最近ではレースだけにとらわれないランナーも増え、気分転換、通勤、ダイエット、健康維持など、走る目的も様々だ。目的意識の広がりとともに、シューズのバリエーションも多様化し、ここ数年でシューズ“は“選べる時代”になった。一方で、初心者では選び方がわからない、という声も。そこで、目的別に分けたランニングシューズの選び方や初心者に知ってほしい履き方など、専門家の意見を踏まえ、ランニング歴15年のエディターChieが実際に履いてよかった選りすぐりをご紹介。自分に合ったシューズ選びはケガ予防をし、習慣化にするためにもとても重要なことなので、吟味して選んでみよう。

スニーカーで走っちゃダメなの?

答えはYES! 大きな違いはソールとアッパー(ソール以外の部位)の機能性にある。一般的な街履きシューズはデザインが優先されるが、ランニングシューズは、着地時の膝や足首、股関節などの衝撃を軽減させる最低限の機能(=クッショニングやフィット)を担保していなければならない。歩く時と比べて、走る行為は着地時に何倍もの負荷を関節にかけてしまう。にもかかわらず、サポートのないシューズを履いたままで走ると、膝や股関節の故障の原因になることもあるので注意して。

どう選ぶ? 自分に合ったランニングシューズの見つけ方

1. 幾つかのブランドのシューズを実際に履いてみる

面倒かもしれないが、初めてのランニングシューズはネットではなく、実店舗で試し履きをして、選んでほしい。というのも、足の形は人それぞれなのに、たいがいの既製品は各社同じラスト(ベースの足の形)を使っていることが多く、各社それぞれのものを使っているため、例えば同じ23.5cmのサイズでもフィット感が異なるからだ。まずは履いてみて、好みのフィット感を持つシューズを見つけよう。

2.初心向けのシューズの特徴を知って選んでみよう

実際に店舗に行ったら、どれを手に取ればいいの? まずは、ランニングシューズコーナーを見つけて、その中から、ソールが厚いものを手にとって。何種類かあるようだったら、好みのデザインのものから優先的に手にとって試し履きをしてみよう。

ただ、多くのエリートランナーが新記録を出し話題となっているナイキの厚底シューズなど、ソールが厚くても初心者に向けて作られていないことも稀にあるので、試し履きの前に、気に入ったものは一度ショップスタッフの人に初心者向けか確認してみるといい。

3. 走る目的を考えてシューズを選ぶ

シューズ選びは、モチベーションを上げるためにも、自分の好みであることがまず第一。次に、走る目的は、まずどこにあるのかに意識を向けて。ダイエットのためだったら、長期間、継続できるようにクッショニング力が高いソールが厚めのものを優先して選ぶべきだし、気分転換やリフレッシュ程度であれば、多少ソールが薄くても街履きとしても使えそうな汎用性のあるものを選べばいい。レースに挑戦だったら、トレーニングへのレスポンスが高いものを選ぶべき。あなたの走る目的はどこにある? 

4. 試し履きの際は正しく履いて、フィット感を確認

普段履きのスニーカーと違って、ランニングシューズは履いた時にいかにフィットしているかが重要だ。ランニングトレーナーの鈴木清和先生によると、正しいフィット感は以下の条件で確認してみるといいそうだ。

1.つま先立ちをするように、踵をあげながらMP関節(足指付け根の屈折するところ)を曲げて床に足をつく。
2.その状態のまま足を左右に揺らして、パツパツと感じるほど足にフィットすれば、そのシューズが足に合っているということだ。

走行中は、着地時と蹴り出し時で足の形状が大きく異なる。MP関節が地面と接している蹴り出し時は、甲の高さがぐっと上がり、指も開いた状態に。ランニング中の足幅が一番広がる(甲が高くなる)時を再現すれば、正しいサイズを選べるというわけ。さらに、シューズを買うときは厚い靴下と薄い靴下、どちらも持参して。両方試すことでより納得できるはず。

その他、結び方などの詳しい詳細は関連記事をチェック。

5. 安いからとりあえず買うはNG!

最新のランニングシューズは機能性やデザイン性も高くなっていて、そのために市場価格も上がっている。もちろん、価格を抑えたシューズもあるが、価格設定の裏付けは“機能性”に尽きる。ランニングを始めるモチベーションにもよるけど、せっかく始めるなら、“走る心地よさ”を感じられる一足を見つけて。中には走り心地はもちろん、走れるスピードさえもボトムアップしてくれるシューズもある。時間をかけて自分のために最高の相棒を選ぼう!

主流のシューズ、エナジーリターン率って何?
最近よく耳にする“エナジーリターン率”。これは足を踏み込んだ時のパワーを蹴り上げた時のエネルギーに変換し、次の一歩へスムーズな足運びへとつなげるために設計されたシューズの特徴(エナジーリターン)を指す。要は、自分の今までの走力以上に速く走れるようにサポートしてくれるシューズのことだ。カーボンポレートを搭載したシューズが台頭するが、最近ではファンランナーに向けてもエネルギーリターンを意識したシューズが出ている。

初心者にも安心な最新ランニングシューズ17選とは?

実際に走ったからわかる、買って間違いない1足はどれ?

毎シーズン、各ブランドから数々のランニングシューズが発売される中、いったいどれを買ったらいいのかわからない? そんな迷えるランナー達に、筆者が実際に走ってみてオススメできる3つのベストヒットシューズをご紹介。

1.【ホカ オネオネ】カーボンプレートを搭載したクッショニングと反発性を併せ持つマルチプレイヤー

ホカ オネオネ ランニングシューズ
ホカ オネオネ

ウルトラ(長距離)やトレイルレースなど、ロングディスタンス向けに開発された超クッショニングソールを持つ”ボンダイ”シリーズから、遂にカーボンプレートを搭載した新たなランニングシューズ「BONDI X(ボンダイ エックス)」。元々のモデルとなる「ボンダイ」(後述、No.6で紹介)は、厚底の見た目通り、高いクッショニングを持つことから、走るだけでなく、”歩きやすさ””合わせやすさ””他にはないデザイン性”と、スタイリストを始めとするファッション界の人たちの”(撮影)現場シューズ”として愛されたことから、ライフスタイルシューズとしてもヒット。そのシリーズのハイパフォーマンスシューズとして満を持して発売された「ボンダイ X」はメディアでも大きな注目を浴びている。箱根駅伝の山の神の一人である、柏原竜二をも虜にした走り心地は、”スムーズ”且つ”高い安定性”が特徴。初心者でも憧れのカーボンプレートの履き心地を感じたい人に、ぜひファーストシューズとして選んで欲しい。

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2.【ナイキ】ブランド屈指のベストセラーに確変! 走り心地がさらにアップデート

ナイキ ランニングシューズ
ナイキ

シリーズ38作目を迎えるナイキの「ナイキ エア ズーム ペガサス 38」。トレーニングにもレースにも汎用できるとあって、多くのランナーから愛されるモデルだ。筆者も幾つかの年代のシリーズを履いていたが、このモデルは前モデルと比べ、走り心地が大きくアップデートされていることを実感。いい意味で、別のシューズになったと言っても過言ではない。安定性はもちろんのこと、着地時の独特なクッショニングとスムーズな足運びが最大の特徴とも言える。スタイリッシュな見た目は、普段着にも合わせやすく、フリーストレスなお出かけを約束。

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3.【ニューバランス】”女性好み”の軽やかすぎる着地と蹴り出しが魅力

ニューバランス ランニング
Tomorrow Creation

”エリートモデル”となると、なかなか敷居が高そうで気が引けてしまうランナーもいるかもしれないが、ランニングの”向上”を考えている女性にはぜひとも「FuelCell RC ELITE W VB2」検討して欲しい1足。ソールにはカーボンプレートを搭載。アウトソールのスウィートスポットが広めに設計されているため、着地はブレにくく、かなり軽い蹴り出しを実感できるだろう。重たいシューズが苦手で、とにかく軽い走り心地を求める人にオススメ。

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【目的:ダイエット】怪我をせず走る習慣を持ち続けることが重要

走る始めるきっかけとして最も多いのが“痩せたい”から。ただ、何も知らないでいきなり走り始めると、実力以上に長い距離を走ってしまったり、速いスピードで走ってしまったりして、膝や足首などを故障し走り続けられなくなることが往々にしてある。怪我の故障をしないためには、十分なクッショニングを持ったソールを見つけよう!


4.【ナイキ】”怪我ゼロ”プロジェクトから生まれた、新感覚の履き心地

ナイキ
ナイキ

ミッドソールには噂の最速厚底シューズと同じ「 ナイキ ズームX フォーム」をミッドソール全面に採用した「 ナイキ ズームX インヴィンシブル ラン」。

ふかふかな着地感でも路面を捉える感触があり、蹴り上げが軽い。走って数歩でクッショニングを実感でき、まるでオフロード(土の上)を走っているような感覚。また、ソールのかかと部はかなり広めに設計されているので、初心者でも安定したランニングを提供してくれる。

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5.【アシックス】トランポリンからインスピレーションを得た、弾む推進力

アシックス
アシックス

アシックス史上最も反発性を発揮する「FLYTEFOAM™ Blast」を全面に採用した『ノヴァブラスト』。アウターソールの中央部分のくぼみが特徴で、フォームと連動することにより、トランポリンの上で弾むような感覚が得られるという。前へ前へと、シューズが勝手に走りだしてくれるような走り心地を実現。

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6.【ホカ オネオネ】元祖厚底。ブランド史上最高のクッショニング

ホカ オネオネ ランニングシューズ
ホカ オネオネ

トレイルランニングという長く過酷な距離と路面を快適に走りきるために着想を得て構造された「ホカ オネオネ」のシューズ。いつくかあるシリーズの中でも最も高いクッショニング力をもつ「ボンダイ 7」は安定性もあり初心者のみならずウルトラ(50km以上の距離を指す)ランナーにも愛用される逸品。

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7.【プーマ】カーボンプレートを搭載した初心者にも優しい一足

プーマ
プーマ

新たにカーボンプレート市場に名乗りを上げたプーマ。このランニングシューズ「デヴィエイト・ニトロ」の最大の特徴は “走力を問わない”こと。独自に開発された、かなり柔らかな新素材フォーム「NITRO Foamミッドソール」が着地時の衝撃を緩和すると同時に、カーボンプレートによる反発性も両立。

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【目的:レースデビュー】エネルギーリターン率の高いシューズは速く走れる

せっかく始めるのだから、最高のスペックを持った一足を味方にしてみよう。プライスは高めだけど、未来の自分に投資するなら、走り心地を追求したこだわりの一足を見つけて。

8.【ナイキ】どんなランナーも最速になれる、驚きの推進力を感じて

ナイキ
ナイキ

非公式ながら、前人未到の世界新記録を打ち出したシューズとして話題となった厚底シューズと同じ仕様となる「ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%」。ミッドソールにはカーボンプレートではなく、合成素材で作られた柔らかめの1枚プレートを内蔵しており、その分着地時の反発が柔らかく、初心者にとってはよりスムーズな蹴り上げを約束。前足部に搭載されたズームユニットが反発力をサポート。

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9.【ミズノ】ダイレクショナルな着地感とアッパーのフィット力に注目

ミズノ
ミズノ

ブランド最高峰のクッショニングフォームを持つ「MIZUNO ENERZY」を搭載。ソール全体に反発力を生むフォームと安定性を向上させるミズノウエーブを組み合わせることによって着地時に推進力を感じさせる構造に。スリッポンタイプのアッパーはフィット感が抜群。

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10.【ホカ オネオネ】未だかつてない、フレア型のアウトソールは究極の安定を追求

ホカ オネオネ
ホカ オネオネ

アウトソールのフォルムに特徴を持つ「クリフトン エッジ」。従来のランニングシューズに比べ、かかと部分の面積を大幅に広げることで、着地時の衝撃を抑えると同時に、体自体のブレも抑えられているよう。安定した踏み込みは、かかとからつま先への体重移行がよりスムーズに。

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11.【ブルックス】確かなクッショニングとレスポンス力

ブルックス
ブルックス

ランニング大国アメリカでシェア率の高い老舗ランニングブランド「ブルックス」。おすすめはミッドソールの素材「DNA FLASH」を搭載した「ハイペリオンテンポ」。軽く、弾力性もあり、反発力も丁度よく、”走りを邪魔しないライド感”が魅力だ。そのニュートラルな走り心地は、自然に自分の“走り”に集中できてしまうほど。

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12.【ニューバランス】ブランド史上最高のエネルギーリターンを実現!

ニューバランス
ニューバランス

ニューバランスの特徴は、足長だけでなく、足幅のサイズレンジも選べるというところ。日本人は比較的足幅が広い人が多いので、好んでリピートするランナーも多いブランドだ。おすすめは反発性に優れるフォーム「FuelCell」のミッドソールにさらにカーボンファイバープレートを搭載した「FuelCell TC」。流れるような蹴り出しで、足抜けを良くしてくれる新感覚のあるシューズ。

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【目的:ON/OFF両用】ランニングシーンだけでなく、日常使いにも取り入れたい

ビギナーの場合、継続ができるかが不安要素。だからこそ、デイリーにも汎用できるデザインのものをチョイスしたいもの。そこで、持続可能な生産過程を持つプロダクトから、長く愛用できる定番アイテムをピックアップ。

13.【オールバーズ】未来に残すべき、100%サステナブルなランニングシューズ

オールバーズ
unruhjones production studio

サンフランシスコで生まれたシューズメーカー「オールバーズ」は、カーボンフットプリント(CO2e・温室効果ガス)排出量を、すべての製品に対して表示。このランニングシューズ「ツリー ダッシャー」はユーカリ繊維で編まれたワンピース構造のアッパーに、サトウキビから作られた「スイートフォーム™」を使用したミッドソールと、完全なる自然由来の素材で生み出された。シンプルな履き心地で、シューレス部分がポイントとなる愛らしいデザインは普段の着こなしにもマッチする。

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14.【ヴェジャ】非石油素材を用いたスタイリッシュなデザイン

ヴェジャ
ヴェジャ

サステナブルなシューズブランドとして知る人ぞ知る「ヴェジャ」のランニングシューズ。ソールやアッパーのパーツには100%リサイクルペットボトルやヒマシ油を使用した「CONDOR2」。クラシックなデザインだが、見た目を裏切る軽い履き心地と、十分なクッショニングで、耐久性の面でも申し分ないスペックだ。ONにもOFFにもシームレスに履ける一足。

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15.【サロモン】ファッションからも注目されるブランドの本格派ロードシューズ

サロモン ランニングシューズ
サロモン

フランスのアウトドアブランド「サロモン」。近年ではファッションブランドとのコラボレーションが注目され、スポーツショップだけでなく、セレクトショップなどでも見かけるようになった。30年にわたるシューズ開発におけるノウハウから、高い機能性はもちろん、デザイン性の高さにおいても一目置かれているサロモンのロードシューズは、”他の誰かと同じじゃいや”という人にオススメ。”ヒザを守る”をコンセプトに筋肉や腱の自然な伸張を制限することのないように開発された特許技術はそのままに、さらに耐久性を高め、今年9月にアップデートした「PREDICT(プレディクト)2」。モノトーンのランニングスタイルに◎。

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16.【オン】シームレスに使えるグッドルックスのオールランドシューズ

オン
オン

スイスで生まれたミニマルなフォルムが人気の「オン」。バネのように設計されたアウトソールは特許技術である「CloudTec®」素材を採用。足の動きを矯正させないことを念頭に開発されたクッショニング技術。自由なランニングを叶えるラインナップの中でも「クラウド」は、どの走力のランナーにもマッチするバランスのとれたシューズ。

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17.【アディダス】サステナブルに進化! 元祖”街履き”ランシュのニューモデル

アディダス
アディダス

”雲の上を走るような感覚”として名高い、アディダスのオリジナルフォーム「BOOST」。ミッドソール全てにそのフォームをあしらい、ブランドの中でも極上のクッショニングを提供する「ウルトラブースト」の最新モデルは今まで以上にエネルギーリターン率を高めている。アッパーには海洋プラスティックをアップサイクルした素材を使用。

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【番外編】自分のフォームを可視化してコーチングを行うアプリを相棒に

アシックス
アシックス

カシオとアシックスが協業し、ランニングフォームの見える化を行うセンサー「MOTION SENSOR」を開発。腰に装着するこのセンサーが、ランニング時のフォーム・ペースを分析。アプリ「Runmetrix」※無料に同期させると、改善に向けたアドバイスと目標を設定してくれるという。シューズやスマートウォッチはなんでもOKというところも嬉しい。

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フィットしていないままで続けてしまえば、大きなケガにつながり、一生走れなくなってしまうことだって少なくはない。体作りと一緒に、体をサポートしてくれるギアを見つけて、楽しいランニング生活を送っていこう!

Headshot of Chie Arakawa
Chie Arakawa
ウィメンズヘルス・シニアエディター

タレント・アスリートインタビュー・スポーツファッション・ウェルネス記事などを担当。女性誌FRaUでファッション・スポーツ・ダイエットなどの編集キャリアを積み、その後スポーツライフスタイルマガジンonyourmarkのプロデューサーとして在籍後、2022年までウィメンズヘルス編集部に在籍。