緑茶と紅茶――どちらも同じ「お茶」だが、味も見た目もまったく別物のように感じられる。
栄養に関するサービスを提供する「MPMニュートリション」の創設者で、ニューヨークに拠点を置く登録栄養士のマリッサ・メシュラムさんは、「どんなお茶も、栄養面でさまざまな効果を期待できます」と説明する。緑茶も紅茶もともに「カメリア・シネンシス(チャノキ)」という同じ植物から採られているが、最終的に味や見た目に違いが生まれているのだ。
「緑茶と紅茶が同じ植物から採れることを知っていても、味以外に両者を分ける違いがあるのかと疑問に思う人もいるかもしれません」と、カリフォルニアにある「パースリー・ヘルス」で栄養士&ヘルスコーチを務めるエリカ・ゼルナーさんも話している。
ゼルナーさん曰く、緑茶と紅茶の大きな違いは、収穫後の葉の処理方法にあるという。いっぽうで共通点もあり、例えばどちらもカフェインと抗酸化物質を豊富に含んでいる。しかし、この相違点も共通点もあくまで表面的な話に過ぎない。
ここでは、それぞれの効能や、どちらが自分に合うのかなどを紐解いてみよう。アメリカ版ウィメンズヘルスより。
紅茶と緑茶の違いは?
緑茶と紅茶はどちらも同じツバキ科の植物「カメリア・シネンシス(チャノキ)」が原料だが、以下のような違いがある。
加工の過程
「最大の違いは、その加工方法にあります」とメシュラムさん。彼女曰く、紅茶の葉は収穫後に乾燥させるため、空気に触れることで酸化するのだという。この工程が、最終的に紅茶の香りと風味に影響を与える。
その反面緑茶は、酸化を防ぐために収穫後すぐに加熱される、とゼルナーさん。これが、緑茶が紅茶よりもすっきりとしたハーブのような味がする理由のひとつだそう。
飲み方
緑茶と紅茶は加工方法が異なるだけでなく、飲み方にも違いがあると説明するのは、ニューヨークに拠点を置く登録栄養士で著者のケリー・ガンズさん。例えば、紅茶はミルクやハチミツ、レモンなどを加えて飲まれることが多いが、緑茶はそのまま飲むのが一般的。
ちなみに、コーヒーショップでよく見かける抹茶フラペチーノやチャイラテといったドリンクも、緑茶と紅茶から作られていることはご存じのとおり。チャイラテはスチームミルクやハチミツ、スパイスがブレンドされることが多いが、ベースは紅茶。抹茶ベースのドリンクは、緑茶の葉を細かく粉砕したものにスチームミルクやシロップなどを合わせて、クリーミーなテクスチャーに仕上げている。
カフェイン量
紅茶の特徴のひとつに、コーヒーよりもカフェイン量が少ないことが挙げられるが、紅茶は緑茶よりもカフェイン含有量が多い、とゼルナーさんは説明する。
紅茶一杯あたりには約47ミリグラムのカフェインが含まれているが、緑茶一杯あたりに含まれるカフェインは約28ミリグラム。つまり、午後遅めに飲むなら、紅茶より緑茶の方が睡眠スケジュールを崩す心配が少ないということ。
それぞれの嬉しい健康効果は?
ここまでは両者の違いについて説明したが、前述のとおり共通する特徴もある。それが、健康を増進してくれるところ。以下で詳しく見ていこう。
抗酸化物質が豊富
緑茶にも紅茶にも、心臓の健康を促進する抗酸化作用がある、とメシュラムさん。
メシュラムさんによると、「緑茶にはエピガロカテキンガレート(EGCG)が、紅茶にはテアフラビンが豊富に含まれています」とのこと。EGCGはがん、血糖値の管理、認知機能の健康に有益な効果があると考えられているそう。いっぽうのテアフラビンは、心臓の血管と代謝の健康をサポートしてくれる、とゼルナーさんは説明する。
カフェインが認知機能を活性化させる
メシュラムさんによると、緑茶や紅茶に含まれるカフェインは知能を刺激するため、集中力・エネルギーを高めたい朝や仕事中などに飲みたくなるのは、そのためかもしれないという。
加えて、どちらのお茶にもL-テアニンというアミノ酸を含むカフェインが含まれているが、これはコーヒーに含まれるカフェインとは異なる働きをする、とガンズさんは言う。L-テアニンはリラックスさせると同時に注意深さも促してくれるが、コーヒーのカフェインは時として不安やストレスを誘発することがあるという。
なお、紅茶より緑茶の方がL-テアニンの含有量が少し多いそう。
水分補給ができる
当然ながら、紅茶をいれるには水が不可欠であり、私たちは水を加熱・沸騰させて茶葉に注ぎ、味と香りを立たせている。つまり、お茶を飲むということは水を飲むことになるのだ。このことから、お茶は水分補給にも最適だとゼルナーさんは述べる。
日中の水分摂取量を増やしたいときは、緑茶や紅茶を飲み物リストに加えてもいいかもしれない。
では、結局どちらを飲むべき?
要するに、紅茶と緑茶はどちらもすばらしい飲み物で、適度に飲めば健康をサポートしてくれる。
とはいえ、カフェインに敏感な人は紅茶よりも緑茶を選んだ方がいいかもしれない、とガンズさんはコメントする。上述のとおり緑茶は紅茶やコーヒーよりもカフェイン含有量が少ないので、カフェインに敏感な人は、緑茶を選べばその影響をより受けにくくなるだろう。
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
From Women's Health US
高校生時代にアメリカンカルチャーの影響を受け、大学在学時にアメリカ・シアトルにてホームステイを経験。海外ドラマに関するWEBメディアでライターを務める。海外エンタメ・セレブ、ロイヤルファミリー、ヘルス・ウェルネス記事をメインに、翻訳を担当。手話技能検定3級、世界遺産検定2級、アロマテラピー検定1級を持つ。