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セックスや恋愛に「我慢」は付き物? Z 世代のリアルな恋愛観やセックス事情。

日本の若者に向けて行われた調査「性と恋愛2023」では、セックスに対してポジティブなイメージを持ちつつも、悩みが尽きない現代の若者たちの実態が浮き彫りになった。

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a group of people lying on a bed

国際協力NGOジョイセフが主催したイベント「CHOICE FES」で、若者を対象とした「性と恋愛2023」の調査結果が発表された。性や恋愛に超オープンな「愛の国」フランスへの渡航をきっかけに、恋愛やセックスの悩みについてもっと気軽に話せる日本になって欲しいと願う現役大学生のアシスタントエディターMIZUKIが、この調査で明らかになった若者の性と恋愛のリアル・本音について大学生の視点で分析する。

「性と恋愛2023」について
2023年8月に国際協力NGOジョイセフが15歳(高校生)〜29歳の日本の若者(5800人)を対象にして行った大規模調査で、「リアルな恋愛観」、「性・セックスの意識」、「避妊・性感染症予防の本音」、「セクシュアル・ヘルスについて」、「自分の人生を決められるか」の5つのテーマで調査が実施された。JOICFP 公式ホームページ

嫌われたくないから!? パートナや恋人の前で素が出せない若者たち

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本当の自分ではないが相手に合わせる
好きな人の前で最初から自分の素を出せる人はそう多くはない。しかし相手に好かれたいという理由で自分の個性を押し潰してまでも相手に合わせたり、我慢するのはヘルシーな関係とは言えない。そんな若者が7割近くもいることが明らかに。

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相手の前で「性」にオープンになれない
フランスを始めとする欧州ではセックスについて相手と話し合うのは当たり前。むしろそうすることで、相手により良いセックスをしてあげよう、そんな考え方を持っている人が多い。でも日本では、パートナーや恋人同士であっても「これを話したら変態って思われるかな」と我慢するなど、なんとなく「話せない」雰囲気が若者の間であるのかもしれない。

セックスの悩みは「自信がない」

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セックスで悩みがあると回答した若者が全体で約7〜8割いた中、4人に1人は「容姿・体形」など、見た目に自信がないことがセックスにおける最大の悩みと回答。また「相手に満足してもらえているか」悩んでいるという声も上位に挙げられた。この結果から「自信がない」ことが原因でセックスに悩みを抱える若者が多いことが分かる。後者に関しては上記の「相手に相談できない」も自信のなさの要因と繋がりがあるかもしれない。

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セックスに関する情報源はSNSやアダルトサイト!? マンガ/コミックスもランクイン 

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インターネットやSNSが普及した時代に生きる私たちは、人を介さず簡単に性や恋愛に関する情報にアクセスすることができる。しかしその反面、SNSやアダルトサイトなどでは、現実とはかけ離れたセックスの間違ったイメージや、正しくない情報が出回っている可能性もある。「正しい情報」を取捨選択することは、現代の若者に必要不可欠なスキルなのではないか。

性的同意は何かを知らない、「NO」と言えない若者たち

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性的同意なしでの性交渉

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性的同意の上で性行為を行っていると答えた若者が全体で半分以下ということが明らかに。また、そもそも「性的同意」とは何かを理解していない若者が約4割、「性的同意」ができているか自信がないと回答した人も全体で約40%とかなりの確率で互いの意思表示が明確でないまま性行為を行うケースが起きてしまっている。

性的同意とは?
性的同意 (セクシュアル・コンセント) とは、すべての性的な行為に対して、お互いがその行為を積極的にしたいと望んでいるかを確認すること。お互いの「したい」という “ 明確”で“かつ積極的な意思表示”があることが大切。これが守られなければ性暴力とみなされることも。お酒に酔っていたり寝ている場合は明確な意思表示ができる状態とは言えない。

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「言いづらかった」が理由で性交渉に応じたり、妊娠リスク負ってしまう若者も
気が乗らないのに性交渉に応じる=性的同意が成立していないということ。

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避妊をせずに性行為を行ったことのある若者の中で「相手に伝えづらかったから」と答えた女性が約20%いるように、パートナーや恋人間で「NO」が言えない若者がいることが分かる。そんな中勇気を出して相手に伝えたにも関わらず、聞いてもらえなかった、その結果、避妊をせずに性行為を行った若者が一定数いるのはとても残念なことだ。もちろん女性自身が自分の体を守るためにも相手に「伝える」ことは大事だが、相手側の男性も避妊の正しい理解をするとともに自分ごととして捉えるべきではないか。大事なパートナーが病気になってしまう、望まない妊娠をさせてしまうリスクがあるということを十分理解した上で性行為を行う、それが前提だ。

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全ては相手との「コミュニケーション」

couple hugging in bed
Image Source//Getty Images

私たちのおじいちゃん・おばあちゃん、また、お父さん・お母さんの時代は、「性について話す=タブー」の風潮がまだまだあっただろう。しかし現代の若者の間では、セックスがポジティブなものとして捉えられていることが今回の調査結果で明らかになった。(90%以上がポジティブと回答)これは喜ばしいことであり、時代が少しずつ変わってきていることが分かる。その反面、それを楽しもうにも楽しめない「相手に合わせた恋愛」をする現代の若者が多くいることもこの調査で明らかになった。本来であれば、セックスは「スキンシップ」や「愛情を確かめるためのもの」、「気持ちのいいもの」(調査の結果)とされているが、実際は悩みだらけで、完全にストレスフリーで楽しめている若者は少ないのではないか。

この調査では「相手に言いづらかったから避妊しなかった」、「相手が満足しているか自信がない」、「気が乗らないのに性行為に応じた / 性的同意なしで性行為した」など、コミュニケーション不足がゆえに「我慢」した恋愛・セックスをしている若者が多いことが浮き彫りになった。

そのためにどうすれば良いのか? そう考えたとき、やはりパートナーとの「コミュニケーション」が重要だ。

例えば、「相手が満足しているか自信がない」と悩むのであれば、「何が好きか・嫌いか、どうしてほしいか、満足しているのか」を直接相手に聞いてみる。そうすることでお互いの好みが分かって、より質の高いセックスができ、より深い愛情が生まれる。相手に耳を傾けることは、お互いセックスを楽しむためでもあるが、パートナーとの良い関係を築き上げる上で必要不可欠なものだ。

また、女性の多くがセックスの悩みとして「容姿・見た目」と回答したが、お互いの為にも褒め上手になることも、良い関係を作っていく上では大切。心の中で思っていても声に出して伝えるのは恥ずかしいかもしれない。でも「可愛いね」とか「綺麗だね」と褒められることで女性の自己肯定感が上がるし、「自信のなさ」から生まれるセックスの悩みも少しは解消されるはず。

性的同意が大前提

couple sleeping in bed
Image Source//Getty Images

大前提として徹底していきたいのは、「性的同意」を得ること。これも「コミュニケーション」の一つであり、相手へのリスペクトでもある。なぜなら、それを怠ることで無意識に相手の心と体を傷つけてしまうかもしれないから。とは言っても、そもそも「性的同意とは何か」を正しく理解できている若者が少ないこともこの調査で明らかになった。それがゆえに「性的同意を得られているか自信がない」若者や「気が乗らないのに性行為に応じた」などの「我慢」が生じてしまっている。だからこそ男女共に「正しい知識」を学べる環境・機会を作っていくことが、今後私たちが考えるべきことだと思う。

自分の体のこと、自分が好きなこと・嫌いなことは自分しか分からない。だからそれを相手に伝える、相手にも耳を傾けてあげる。それが相手を思いやる気持ちであり、最大の愛情表現なのではないか。

国際協力NGOジョイセフについて
女性の命と健康を守り、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)を推進する国際協力NGO。これまでに43の国・地域で、女性やコミュニティの支援を行った。国際ガールズ・デーにちなんで行われた「CHOICE FES」では、産婦人科医・スポーツドクター高尾美穂先生ほか、スペシャルゲストによるトークセッションを行うなど、ライフスキルとしての性と生殖に関する健康と権利(SRHR)を知って、自分を見つめるためのイベントを主催した。公式サイト

Headshot of Mizuki Onodera
Mizuki Onodera

インターン中の現役大学生。エル・デコ編集部でのサマーインターンを経てウィメンズヘルス編集部にジョイン。高校時代のフランス留学をきっかけに、自然を愛するナチュラルな暮らしや、QOLを高める暮らしにインスパイアされる。その後大学で再び渡仏し、仕事におけるメンタルヘルスについて学ぶ。心と体にヘルシーなライフスタイルについてはもちろん、恋愛におけるヘルシーなリレーションシップについても発信していきたい。ヒップホップダンスやボクササイズの経験あり。今後は編集部の先輩方の影響で、テニスやランニングにも挑戦したい。趣味はカメラとナチュラルワイン巡り♡

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