試合に出場することをやめた当時の年齢は24歳。一線を退くという決断をするには若すぎるようにも感じてしまう。選手としてのキャリアにストップをかけたのはなぜだったのか? それは、サーフィンへのモチベーションの変化だった。サーフィンの楽しさの原点であり一番のモチベーションは“勝ちたい”という気持ち。しかしいつしか、闘争心ではなく“上手くなりたい”という向上心が自分自身に向くようになったことに気づいたのだそう。
「10歳の頃にサーフィンを始める前はフラダンスを習ってたんですけど、私が習っていたフラダンス教室がたまたま大会出場をするようなところでした。ハワイの大会に出て、日本人チームで初めて入賞しちゃうような。そのときから、大会というものが楽しくてモチベーションになっていました。勝つことの楽しさを知っていたから、サーフィンでも、それが明確な目標だったし試合を楽しめていた、けど、20代になって勝つことへの意欲が薄れていることに気づいて。サーフィンへのモチベーションが、”勝ちたい“よりも“上手くなりたい”という気持ちに変化したので、試合には出なくなりました。今でも自分のサーフィンへの向上心はつねにあります。思い描いていた動きにピタッとはまったとき、波に対して思い通りの技がかけられたときが今のサーフィンでは一番楽しい瞬間です」