できることなら砂糖中毒から脱却したいけれど、なにからどう始めたらいいのかわからない? であれば、この記事はあなたのために書かれたもの。

砂糖といえば、長年悪い評判ばかり。体重の増加や病気と頻繁に関連付けられ、健康を害するものとして、どんなダイエットでも敵扱いされる。でも実際は、ほかの栄養素と同じように、食べ方がキーとなるだけ。確かに砂糖は、摂り過ぎると健康被害を招くことになる。でも適度に食べるくらいなら、そこまで気にすることはない。アメリカ版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

砂糖は炭水化物。三大栄養素の一つで、生きるために欠かすことができないもの。砂糖には、主にブドウ糖、果糖、乳糖、ショ糖の4種類がある。ショ糖は、ケーキや甘い飲みものをより甘く美味しくするための砂糖の一種で、体に悪いとよく関連付けられているのがこれにあたる。果糖は、果物に含まれる天然糖のこと。乳糖は、乳製品に含まれる天然糖のこと。ブドウ糖を多く含む食品には、ハチミツやアガベ、フルーツジュースなどがある。

でも、これら4種類の砂糖には、一体どんな違いがあるの? 簡単にいうと、各糖類に含まれる栄養素が違う。ショ糖は、甘くするために食品や飲みものに加えられ、「エンプティカロリー(カロリーは高く、栄養は空っぽという意味)」といわれることが多く、栄養素の観点でみるメリットはほとんどない。残りの3種類の砂糖は、果物や野菜、パン、パスタ、牛乳にもとから含まれているもので、さまざまな栄養素やビタミン、ミネラルを含有している。

どの種類の砂糖にせよ、長期にわたって摂取し過ぎていれば、あらゆる体の臓器に健康被害を加えたり、虫歯になる恐れもある。でもよく聞いてほしい。栄養価の高いバランスの取れた食事の一部として砂糖を摂取することは、なにも悪いことではない。

ascending sugar cube graph with descending arrows indicating to reduce sugar intake and healthy nutrition
cagkansayin//Getty Images

それでも甘いものをやめたい、砂糖の摂取量を減らしたいと切実に思っているなら、栄養士からの17のアドバイスを参考にするといい。ただし、とくに妊娠中や服用中の薬がある人、摂食障害や病歴がある人、またはそのリスクがある人は、今までの食事内容を変える前に、必ず医療提供者に相談すること。

どのくらいの砂糖なら摂取しても問題ない?

イギリスの国民保健サービス(NHS)のガイドラインによると、砂糖は1日に摂取するカロリーの5%未満に抑えるべきとのこと。つまり、30g(角砂糖約7個分に相当する)以下の摂取であれば問題ない。この30gに、バナナやリンゴの天然糖は含まれない。

砂糖断ちにはどれくらいの日数がかかる?

はじめに。科学的な観点からいえば、糖の摂取をやめることはできない。私たちの体は、燃料や、脳、中枢神経系、赤血球を正常に機能させるために糖を頼っているから。でもあなたが望むなら、食事から砂糖の摂取量を多く減らすことは十分可能なこと。

また、私たちの知る限りでは、砂糖断ちにかかる日数について臨床研究に基づく数字はなく、どれくらいの期間砂糖を食べないでいるべきかを示す明確な答えもない。

だが、3日間砂糖(果物やジュースに含まれる糖類も含む)を摂らないでいると、味覚がリセットされ、野菜や果物の甘みをより深く味わえるようになると実感する人は多い。砂糖抜きの食事プランは、通常8週間は行う。その後、フルーツやダークチョコレートを少しずつ取り入れていく。

心に留めておくべきことは、すべての人は異なることを理解すること。砂糖を減らすことを容易いと感じる人もいれば、砂糖断ちがすべての人に適しているというわけでもない。

1ヵ月砂糖を摂取しないでいると、体にどんな変化が起こる?

砂糖断ちの影響は、それまでどのくらい砂糖を摂取していたか、栄養や水分、ストレス、睡眠の質など、あらゆるライフスタイルの要因や、年齢、遺伝などの個人的要因によって全く異なる。砂糖を1か月間やめた場合に、あなたの体がどう反応するかは一概に言えないけれど、砂糖は中毒性があるので、砂糖をやめて最初の数週間は禁断症状を経験する可能性がある。これには、以下のような症状がみられる。

・不安感、落ち着きのなさ、神経質

・憂鬱感

・ブレインフォグ、集中力の欠如

・睡眠パターンが変わる

・ふらつき

・吐き気

・倦怠感

・無性に食べたい欲求が出る

砂糖断ちできたら、体にどんな変化が起こる?

anorexic teenager
Peter Dazeley//Getty Images

砂糖による禁断症状は最初の数週間で終わると考えられているため、初めのうちは上記のような症状を経験するかもしれないけれど、21日目頃には大分落ち着いてくる。

その後は? 長期的に砂糖をやめた後の体の反応を示す臨床研究は数少なく、ケトジェニックダイエット(タンパク質と脂肪の摂取量を増やし、炭水化物を最小限に抑える食事法)に関する研究をみても、結論は一致していない。ある研究では、ケトジェニックダイエットを24週間継続した結果、被験者の体重とBMIが減少し、同時にLDL(悪玉)コレステロールと血糖値の減少もみられた。だが、24週間を「長期的」とみなすことはできないと主張する者も多い。別の研究では、ケトジェニックダイエットをするにあたって、脂質を多く摂る食事は、長期的にみると心臓の健康に望ましくないという結論も出ている。

だが、イギリスの国民保健サービスのガイドラインにもあるように、心臓病やある特定のがん、2型糖尿病など、病気のリスクが減少し、虫歯の予防につながるなど、砂糖の摂取量を減らすメリットは大いにある。

繰り返しになるが、砂糖をやめることであなたの体がどんな反応を示すかどうかはわからない。そして、完全に砂糖断ちする必要もない。栄養価の高いバランスの取れた食事の一部として、適度に食べるくらいであれば、砂糖は無害であって、喜びを与えてくれるものだから。

砂糖をやめたら代わりになにを食べるといいの?

これは、あなたが控えたい砂糖の種類によって異なる。精製された白砂糖だけを避けたい場合は、甘いものを含む加工食品 (既製品のソースや甘いシリアル、調味料やスープ、菓子類、炭酸飲料、アルコールなど)以外は食べてOK!

もっと厳格に、天然糖も控えていきたければ、お皿を主にタンパク質(卵や肉、魚、豆腐、豆類など)と脂質(ココナッツやチーズ、アボカド)で満たし、ブロッコリーやアスパラガスなどの低糖質野菜を添えるといい。

甘い飲みものは、ミントの葉を入れた水に置き換え、お酒はやめ、ソースはゼロから手作りする必要がある。

食生活から砂糖を排除する/控える方法

専門家による17のアドバイスはこちら。

1. 食事の準備をする

「私はおなかが空くと、とりあえず手近にあるものならなんでも食べてしまいます」と話すのは、栄養士のクレア・グッドウィン。

「砂糖断ちをしたり、摂取量を減らしていきたいと思うなら、先に冷蔵庫や食器棚にある甘い誘惑を取り除き、ミールプレップ(作り置き)をしっかり行うことです。そうすることで、おなかが空いたときはいつでも、ヘルシーなディナーやスナックにありつくことができます」

2. 血糖値を下げないように気をつける

「血糖値が下がると、体は急いでエネルギーを補給しようとするため、かえって甘いものが食べたくなります」と話すのは、食事管理アプリ「Nutracheck」で栄養士を務めるエマ・ブラウン。

「血糖値を下げないためには、全粒粉パンや全粒粉パスタ、キヌア、全粒粉クスクス、全粒米、オーツ麦など、食物繊維が豊富な全粒穀物を食事に取り入れてください。エネルギーをゆっくりと放出してくれます」

3.  代わりの味を探求する

young woman enjoying while cooking meal in the kitchen
skynesher//Getty Images

「私のクライアントには、色んな味を試して新たな味覚を発見してもらい、甘いものから楽しく気を紛らわせるようにアドバイスしています」と話すのは、栄養士のキム・ラング。「一握り分のカリカリのナッツとシードにチリパウダーをまぶして食べると、チョコレートでは味わえないような味覚を刺激してくれますよ」

4.  ダイエット飲料は飲まない

「ダイエットドリンクの方が、健康的なオプションだと思い込むのはやめましょう」と警告するのは、栄養士のサラ・オニール。

「ダイエット飲料を飲むと、体が余計に糖分を欲しがるようになることが、数多くの研究で判明しています。長期的にみると、白砂糖の摂取が増える可能性を高めてしまうのです」

代わりに、フレッシュなミントの葉やライムを入れたスパークリングウォーターを、ワイングラスで飲んでみるのがおすすめ!

5. 常に原材料名を確認する

「砂糖だけでなく、ハチミツやシロップ、ブドウ糖、果糖、濃縮果汁、麦芽シロップ、デキストロースにも注意しましょう」と、ブラウン。「原材料名は、最初に書かれているものほど、製品に含まれている量が多いということです。覚えておいてください」

だけど、砂糖を含むすべての食品を排除する必要はない(ウェルビーイングを損なう恐れもある)。 むしろ、1日の推奨摂取量の範囲内で食べることを目指したほうがいい。

6. プランBを用意しておく

「1日のうち、甘いものが最も食べたくなりやすい時間帯を特定し、戦略を立てましょう」と、グッドウィン。

「私の場合は、午後の中頃。難しいことに取り組んでいるときや退屈なことをしているときはとくにでしたね。その対策として、仕事のスケジュールを変更しました。午後に会議を入れ、食べたいという欲求を紛らわすのです。チョコレートバーをこっそり食べてしまう機会を自分で作らないようにします。この戦略で2週間後には、甘いものを食べたいという気持ちがなくなりました」

7. 空腹になる前に食事をとる

「3時間おきにこまめに食べるようにしましょう」と、ラング。「おなかが空いていると意思が弱くなりますから。空腹前に食べるようにすれば、より糖質の低いものを選択できるでしょう。必要なら、スマホのアラームをセットしておくといいですね」

8. スパイスを活用する

various colorful spices on wooden spoons
Yagi Studio//Getty Images

「朝食にはシナモンを足してみてください」と、ラング。「6g(小さじ1杯分)のシナモンを食事に加えるだけで、食後の血糖値の上昇を防げることが研究でわかっています。朝食のオートミール粥や、夕方のベイクドアップルに振りかけるのもおすすめ」

9. ジムに行く

「砂糖依存症が精神疾患のひとつであるという見方をするなら、メンタルヘルスに効果的な戦略をとるのも有効かもしれません」と、オニール。

「2017年のメタ分析では、適度な運動が、依存によって生じる生理学的不均衡に効果的であることがわかりました。運動によって分泌されるエンドルフィンは、砂糖の代わりに脳内の報酬系(欲求が満たされたときに活性化し、幸福感を引き起こす脳内システム)を刺激してくれますからね」

10. 間食の準備をする

「英国の内閣府が設立した行動洞察チーム(BIT)が行った調査によると、人は毎日自分で思っているより50%以上も多くのカロリーを摂取していることが明らかになりました。その原因のほとんどは、おやつによるものです」と、オニール。

「さらに、私たちの概日リズム(約24時間周期の体内時計のこと)は、午後4時30分頃になるとエネルギーが急速に低下し、自動販売機に向かうリスクが上がります」

「フムスやクルディテ(フレンチの野菜サラダ)、ほうれん草とトマトを添えたゆで卵など、タンパク質が豊富でヘルシーな間食用のスナックを準備しておきましょう。夜食を食べがちな人は、食後に歯を磨いて、食べる時間は終了したというシグナルを出しましょう」

11. 気楽にゆっくりと

「私は完全に砂糖断ちすることをお勧めしません。余計に食べたくなるからです」とラング。「気楽にゆっくり進めていくほうが、体と心がちゃんと変化に順応する時間を持てるので、長続きしやすくなります」

「一週間はラテに入れる砂糖の量を半分に減らし、翌週はさらにその半分にするなど、小さなゴール設定をしましょう」。それから、デーツシロップやヤーコンシロップなど、白砂糖の代用品でトライしていくのもおすすめ。

12. 質のよい睡眠をとる

「研究によると、睡眠不足は意思決定能力を弱らせるだけでなく、甘いものを欲しくさせる脳の部分を活性化させることがわかっています」と、グッドウィン。

「どのくらい眠れば十分ですか? 目覚ましで起こされるのではなく、自然に目が覚めるくらいの睡眠の量を目指していきましょう」

13. 野菜や果物をいっぱい食べる

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Maryna Terletska//Getty Images

「果物と野菜は、ヘルシーな食事に欠かせません」と、ブラウン。「砂糖断ちをするなら、果物より野菜の摂取量を増やしてください」

「野菜で食事をかさ増しすると、より少ないカロリーで満腹感を得ることができます。また、適切な量の微量栄養素を摂取でき、食物繊維でさらに腹持ちがよくなるので、一日の後半で砂糖が欲しくなる衝動をあらかじめ防ぐこともできますよ」

14. ウォーキングをする

「ストレスは、なにかを食べたくなる欲求にも大きく影響します。幸福感を得られるような甘いものを余計に求めてしまうでしょう」と、ホブソン。「多忙な一日を過ごした後は、テレビの前でお菓子を食べて寛ぐよりも、散歩に行ったり、お風呂に入ってリラックスすることを心がけてみてください」

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15. マインドフル・イーティング

「私が本当に砂糖に依存していた頃は、夕食を終える前から、甘いものはなにを食べようかと考えていました」と、グッドウィン。

「すべての五感をフル活用しながら、時間をかけて食事を楽しみましょう。食後に食べる甘いもののことを考えるのではなく、今食べているものに集中するのです。料理の見た目や匂いはどうですか? どんな味や食感がしますか? 今日から実践してみてくださいね」

16. 一から手作りする

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Morsa Images//Getty Images

「出来合いの料理や既製のソースには、糖分が非常に多く含まれています」と、ブラウン。「自分が口にする食べものになにが含まれているかを把握し、添加された砂糖をなるべく摂らないでいるためには、できるだけ自分で食事を一から手作りすることです」。砂糖を使わないレシピを参考にしてみて。

17. 予備のプランも準備しておく

「砂糖を控えたければ、“もし〜のときはプラン”を立てておきましょう」と、ラング。「もし、糖分が欲しくなったらどうするかを考えてみるのです。例えば、朝食で甘いものが食べたくなったときは、私なら、ヨーグルトにハチミツをかける代わりに、ベリーを加えますね」

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: EMMA PRITCHARD Translation : Yukie Kawabata