インドで生まれたアーユルヴェーダは個性をとらえる医学。本場インドはもちろん、筆者の住むシンガポールや日本のように現代医学が発達した今も、アーユルヴェーダの治療を受けられる病院がいくつかある。インドでは、風邪にかかった場合は約80%の人がアーユルヴェーダのケアを受けるとも言われていたり、各家庭にはアーユルヴェーダのスパイスボックスがあり、家族の不調は母親がホームドクターになり台所はキッチンファーマシー(台所薬局)に早変わり。
医療と聞くと「医学的なことは、お医者さんに任せて」と思いがちだけれど、アーユルヴェーダは一人ひとりの個性を見据えたうえで、健康で幸せな生活をするための知恵を伝えてくれる生活に密着した医学なので、知恵さえ持っていれば自宅にいながら実践することができるのだ。
一人ひとりの個性というのは、”季節”、”年齢”、”時間帯”などに応じて移り変わっている。つまり、教科書どおりに従うのではなく、”今の自分”の状態を見つめながら、適切なケアを行うことが薦められている。
そして”今の自分”の体の状態を知るために役立つのが3つの『ドーシャ』を知ること。ドーシャとは、中国医学で言う”気”。つまり生体エネルギーに相当。ヴァータ、ピッタ、カパの3種類がある。
便秘はヴァータの乱れが原因になっていることが多い。実際、ドーシャをセルフチェックしてみると、便秘当時は90%近くヴェータ気質に当てはまっていた。
自分の体質を知った上で、食べた方が良いものや避けた方が良いものを知って”食べ方”を変えてみると、便の質がみるみる良い状態になった。
現在も定期的に、ドーシャをセルフチェックするようにしている。あるものを食べ過ぎる、寒い天気が続く、忙しくしすぎて質の良い睡眠がとれていないと感じると、ドーシャが変化し便の状態も変化していくので、ドーシャチェックは健幸を保つリマインダーとなっている。
参考図書 : 新版 インドの生命科学 アーユルヴェーダ