年齢やフィットネスレベルに関わらず、体のどこかにセルライトがある人は多いはず。事実、女性の8~9割にはセルライトがあると言われているし、人の体はみなそれぞれ。でも、SNSやスパのメニューで最近見かける「ドライブラッシング」が気になってしまうのは仕方ない。

ドライブラッシングとは、ぼこぼこした問題の部位をブラシで擦るというメソッド。ドライブラッシングの支持者たちは、これでセルライトが消えて、肌がツルツルのツヤツヤになると言うけれど、それは本当なのだろうか? 皮膚科専門医に本当のところを聞いてみよう。

そもそもセルライトはなぜできる?

セルライトとして知られる皮膚のぼこぼこの原因は、皮膚のすぐ下にある脂肪の層。米マウント・サイナイ・アイカーン医科大学の臨床皮膚科学准教授、ハイジ・A・ウォルドーフ医学博士によると、セルライトは、帯状の線維組織が脂肪ポケットの間の皮膚を引き下げることで生じる。

残念ながら、セルライトに悩むのは主に女性。米国立医学図書館によると、遺伝、食事内容、基礎代謝、ホルモン変動、体内の水分不足も、セルライトの発現に関与する。

ドライブラッシングとは?

ウォルドーフ博士いわく、ドライブラッシングとは、その名の通り、毛先の柔らかいブラシで肌を擦り、古い角質を取り除くこと。角質除去のベーシックな手法ではあるけれど、付加的なメリットも多くある。

「ブラッシングしたエリアの血行がよくなるという説もあります」と話すのは、米マウント・サイナイ病院の臨床指導者で、認定皮膚科専門医のメーガン・フィーリー医学博士。

でも、擦った部位の血行がよくなるのは、ほんの短い間だけで、その影響が体の深部に届く可能性は極めて低い。また、フィーリー医師の話では、ドライブラッシングが血行を著しく改善するというエビデンスも、リンパ系(体内の組織から余分な水分を排出する機能)の毒素排出活動を促進するというエビデンスも、いまのところ存在しない。

ドライブラッシングでセルライトは目立たなくなる?

可能性はあるけれど、それは一時的なもの。先述の通り、ドライブラッシングは角質除去の一種なので、角質が取れれば、肌全体の手触りが一時的によくなってもおかしくない。

でも、セルライトを完全に消し去りたいなら、ドラッグストアでブラシを買うより、信頼の置ける皮膚科医か形成外科医に相談したほうがいい。

ウォルドーフ博士によると、いまのところセルライトを確実に取り除けるのは、帯状の線維組織を針と刃で切断する“サブシジョン”という方法だけ。

コラーゲン分解酵素を注入する方法も、臨床治験で好ましい結果を残してる。「波状のセルライトに注入し、線維組織の隔壁を減らすことで皮膚を引っ張り、ピンと張らせるのが目的です」とウォルドーフ博士。

ドライブラシの安全な使い方

ドライブラッシングでセルライトが永久に消えることはないけれど、擦ったあとの肌の見た目と手触りが好きで続ける人はいる。でも、ウォルドーフ博士によると、体は自力で古い角質を取り除く。「既存の皮膚疾患やアレルギーがなく、日頃からやさしく洗い、保湿して、紫外線から守っていれば、皮膚は自力で角質を除去します」

ただ気持ちよいからというだけでドライブラシを使いたいなら、毛先の柔らかい低刺激タイプを選んで。また、シャワーの直前にブラシを使うと、角質除去が促進される。

キーワードは肌にやさしく。「レス・イズ・モアです」とウォルドーフ博士。「週に1度、最小限の圧力で少し擦れば十分です」。角質除去は肌の乾燥を招くので、終わったら保湿力の高いボディローションをたっぷり塗って。

でも、敏感肌、湿疹、乾癬、じんましんのある肌にドライブラシを使うのは絶対NG。ウォルドーフ博士が言うように、皮膚の発赤、損傷、吹き出ものやニキビが見られるときも、ドライブラシで刺激するのはやめておこう。インスタ映えするスベスベ肌を目指しているのに、擦り傷ができたり、跡が残ったり、感染症になったりしたら、元も子もないから。

ORIENEX ボディブラシ

ボディブラシ

ORIENEX ボディブラシ

¥1,980
Amazon で見る

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Cassie Shortsleeve Translation: Ai Igamoto