ファッションの分野でも多様性が受け入れられるのが当然になった今は、ランウェイをいろんな体形、肌色、年齢のモデルが歩く。そんななかウィメンズヘルスが注目するのはオランダ出身25歳のカーヴィモデル、Jill Kortleve(ジル・コートリーヴ)。インスタグラムのフォロワーは13万人を超え、ランウェイや雑誌の表紙に引っ張りだこな彼女。人気の理由は一体? 「ボディポジティブ」を体現する彼女の魅力に迫る。
ファッション業界がインクルーシブへと変化したとき
ランウェイを歩くモデルの“痩せすぎ”が騒動になり、「体形のダイバーシティをファッション業界も受け入れるべき」という声が広がったのは約3年前 。アシュリー・グラハムやパロマ・エルセッサーなど、いわゆる“プラスサイズモデル”が名だたるブランドの広告モデルを務め、モード誌の表紙を飾るなどこれまでの常識を打ち破る変革が起きた(しかしランウェイに登場するのはいまだサイズ34のモデルが多く、多様性はまだまだ受け入れられていないという声もある)。
ジルが一気に注目を集めたのは、今年3月に行われたパリコレクションで「シャネル」のランウェイを歩いたときだろう。それ以前もアパレルブランドの広告に登場していたが、「シャネル」がカーヴィモデルを採用したのは実に10年ぶり。堂々たる姿で歩くジルの姿は、ファッション業界人に留まらず彼女と同世代のミレニアルズをも魅了した。
ジルの魅力は何といってもエキゾチックな顔立ちと曲線的な体つき、そしてSNSで垣間見える茶目っ気溢れるライフスタイルだ。インスタグラムに投稿された私服は、ハイウエストジーンズに「チャンピオン」のスウェットという何とも庶民派なスタイル。ボーイフレンドとの写真や家族とダンスする姿も公開しており、25歳らしいありのままの暮らしに親近感を覚える。
彼女自身、他のモデルと比較し過度な食事制限を行っていた時期も。肉体的にも精神的にも追い込まれたが、他の誰かを目指すのではなく自分らしさを追求するようにマインドをシフトしていったとか。「シャネル」のランウェイを歩いたジルは、「この瞬間に、ここに立たせてくれたすべての人に感謝します。まだまだ多くの変化が求められているランウェイで、私がその一部になれたことを誇りに思う。近い将来、かつて規定に沿えず舞台に上がれなかったモデルたちと一緒に仕事ができるようになることを望みます」と話している。
「ボディポジティブ」という言葉からは、なんとなく“太っていても、痩せていても肯定されるべき”とサイズばかりをメインテーマに話されることが多い。いわゆる普通体形が多い日本人女性は特に、自分との関連性を見出せないかもしれない。しかし「ボディポジティブ」には、“運動・食事・休養という健康的な生活”や、“他者の目線に翻弄されず心身が心地いい状態”から生まれる精神的な健やかさが前提あるはずだ。その先にある外見は誰からも(自分も含め)否定されるべきではない。ジルのカーヴィな体つきからは、そんな前向きなマインドから生まれる自信と美しさが見て取れる。