い

レイチェルは決して順風満帆の人生を送ってきたわけではない。彼女のインスタには、家族の死、両親の離婚など、彼女に大きな影響を与えてきた数々の出来事が綴られている。“別れ”が付いて回る家系だと信じ込んでいたレイチェルを変えたのが、旦那さんのデニス。ビジネスを始めたのも、借金を背負ったのも、マタニティ教室に通うのも一緒。出会って7年、今も心から愛し合うこの夫婦は本当に素敵。

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「これまで何かを決める度に怖い思いをしてきた。その中で最高の決断は、あなたに恋をしたこと。

私にとって、誰かと深く関わるのは簡単なことじゃない。私の両親も祖父母も本当に落ち着いたことなんて一度もない、私はそんな家系から来た。両親の離婚後、2人の義父と3人の義母がいたから、年下の兄弟姉妹が6人もいる。人間関係における長期的な献身がどんなものなのかも知らないまま。“家族とはこういうもの”という安定性の中で育ってこなかった。だって記憶にある限り、3年ごとに家族が変わったから。そこに愛が溢れていたのは確か。自分の家族を愛しているし、変えられるとしても変えたいと思うことは何一つない。でもその過程で、崩壊した家庭や付随してきては離れていった兄弟姉妹を見て、たった一人の人と一緒にいるという考えに対する不信感を抱いていた。

だからデニスが私に結婚を申し込んだときは怯えた。恐怖というよりは、興奮と期待で怯えたの。そして反対方向に走り出して二度と戻らないことを本気で考えたわ。私は別れることが当たり前の家系に生まれた。離婚、死別、分裂した家族。人と人が信頼し合って結ばれることに私は慣れていない。居心地が悪い。こんな私の人生にデニスほどの人がいてくれる理由が分からない。一人で幸せを築いていこうとする自分と闘ってきた。それでも、あらゆる予想に反して、私たちはここにいる。彼に結婚してほしいと言われて怯えたのに、逃げようとする自分の本能に打ち勝って“はい”と言った。“はい”と言ったのよ。彼を見ると時々思うー私はどうしてここにいるんだろう?と。私には私を完全に無条件で愛するこの人がいて、私も同じように彼を愛している。彼がどこにも行かないことにも、私がずっとここにいることにも確信がある。どんなに平凡だろうと普通だろうと、毎日は小さな奇跡。結婚して、幸せで、赤ちゃんが生まれる。すべてが100%美しい。愛することを選んだことで、歴史の流れを変えることが出来たのよ」

2.マタニティヨガで思いを馳せる

アルバに拠点を構え、ヨガレッスンや合宿を開催するレイチェルのお気に入りのヨガスポットは、やっぱりビーチ。妊娠によって今まで出来たことが出来なくなっても、体調がすぐれなくても、 こうして心を静かに自分を振り返り、来た道に思いを馳せれば、ほら前向きに。

「ある日の夕焼け。2つの鼓動。

最近の私のヨガの練習はだいぶ違う。妊娠21週目。今の私には何も合わなくて、ハンドスタンドのバランスもほとんど取れない。ハムストリングスは硬いし、腰は痛いし、鼻詰まりはひどいし、体のそこらじゅうが太ってきてる。でもなぜか今までで一番自分の体に平和を感じる。一つ一つの私の呼吸が、今はより大きな意味を持つ。とてもリラックスした満足な気分。とても十分。お腹の中で動き回るこの小さな生命には驚かされる。なぜかもうお互いを知っているよう。彼女はずっとここにいたような気がする。

もしかしたらすべて見ていたのかもね。私一人で歩いてきたわけじゃないんだね」

3.体はソファに、頭は世界に

レイチェルのバイタリティには頭が上がらない。きっとつわりが無かったに違いない、実はレイチェルは2人いるのでは、と思わせるほど、妊娠中にも関わらずビジネスを拡大し続けるスーパーウーマンだ。

「このコミュニティがすべて。毎日愛で溢れている。私たちが創っているものに、私が創り出してきたものに、人生が私にもたらしてくれたものに圧倒されている。すごく疲れているけど、同時にエネルギーに満ち満ちている。167平方メートルのヨガスタジオを開き、ホームページを拡大し、中古レンガとモルタルでスウェーデンのコミュニティ広場を造り、動物保護施設を建て、本を書き、出産の準備を全部同時に行うなんて、たぶんベストなアイデアじゃないよね。いや、もしかしたらそうかも?もしかしたらすべてこうなるはずだったのかもしれない。全か無か。そもそも無なんて存在せず、常に全なのか。触手を世界中に伸ばしたタコみたいな気分。やりたいことがただ本当にたくさんあって、助けたい人がたくさんいて、参加したいプロジェクトがたくさんあるの。今はただソファで横になってる。赤ちゃんがお腹を蹴ってる。仕事だらけ。こんな人生想像していなかったし、いつもぐちゃぐちゃで決して計画通りに進まない。でもそんなものよね」

4.産後ヨガのその意味は

出産後、「あぁ、昔の体形に戻りたい」「私はもう魅力的じゃない」と思ったことがあるなら、是非読んでほしい投稿がこちら。レイチェルは昔の自分に戻るためではなく、新たな家族と前に進むためにヨガをしている。

「産後の体を見せるなんて“勇敢”だというコメントを、あと一つでも読んだら私は叫ぶわ。産後3ヶ月目のありのままの姿を写真やビデオで共有する私に“勇気がある”という、そのコメントに悪意がないことは分かってる。でもそれって本当は、私の体を見て、完璧で美しくなければレイチェルではないと言っているようなもの。体重が6キロ増えて(妊娠中は18キロ増)、妊娠線があって、ぽっちゃり丸いお腹がある今、ちょっとは自分を隠しているべきだと言っているようなものだわ。“前の体に戻すために”何をしているのかよく聞かれるけど、前の体って?戻すって?後退する気なんてないし、私の体がかつての姿に戻ることはないと思う。子宮の中に半年以上もいた、4.5キロの人間を押し出したのよ。そして今はこの体で授乳してる。私の体がかつての姿になるなんてありえない。それって醜くなったってこと?魅力も半減?昔ほど尊敬できない?いいえ。私は今の自分の体形が大好きだし、減量したり、引き締めたり、細くなるためのエクササイズに繰り出す予定はまったくないわ。私には愛すべき3ヶ月の天使がいる。私の全エネルギーは、その小さな子に愛と優しさを与えることに注がれるの。もし、それと同時に自分の体のことまで心配しなきゃいけないなら、もし自分を評価して、産後13週も経っているのにまだ腹筋が割れないからって失格のレッテルを貼ったりしていたら・・・そんなこととても無理よ。自分を愛せなければ、どうやって自分の娘に無条件の愛を示せるの?私は私で幸せ。出来る時はヨガをしてるし、今日は少し走ってきた(ブラを2枚付けなきゃいけなかったし、きつすぎて吐きそうになったけど)。でも今は娘の柔らかさ、母乳をあげる時のお腹にぴったり収まる感じを堪能していることがほとんど。だからお願い。私がこの体を見せることを勇敢だなんて言わないで。スポブラでヨガをすることにではなく、出産したことに、子供を育てていることに、自分の意見を述べることに対して勇敢だと言って」

5.母親になって学ぶこと

レイチェルには、子育て以外にも母親になったことで学んだことがあるようだ。ちなみに、忙しい毎日をサポートしてくれているのはやっぱり旦那さん。時々町のカフェで執筆作業をする彼女のもとに、お腹を空かせたルナちゃんを連れてきてくれ、母乳をあげている間一緒に休憩するんだそう。

「スタジオで過ごす月曜の朝が一番好き。毎週フロークラスを教えて汗をかくことから始めて、朝食を取り(今日はアボカド&マッシュルームトーストとコーヒー)、オフィスの準備をする(キャンドルに火をつけて、お花に水をあげて、整理整頓して)。パソコンを開くのはそれから。周りが片付いていない状態で受信箱を開くのが好きじゃないの。まず、最も重要なタスクから始まるTo-Doリストを作り、人に任せられることは任せて残りの仕事に取り掛かり、終わったタスクにはチェックを付けていく。人に任せることー言い換えれば手放すことーを学ぶのは、母親としていくつものビジネスを運営するにあたって最も貴重なこと。自分で全部やるのは無理!人に任せることで、クリエイティブに本当に大切なことに集中する時間も、娘のそばにいてあげられる時間も増える。いつも忙しいけれど、いつだって楽しい」

「私の世界のすべて」

自分の力と家族の支えで人生を切り開いてきたレイチェルには、決して楽ではない毎日にも感謝し、それを楽しみに変える前向きさがある。また、ヨガを通して自分の感情を整理して受け入れる彼女の姿は、ヨガが私たちの精神に与えてくれる恩恵を再認識させてくれる。出産、育児、仕事にと頑張る女性の生き方のお手本として、これからも輝いてほしい。

Text: Ai Igamoto