ボディポジティブ”という言葉をSNSで頻繁に目にするようになった昨今。かつてはパーフェクトだと思われていたモデルや女優たちも、セルライトがくっきりと映った写真をインスタグラムに投稿するなど「ありのままの自分」をさらけ出すようになった。そんなムーブメントに伴い“美の多様性”は広がり、受け入れられたかと思われた。しかし実際には、「痩せなきゃ」「人の視線が気になる」「自分の体が好きじゃない」という声を耳にすることはいまだ非常に多い。

そこで私たちが見つけたのは、昨年ウィメンズヘルスUK版の表紙を飾った、モデルでビューティーブランド「squish.」の創設者でもあるチャーリー・ハワード(@charlihoward)。体の声に正直になり、受け入れることで人生が変わった彼女のストーリーをお届け。

「馬鹿げた美の基準に振り回されるのは、もうたくさん」

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モデル業界に長く身を置いてきたチャーリーは、13歳の頃からダイエットのためにピルを服用。まだ少女だったにも関わらず周囲の大人たち、そして世間からのプレッシャーを感じ、「太っていることは悪」と思い込んでいた。彼女がこれまで経験したダイエットは数十種類にも及び、リンゴだけを食べるダイエットや1日500kcalしか摂取しないダイエットなど、痩せるためならあらゆる方法を試したとか。数字に誤りがあってはいけないと、体重計を2つ用意して1日に何度も計測していた日々。

そんな努力の甲斐もむなしく所属する事務所がチャーリーに伝えたのは、「あなたはモデルとして大きすぎる」。何度もそう言い放たれるうちに、悲しみを通り越して怒りを感じた彼女は、自身のFacebookでこのように投稿した。

「私は、あなたたち(モデル事務所)の馬鹿げた美の基準を満たしていないことで、恥ずかしくなったり動揺するような毎日を送るなんてごめんだわ。あなたたちがモデルに痩せて小さくなることを強制すればするほど、デザイナーは私たちのサイズに合わせて服を作り、そしてより多くの若い女の子が病気になる。そんなのは私がなりたかったモデルの姿ではないわ」

この発言はメディアでも多く取り上げられ、体形に悩む人々から共感の声が寄せられた。

本当に前向きになれるのは、不完全さを認めたとき

これまで、UKサイズ6(XXSサイズ相当)の痩せ体形から14(Lサイズ相当)のカーヴィ体形まで、変化する体と向き合ってきたチャーリー。かつてはどんな体形でも自身の体を好きになれずにいた。ぽっこりしたおなかを露出してメディアに登場すれば、「ボディポジティブを語るほどあなたは太ってない」とSNSで批判されたことも。でも彼女は、ボディサイズにとらわれず「私たちの体はみな不完全」と認めることで、本当の意味での“ボディポジティブ”を享受する道を見つけた。現在もインスタグラムや彼女が代表を務めるビューティブランドを通して、すべての人に美しさが宿っていることを強く伝え続けている。

痩せていたり太っていたり、ボディサイズは決して人の美しさをジャッジする要素ではない。それよりも体とマインドがハッピーかつ健康であることが、輝きを持つうえで大切だと覚えておきたい。

体形に悩むすべての人へ。チャーリーの著書「Misfit」

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Headshot of Sawako Motegi
Sawako Motegi
コントリビューティング・エディター

スポーツファッション・サステナブルの記事を担当。山梨県の富士河口湖町へ移住し、オンラインを駆使して取材活動を行う。フェミニズムや環境問題などの時事ネタやニュース、人を掘るのが得意。  2020年までウィメンズヘルス編集部に在籍。