ストレス解消&集中力UPに効果? 今すぐできる“目のヨガ”
ベッドやソファでも簡単にできる目のエクササイズで、テレワークの疲れをほぐそう
“目のヨガ”が最新ウェルネストレンドのひとつになっているが、実際はアーサナ(ヨガのポーズ)やプラナヤマ(呼吸法)、瞑想などといったヨガ哲学と同じくらい遠い昔から存在する。
古くから伝わってきた実践と直感に基づくあらゆるプラクティスと同様に、現代の科学者たちは、最近になってようやく目をエクササイズすることでその働きを向上させ、心に安らぎをもたらすという研究をスタートさせたところ。
手軽にできて実は奥が深いこの目のヨガを覚えて、テレワークやスマホで疲れがちな目をいたわってみて。
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
Photos: Getty Images, Stocksy Translation: Masayo Fukaya FromHarper's BAZAAR UK
2020年にイヤというほど行なったアイローリング(ドラマや映画でもおなじみ、うんざりした時やあきれた時などに行う眼球を回転させる仕草)は、知らず知らずのうちに最もおなじみの習慣になっている。
実はこの動作は意識を別の状態に移そうとする脳によって表現されるメカニズムのことで、私たちの心は目を回転させることによって現実の世界から注意をそらしているのだそう。
シュリ・K・パッタビジョイスが創始したアシュタンガヨガでは、アイローリングは視線を安定させる9つのテクニック「ドリシュティ/ドリスティ(Drishti)」のひとつで、意識をコントロールし、姿勢を整えるために行うもの。
目線を安定させて意識をコントロールするこの方法は、冷静さと集中力のUPに驚くほどの力を発揮し、ストレスの多い状況下でレジリエンス(回復力)を高めてくれるという。
こうした理由から、バイクの教習所では目標物に視線を向ける「ターゲット・フィクシエイション」を最初に習う。バイクは自分が見ている方向に進むため、もし障害物を見続けているとそこにぶつかってしまう。したがって、バイクに乗る時の目線は、避けたい場所ではなく、常に進みたい方向に向けなくてはならないということ。
これは、筆者自身がバイクのレッスン中に思考を止めることができず、何度も壁にぶつかっていた経験のなかで得た、最も哲学的な発見だった。
幸運なことに目のヨガの方がバイクの練習よりもはるかに安全なので、ぜひ挑戦してみてほしい。眼球の動きとヨガのポーズを組み合わせることができない人は、ソファに座ったままでもこの練習を始めることができるし、首の動きと組み合わせることもできる。
目と首のヨガは、デスクで長時間過ごしたり、スマホを長時間見つめたりしている人には特に効果的。定期的に目を鍛えることで、頚椎上部の筋肉を活性化させ、テレワークによる眼精疲労の症状だけでなく、長時間デスクに座っていることによる頭や首の痛みを取り除くこともできる。つまり、目と首は繋がっているということ。
首の後ろ、頭蓋骨のすぐ下に位置する後頭下筋には、頭と首の位置を脳に伝えるために、筋肉の緊張を評価する膨大な数の固有受容体が含まれている。これにより、人間は全身の筋肉を連動させることができ、転倒せずに立っていられる。
後頭下筋は目の動きに反応するが、両手を頭の後ろで組む時のように添えて、親指を頭蓋骨の縁のすぐ下、首の後ろに置くことで、自分でもその反応を感じることができる。
首に負担をかけずに筋肉の深い層に触れ、目を閉じて、眼球を水平方向と垂直方向に動かして親指の下で小さな脈動を感じてみよう。この時に動いているのが、目から情報を受け取る後頭下筋だ。
長時間デスクに座っていたり、スクリーンを見つめていたりすると、眼球の可動域が制限され、筋肉が受け取る情報も制限される。その結果、首の筋肉に負担がかかり、バランスを崩してしまう。
目のヨガに挑戦してみたい人は、以下の6種類のエクササイズを試してみよう。誰かと一緒でも、自分だけでも練習することができるが、最初は少しめまいがする可能性があるので要注意。他のエクササイズと同様にまずはゆっくりと体を慣らしながら、無理しすぎないようにトライしてみて。
慣れてくるとめまいも治まり、エクササイズが上達するので、目の可動域が広がって眼精疲労が軽減される。また、姿勢や注意力、バランス、ひいては健康も改善される効果が期待できる。
1. 視線を上に向ける(アイローリング)
アイローリングや視線を上に向ける動作は、他の角度に比べて年齢とともに急速に減少する。“年をとると何事にも動じなくなるからアイローリングが減少する”と科学で証明されたわけではないが、普通に過ごしていて目を動かす機会があまりない人は、エクササイズを行ってみよう。
まず背筋を伸ばして座り、頭を動かさずに眼球を水平に左側へ動かし、そこにある何かしらの物体に焦点を合わせる。その後、ゆっくりと3回、時計回りに円を描くように視線を動かす。同じ動作を反時計回りに繰り返し、目を閉じてからしばらくリラックスする。
2. 焦点を合わせる
片方の腕を、親指を上に立ててまっすぐ前に伸ばし、その親指に焦点を合わせ、焦点が合わなくなるまでゆっくりと鼻の方へ動かす。腕を元の位置に戻し、同じ運動を10回繰り返す。
3. 近くと遠くに焦点を合わせる
まず、1つは遠く(自宅にいる場合は窓の外のどこか)、もう1つは近くに焦点を合わせる場所を決める。遠くのものに焦点を合わせて何度か深い呼吸を繰り返し、その後、近くのものに焦点を移す。
近くのものに焦点を合わせてから、できるだけ大きく息を吸い込み、完全に吐いてから、焦点を遠くのものに移す。このエクササイズを10回、もしくはできるだけ何度も繰り返す(ご近所さんに怪しまれない程度に!)。
4. まばたきをする
目を大きく開いて素早く10回まばたきをし、その後、目を閉じてゆったりとした深呼吸を5回繰り返す。これを5回繰り返す。
5. 手のひらで目を覆う
チベットヨガで開発された「パーミング」は、手のひらで目を優しく覆うエクササイズ。座って目を閉じ、手のひらで覆い、暗闇に集中する。すると、視神経への刺激と過負担からくる、あらゆる種類のチカチカするTVの砂嵐のような光に気付くはず。
私たちの目が光から回復するためには、暗闇が必要。目を閉じて光が消え始めたら、ゆっくりと手のひらを離し、徐々に目を開く。少し刺激を感じるかもしれないので、すぐに明るいものを見たりせず、ゆっくり慣らしていこう。
6. 鼻先を見つめる
このエクササイズは瞑想やプラナヤマ(呼吸法)と組み合わせて行うことが多く、「ナシカグラ・ドリシュティ(直訳すると“鼻先を凝視する”)」と呼ばれている。
背中をまっすぐにしてソファに座り、快適な姿勢を保ちながら自分の鼻先を見つめるだけなので、気軽に取り組むことができる。肩の力を抜いて両手を膝の上に置くと、背筋が伸びて集中力も高まる。
無理をしない程度にゆっくりと目線を鼻の先に向け、違和感を抱いたら目線を離す。眼がリラックスしていると感じられれば、5回以上繰り返す。