乳首のかゆみを訴えてかかりつけ医を受診することは、たとえば痔や異臭のするおりものについて相談するために予約を入れるのと同じくらい躊躇してしまうもの。けれど、事実は事実。もしかしたら、人生のどこかのステージで自分に影響を与える問題をはらんでいるかもしれない。

ではなぜ乳首にかゆみが生じるのだろうか、そして、かゆみが出たときにはどのように対処すればいいのだろうか。今回は、かゆみの原因を探るべく2人の専門家に解説してもらった。

  • アジョワ・ダンソ・ボアマ医師、総合診療医 (@theclinicdiaries)
  • アンジャリ・マトウ医師、皮膚科医、『The Skincare Bible』の著者 (@anjalimahto)

乳首にかゆみがあるのは普通のこと?

乳首のかゆみはほとんどが簡単に解決でき、悪性のものではないが、かゆみがおこる理由はたくさんある。また、健康に不安がある場合は、病院に電話するか、かかりつけ医の診察を受けるようにしよう。

もし、かかりつけ医を受診することになったら、ひとつだけ注意することがある。それは、「医師に患部を見てもらう準備をしておくことです」とボアマ医師は言う。そうすることで、問題の原因を発見しやすくなり、より深刻な問題の可能性を排除することができる 。

イライラの原因となる乳首のかゆみについて、以下で詳しく見ていこう。


1. 湿疹ができている

乳首やその周辺の皮膚が赤く炎症を起こしていたり、うろこ状になっていたり、かゆみや火照りを伴うなどの症状がある場合は、湿疹の可能性があるとマトウ医師は指摘する。

この症状に当てはまる場合、「質の良い濃厚な保湿剤」を勧められることが多いとボアマ医師は話す。さらに「肌の炎症がひどければ、ステロイド軟膏を勧められるかもしれませんし、より複雑な症状であれば皮膚科医を紹介してもらい、専門家に診てもらうことになるかもしれません」と語る。

2. 新しい製品を使い始めた

マトウ医師は、新しいシャワージェルやボディソープなどが、刺激になっている可能性もあると指摘する。

「もともと肌が乾燥しているのにエッセンシャルオイルを使い始めたり、新しい製品をたくさん全身に塗ったりしていませんか? 湿疹や皮膚炎になる理由はさまざまです。アトピー性湿疹は遺伝的な要因が強いとされていますが、刺激性接触湿疹やアレルギー性接触湿疹など、製品に関連するものもあるので、何か特定のものを使ったことで肌が敏感になっているかもしれません」

自分に当てはまると思ったら、「皮膚からの水分蒸散を抑えてうるおいを保ち、皮膚を柔らかくする効果のあるボディウォッシュに変えてみてください」とマトウ医師はアドバイスする。保湿剤は無香料のものにして、効果があるかどうか試してみよう。

3. 妊娠している

ボアマ医師は、妊娠中のホルモンの変化が乳首のかゆみを引き起こす可能性があると指摘する。妊娠後期になると、乳房が大きくなって皮膚が伸びるため、かゆみの症状が悪化する可能性がある。

4. 母乳育児中

母乳育児をしていると、乳首の炎症やかゆみなど、さまざまな問題が出てくる。乳首が割れるとその部分に鵞口瘡(がこうそう、乳幼児の口の粘膜にできるカビの感染症)が発生し、痛みや刺激を感じることがあり、乳首カバーを使用している場合は、それが原因で炎症を起こすこともある。

母乳育児をしていて、このような症状がある場合は、助産師、看護師、医師に相談しよう。

5. ブラジャーの素材にアレルギーがある

ブラジャーにはラテックスやゴムが使用されていることが多く、これらに対するアレルギーは決して珍しいことではないとマトウ医師は指摘する。また、生地には染料が含まれているので、それが問題になることもある。

「乳首のかゆみが新しいブラジャーをつけた時期と重なる場合は、質の良いコットン素材のブラジャーをつけてみて、効果があるかどうか試してみてください」とボアマ医師はアドバイスする。

6. 生理前

ボアマ医師は「生理前には乳房が張ったり、圧痛を感じたりすることがありますが、それが炎症の原因になっているかもしれません」と語る。この場合も、安価な素材のブラジャーを着用していると、かゆみが悪化する可能性がある。しっかりとフィットする、コットン素材のブラジャーに変えてみよう。

7. 過度のワークアウト

スポーツブラやジムウェアで乳首が擦れてしまうこともあるとボアマ医師は指摘する。濃厚な保湿剤を塗り、汗をかいた後はそのままにせず、すぐに洗うようにしよう。そして通気性のよいウェアを着るように心がけよう。

8. バカンスでプールに何度も入りすぎ

不思議に聞こえるかもしれないが、可能性はある。ボアマ医師は「プールに含まれる塩素が刺激になることがあります」「ホリデー中は、シャワーを浴びることなく、1日に何度もプールに入ることも。つまり、塩素が蓄積し、乳首の周りも含めて皮膚を悪化させている可能性があるのです」と指摘する。

乳がんについての注意点:

乳首のかゆみの原因が乳がんである可能性はかなり低いが、乳房や乳首の変化が乳がんの兆候である可能性があることは知っておきたい。

NHS(英国の国民保健サービス)では、以下のチェックリストを公開している:

  • 片方、または両方の乳房の大きさや形が変化した
  • どちらかの乳首から、血の混じった分泌物が出ることがある
  • 乳房の皮膚にくぼみがある
  • 乳首またはその周辺に発疹がある
  • 乳首が乳房の中に沈み込んでしまうなど、乳首の見た目が変化している

もしこうした症状がある場合は、かかりつけ医に相談し、診察を受けるようにしたい。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Masayo Fukaya From Women's Health UK

Headshot of Claudia Canavan
Claudia Canavan
Health Editor

Claudia is Health Editor at Women's Health. She commissions, edits and writes about topics including the happiness potential of less conventional relationships, the future of genetically modified food, how hormonal changes can play with your sleep and the ways in which vaccine disinformation spreads.