睡眠は大事だけれど、このご時世、運動をする時間を見つけることも同じくらい大切。夜に激しい運動をすると疲れてぐっすり眠れる感じがするけれど、寝る前に心拍数を上げると実は、よい眠りを妨げることになるそう。

夜遅くに運動することと睡眠の質の低さは、間違いなく関連している。複数の研究によると、前者が後者の原因になるのが一般的。その他、心拍数の上昇が認知機能の低下につながることを示す研究や、運動中に分泌されるストレスホルモンのコルチゾールが、メラトニン(就寝前に眠りを誘うホルモン)の分泌を抑制することを示唆する研究もある。

これらの研究で共通していたのは、高強度の運動をしていることだった。夕方に中等度の運動を積極的に行ったグループとなにもしなかったグループを比較した研究では、強度の低い運動が睡眠に及ぼす影響はなかっただけでなく、寝付きを早くし、質のよい睡眠時間を増やすのに効果的であることが示された。一方で、インターバルトレーニングのような高強度の運動を寝る1時間前に行った場合には、入眠までにかかる時間が長くなり、睡眠の質も落ちてしまうことが判明。

要するに、最大心拍数が75%を超えるトレーニングを10分以上続けるような高強度トレーニングに分類されるエクササイズは、1日のできるだけ早い時間に終わらせておくのがベスト。それでも眠れないのなら、原因は他にあるはず。例えば、カフェインはどのくらい摂っている? 研究によると、午後3時以降のカフェイン摂取は控えたほうがいい。体が寝る前までにカフェインの分解を終えられるように、8〜10時間の余裕を与え、コーヒーは多くても1日4杯までに留めるようにしよう。

あるいは、ストレスを抱えていない? 運動することで分泌される多幸感をもたらす神経伝達物質(エンドルフィン)のおかげで、ストレスが減少するのは確か。でも、仕事やプライベートで慢性的なストレスにさらされているときは、厳格な運動ルーティンをひっきりなしに続けようとするのは逆効果になることも。

強度にかかわらず、運動のし過ぎにも要注意。休息日(完全にトレーニングしない日を週に2日は設けること)を十分に確保しなければ、セロトニンが増加したりドーパミンが減少したりする中枢性疲労の発生リスクもあり、その結果として眠りにくくなることがある。もちろん、睡眠環境や生活習慣を改善することも大切。寝室はできるだけ暗くて涼しい静かな環境に整え、ベッドに入ったらスマホを見るのはやめること。これも、睡眠の質を下げる大きな要因だから。
 
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: 記載なし Translation : Yukie Kawabata

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川畑 幸絵
翻訳者

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。