『生理』や『セックス』などについては、多くの人が悩みを抱えているにも関わらず、なんとなく他人には共有しにくい環境下で過ごしてきた私たち。近年では『フェムテック』という言葉が誕生し、少しずつ可視化されるようになった。そんな問題にいち早く気が付き、女性の『膣』の大切さを伝え続けてきたのが、セラピストのKieさん。Kieさんの子宮と膣に特化した『福女(ポンニョ)』というサロンには、多くの悩みを抱える女性が集まる。そこで今回は、Kieさんに膣を研究するようになったきっかけや膣の大切さについて伺った。

韓国で『子宮管理』に出合う

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自らがマッサージされることが好きで、人にすることも得意だったことから、セラピストになったKieさん。もともとは顔のコルギや痩身専門のマッサージを行っていたという。しかし、韓国旅行に行った際、あるマッサージを受けたことが彼女の人生を変える。

「12年前に韓国に行ったとき、『子宮管理』というマッサージを受けたんです。子宮管理は、お腹の上から子宮をマッサージをする技術。受けたときはただただ痛かったのですが、次の日生理が来て、見たこともない、ものすごい量の血が出たんです。そのときのデトックス感は忘れられません。そこで、『これを学びたい!』と思い、2年間韓国を行き来し、子宮管理を学びました」

オリジナルメソッド『福女(ポンニョ)』が誕生

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2年間の勉強を終え、さっそくサロンに取り入れたKieさん。しかしまだフェムテックという言葉もない時代。時代を先取りしすぎて、周りからの反応はイマイチ……。

「このときは、女性の『性』の話がまだ開放されていない時期。そんなときに子宮のマッサージなんて、周りは『Kieちゃんどうしちゃったの』っていう反応でした。そのころは、『妊活で悩みに悩んで辿り着きました』など、ほんの一部の女性たちが探して来てくれる感じでしたね」

『子宮管理』の施術を始めたKieさんだが、あるときメソッドの改良の必要性を考える。

「韓国のマッサージって、『痛い、強い』が効くという風潮があるんですよね。その痛みにちょっと疑問を感じていました。ちょうどそのころ、私自身が仕事に没頭していて、セックス中も仕事の事が頭から離れず、濡れなくなってしまった事がありました。男性性も強くなっていたと思います。ここから美管理spaのコンセプトである『脳と子宮の解放』に意識を向け始めました。男性性に偏った天秤を女性性に戻してあげるような感覚で子宮をほぐして、たくさんの女性を癒やすお手伝いをしたいと考えました。そして何度も実験を重ね、習ってきた子宮管理をオリジナルに改良しました」

Kieさんは自分のメソッドに『福女(ポンニョ)』という名前を付ける。

「メソッドを改良してから、『Kieさんのマッサージを受けていきなりモテ始めた』『イライラしなくなった』『付き合う人間関係が変わった』など、うれしい変化が起きるお客さんがとても増えたんです。そこで、『福が舞い込んでくる女性に整えてあげる』という意味で『福女』と名付けました」

チェンマイで受けた膣マッサージの衝撃

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その後も海外でマッサージの勉強を重ね、どんどんサロンに取り入れていたKieさん。しかしそのころ、徐々に「膣の乾燥」が気になり始めていたという。

「さまざまな女性を施術していくなかで、だんだんと膣の乾燥が気になり始めていたんです。そんなとき、知人が『チェンマイで膣の中のマッサージをしてくれる人がいる』と教えてくれて、さっそくチェンマイに行くことに。山の中にいる仙人のような人だったのですが、そこで膣のマッサージを受けました。マッサージ中はただ痛いだけで絶叫していました。終わった後はそんなにすごさを感じなかったのですが、すこし時間がたったあとに鏡を見ると、今まで見たことないほどに顔が引き上がっており、肌のツヤに感動しました。さらに、ホテルに帰ったら、記憶がないくらいそのまま熟睡したんです。私は『膣だ!』と確信し、自分のサロンに膣マッサージを取り入れることを決意しました。 『また周りの人に頭がおかしくなったと言われるんだろうなぁ笑』と思いつつ、ここで諦めて、他の誰かが膣マッサージ始めました! なんて聞いたら、絶対やらなかったことを後悔すると思い、思い切ってメニュー化しました」

現在はオンラインで『福女』のレッスンを行う

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約3年前に膣のマッサージを導入し、さらにパワーアップした『福女』。コロナ前はお客さんの施術をKieさんが行い、自宅でできるマッサージ方法を教えていたという。しかし、コロナ禍とKieさんの妊娠・出産を機に、サロンをクローズ。現在はオンラインで多くの女性に『福女』のレッスンを行っている。

「サロンで施術を行っているころから、お客さんには『自分で膣に指を入れてみてください』と提案していました。オンラインになってからは、より多くの人に自分でできる膣マッサージを伝えることが可能になりましたね」

よもぎ蒸し講座と膣マッサージ講座を不定期で行っているKieさん。レッスンには、さまざまな悩みを抱えた人が来るという。

「膣の乾燥、外・中の炎症、かゆみ、ブツブツ、性交痛、ストレスなど、さまざまな悩みを抱えている人がレッスンを受けにきてくれます。福女を始めて、悩みを抱えている女性が本当にたくさんいることを感じますね。たとえば性交痛に悩んでいても、婦人科では解決できず、『仕方がないこと』と諦めてしまっていた人が、レッスンに来て一緒に背景を考えて解決することができる。とにかくお客さんが福女を知ったことによってキラキラして、ふわふわな女性になっていく姿を見るのが好きなんです」 

Photo: Masaru Furuya Text: Kaoru Sawa

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。