慢性的なストレスは、倦怠感や発疹、脱毛など様々な健康の問題を引き起こしかねない。だからこそ、気分を良くし、迅速にストレスを解消するための術を知ることはとても大切なこと(もちろん、セラピーや薬物療法などの長期的な解決策を検討することに加えて)。

精神科医で米国精神医学会の女性学会長を務めるモーリーン・セイヤーズ・ヴァン・ニール医師によると、男性よりも女性の方が日々のストレスを感じやすいという。「子供や年配の親戚など、誰かしらのお世話をし続けなければならず、家事をこなす責任も担い続けています」と彼女は述べている。

基本的に、日々のどんなルーティンでもストレスは感じやすい。目を覚まし、自分もしくは家族の朝の準備、仕事、夕食作り、掃除、運動…さらにこのリストは続いていくだろう(そして翌日にはまたこのルーティンを一から行うのだ)。そんな毎日を生きるからこそ、ストレスを和らげる方法を学ぶことは、女性にとって、とても有益なこと。

「早急にストレスを解消することは、体と脳の両方に大きな影響を与えうるのです」と述べたのは、心療内科クリニック「Kentucky Center for Anxiety and Related Disorders」の設立者である臨床心理士のケヴィン・チャップマン博士。例えば、手っ取り早くリラックスする方法は、心拍数を通常のレベルまで下げ、体の恒常性を取り戻し、コルチゾールのレベルを管理するように脳に教えるのです、とチャップマン博士は説明している。(コルチゾールはストレスホルモンで、短時間の分泌であれば問題ないが、長時間にわたり高レベルで分泌されると体に悪影響を及ぼす)

メンタルヘルスの専門家によると、日常生活のストレスを和らげる方法は以下の20通り。できることから始めて、今すぐストレスを手放そう。

1. 自分をコントロール術を身につける

「今この瞬間にフォーカスすることは強い感情をコントロールするのに効果的です」とチャップマン博士。

彼によると、まずは瞑想アプリを利用して集中の仕方を身につけることがオススメとのこと。次に、自分でコントロールできるという意識を持って自分の1日を過ごす(例えば、手紙を書くために30分早く起きる、外に出る時はマスクを着用する、仕事の後はゆっくり走りにいくなど)。

2. ストレスをラベリング

ストレスにラベルを貼ることで、ストレスへの反応を変えることができる。ニューヨークの臨床心理士で『ウィメンズ・ヘルス』誌のアドバイザーであるクロエ・カーマイケル博士は「ラベリングでストレス要因を客観化することができます」と述べている。さらに、何がストレスかを特定することで、あなたが“ストレスを自己に融合させていない”ことを認識することができます」と彼女は説明している。ストレスと自己を切り離すことができなければ、ストレス要因は私たち自身に侵食してくるのだという。

さらに、例えば「今週は仕事量にストレスを感じている」というように問題にラベルをつけて、言語化することも大切だという。ストレスを言葉で表現することで「私たちは自動的にストレスをコントロールし、分類し始めます。あるレベルでは、話すことでストレスを管理できます」。

要するに、ストレスの多い問題に取り組むための最初のステップは、まずはストレス要因を特定し、自分自身から切り離し、どう改善するかを検討すること。

3. 「4-7-8」呼吸エクササイズにトライ

        深呼吸は、その瞬間のストレスに対処するための手っ取り早い方法だとヴァン・ニール医師。深呼吸は「体と心の化学的性質を変える」ことさえできるという。

        さまざまな呼吸法があるが、彼女がオススメするのは4-7-8メソッド。「肺から空気をすべて出し切ってから、4カウント息を吸います。最善の効果を得るには、『1001、1002…』と数えるのがベストです」。息を吸い込んだら、7カウント息を止め、ゆっくりと8カウントかけて息を吐く。これを4回繰り返す。

        4. 癒されることをする

        フワフワした犬の毛に顔を擦り寄せてもいい。もしくは、シンプルな祈りをしてもいいし、ウォーキングやランニングでもいい。重要なことは、リラックスした気分になることをすること、とヴァン・ニール医師。このリラックスできることは、人によって違うということも覚えておく必要がある。あなたにとってはリラックスできることでも、他の人にとっては違うかもしれない。

        「(リラックスできることが)ワークアウトの人もいれば、瞑想の人もいます」とヴァン・ニール医師は述べている。お気に入りの本を読むこともその一つ。あなたがリラックスできるためには何が効果的なのかを知り、特にストレスの多い日のために備えておこう。

        5. 自宅で“自分の日”を過ごす

        せっかくの休暇でも、経済的に余裕がないからという理由で家を出ないこともあるかもしれないが、大切なのは時間。まずは自宅で自分のための時間を過ごすこと。

        丸一日休むことができない場合は、プチ休憩を取り入れよう。「スケジュールを調整して意図的に自分の時間を守ることは、セルフケアには欠かせません」とチャップマン博士。例えば、午後6時を過ぎたら仕事を切り上げ、本を読んだり、パックをするなど、好きなことをして自分を喜ばせてあげて。

        6. 手抜きを許す

        手抜きしたっていい。野菜を切る、それが簡単なことだとしても、ラクをしてカット野菜を買ったっていい。もしくは料理自体をスキップして、レストランからテイクアウトすることも可能なはず。ドライヤーでブローして、アイロンでストレートにすることが面倒な時は、サクッとポニーテールにしてもいい。手抜きをする自分を受け入れられたら、ストレスも減らせるはず。

        7. ニュースの代わりにお気に入りの番組を観る

        今何が起きているか知るのは大切なこと。しかし、そのニュースがあなたを追い詰めているかもしれない。ニュースを見ることがストレスになっていると気づいたら、チャンネルを変えて気分転換。その時間で大好きな番組を見たり、YouTubeで楽しい動画を見たり、Podcastを聴こう。

        8. 毎日20分以上のエクササイズをする

        運動は素晴らしいストレス解消法。米国心臓協会(AHA)によると、血圧を下げ、睡眠を改善し、より活力を増すことができるという。

        しかし、効果を得るために毎日ツラいトレーニングに全力で取り組む必要はない。米国心理学会(APA)によると、「20分間のウォーキング、ランニング、水泳、ダンスを行うだけでも、ストレス解消の効果は数時間続く」という。ジムで30分間トレーニングするもよし、新しいフィットネスクラスにトライするもよし。

        9. 笑う

        最後に笑った時を思い出して。おそらく、その瞬間はストレスが減ったのを感じたはず。

        これには明確な理由がある。「顔にも緊張があるため、笑ったり笑顔になることでその緊張を和らげることができます」と米国心臓協会。

        そのため、FaceTimeで家族と話したり、ゲームで友達と遊ぶ時間を定期的に設けるべきだ、とチャップマン博士は述べている。家族や友人と話したり笑ったりすることで、孤立したりストレスを感じることで生じるネガティブな思考を取り除くことができる。

        10. 編み物を学ぶ

        編み物以外でも、縫い物や絵を描くことなど、あなたが興味を持つ“何かを作る”ことならOK。モノ作りのプロセスは、治療的な効果があるという。特に、編み物やかぎ針編み、クロスステッチのような反復的な作業が効果的。

        2016年に専門誌「Art Therapy」で発表された研究によれば、45分間のアート作成により、39人の唾液中のコルチゾールレベルが著しく低下したことが分かったという。陶芸やキャンドル作り、宝石作りなど、新しいことに慣れるにはイライラするかもしれないが、何かを作るという作業は長期的なストレス緩和になる。

        11. 好きな曲を聴く

        悲しい時、怒っている時、励ましが欲しい時、多くの人は感情に対処するために音楽を聴く。だからこそ、気持ちを落ち着かせたい時にも効果的なのだ。

        ストレス解消には特定の音楽(例えばゆっくりとした、リラックスしたテンポの曲など)を聴く方がいいと主張する人もいるが、2015年に科学誌「Psychoneuroendocrinology」に掲載された研究によると、何よりも大切なのはリラックスするために音楽を聴くことだという。例えば、意図的にストレスを和らげようとラジオをつけたとすれば、より注意深く耳を傾け、実際にストレスを解消しようとしているはず。意図的に行うことが大切。

        12. ヨガをする

        米国心臓協会によると、ヨガは運動、ストレッチ、瞑想、深呼吸を組み合わせているため、ストレスを和らげるためには素晴らしい方法だという。週に1〜2回はヨガのための時間を確保し(アプリやオンラインには無料でできるレッスンがたくさんある)、義務感やネガティブな思考を手放す時間を作ろう。

        13. ネガティブな思考の反芻をやめる

        口で言うほど簡単にできることではないが、米国心臓協会によると、ストレスレベルの改善に効果的だという。ストレスを悪化させないためには、反芻する考えをやめる必要がある、とカーマイケル博士は述べている。この種の思考から前進するための、行動ベースの方法を探してみよう。

        一方で、ネガティブな思考をグルグルと巡らせてしまうことには健康的な目的がある、とカーマイケル博士。それらのネガティブな思考は、あなたにとって間違っていること、動揺させていること、そして行動を起こす時が来たことをあなたに教えるためにあるのだという。そのネガティブな思考が生まれたことに対して何ができるか、状況をコントロールできるか考えましょう、とカーマイケル博士は続ける。あなたができる限りの方法で状況を修正しようとすれば、あなたの心を今この瞬間に戻すことができ、ストレスを軽減することができる。

        14. 1日15分間自分のための時間を作る

        同僚、友人、パートナー、子供たちと24時間・365日接している人にとって、毎日数分でも自分だけの時間を持つことは大切なこと。米国心臓協会は毎日15〜20分は自分のための時間を作ることを提唱。そこで好きなことをしてリラックスしてほしい。帰宅前に車の中で一息ついて好きな音楽を聴いたり、朝にコーヒーを飲みながらベランダでゆっくり過ごすなど。

        15. 人助けをする

        誰かに何かをする、それが自分のストレス緩和も助けてくれる。あなたよりも困難な状況にある人を助けることで、あなたの問題を見通せるようになるのだ。

        もし可能であれば、困窮している人へ食料品を送ったり、メールで励ましのメッセージを送ったり、手紙で感謝の気持ちを伝えることで、ストレスレベルを下げることができるかもしれない、とチャップマン博士。「簡単なことではありませんが、不安定な時に感謝の気持ちを表現することは大切なことです」と彼は述べている。

        16. 帰りたい時は帰る

        ハッピーアワーやZoom飲みで楽しむことが息抜きになる人もいる。そして、それが苦手な人もいる。

        もしあなたが後者なら、ストレスを解消する簡単な方法の1つが、その居心地の悪い場所から抜け出すこと(そして後からそんな自分を責める必要はない)。親しい友人とのこじんまりとした集まりを好むことに何の問題もありません、とヴァン・ニール医師も述べている。そして、得意でもないパーティーで一晩中ストレスを感じていても、何も良いことはない。

        17. お風呂に入る(泡風呂は除く)

        セルフケアを提唱する人の中には、温かいバブルバスのリラックス効果について語る人もいるが、水の中に浮かぶだけでもストレス解消の効果があることを科学が証明している。

        フロテーションREST(環境刺激制限療法)は、エプソムソルトを十分に入れたプールに仰向けで浮かぶという水治療法。2018年に科学誌「PLos One」に掲載された研究によると、エプソムソルトを入れたプールに1時間浮かぶと、不安障害やストレス障害を抱える人の不安が軽減されたとのこと。

        エプソムソルトのプールがあるスパを探してもいいが、自宅の浴槽に水とエプソムソルトを入れて自家製スパを作ってリラックスするのもいい。

        18. ルーティンに瞑想を加える

        あなたも1度は聞いたことがあるはず。瞑想は全体的なストレスレベルを下げることができる、とカーマイケル博士。「瞑想は、私たちが他のこととは一定の精神的な距離を保った上で、一つのことに集中できるようにします」と彼女は述べている。これは、あなたがストレスを感じている時に最適な方法。あなた自身を心から引き離し、ただ存在すると同時に、呼吸法とアファメーションを通してストレスを軽減させることができる。

        このため、カーマイケル博士はストレスを感じている瞬間はもちろんのことと、日常生活の中にも瞑想を取り入れることを推奨。「理想を言うと、ストレスを感じる前に瞑想をしたいのです」とカーマイケル博士。つまり、マインドフルな人間になることで慢性的なストレスそのものを手放すことを目指したいということ。瞑想アプリを使用して日常生活の中でルーティン化させてみよう。

        19. セルフプレジャーの時間を作る

        オーガズムはストレスを和らげることに非常に役立つ、とカーマイケル博士。「オーガズムや強い快感は、体内でドーパミンを分泌できます」と彼女は説明しており、一人でも、パートナーと一緒でも、この快感によって安心感を得て、孤独感を減らし、ストレスの改善につながるという。

        あなたが注目しているバイブレーターを買いたい、寝室でパートナーと新しいことにトライしたい、自分に意識を向けたいなど、そんな時の言い訳にどうぞ!(メンタルヘルスのために!)

        20. 温かい紅茶を飲む

        落ち着きたい時は、まずお湯を沸かすこと。「多くの人は湯気の立つ温かい紅茶で少しリラックスすることができ、その瞬間を意識することができるでしょう」とカーマイケル博士。温かい紅茶で“温もりと心地よさ”を作り出すことができると彼女は説明しており、さらに紅茶の香りは五感に心地よい感覚を与えるという。

        1日の終わりにはラベンダー、ミント、カモミールなどの伝統的なフレーバーでリラックスするのがオススメ。甘さが欲しい時はハチミツをプラス。

        ※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

        Translation: Ai Ono From Women's Health

        Headshot of Alexis Jones
        Alexis Jones
        Assistant Editor

        Alexis Jones is an assistant editor at Women's Health where she writes across several verticals on WomensHealthmag.com, including life, health, sex and love, relationships and fitness, while also contributing to the print magazine. She has a master’s degree in journalism from Syracuse University, lives in Brooklyn, and proudly detests avocados.