おしゃれのためにヘアカラーを頻繁にしている女性ほど、薄毛や白髪が早くやってきて、将来的にはカツラのリスクが高くなるという事実を、ご存知だろうか?

今回は、ヘアカラーの危険性について研究し、各地で講演活動を行っている美容師の森田要さんに、ヘアカラーと白髪や薄毛の関係について教えていただいた。

カラーリングをすると白髪が増える⁉️ ヘアカラーの仕組み

woman pouring hair dye ingredient in bowl
SimonSkafar//Getty Images

美容院や自宅で染めるヘアカラー剤には、医薬部外品扱いの染毛剤と、化粧品扱いの染毛料がある。ヘアカラーや白髪染め、ヘアブリーチなどは医薬部外品にあたり、ヘアマニキュアやカラーリンス、一時的に着色するカラーマスカラなどは化粧品扱いになる。

医薬部外品のヘアカラーや白髪染めは、酸化染料(※)とアルカリ剤のトリートメント剤を含む1剤と、過酸化水素水とトリートメント剤を含む2剤を混ぜて髪に塗布する。するとアルカリ剤が毛髪のキューティクルの隙間を開き、薬剤の化学反応で発生する酸素がメラニン色素を分解して脱色。その上でジアミン系の酸化染料が髪の色を変える。つまり、髪を一度脱色してから色を内部に浸透させている。

「髪に色を入れるためにメラニン色素を壊す過酸化水素は、白髪が増える原因にもなります」

白髪を染めるつもりが、実は白髪を増やしてしまう……これは大きなリスクではないだろうか。

一方、ヘアマニキュアのような化粧品の染毛料の場合は、酸性の染料をキューティクルの間から浸透させて色を定着させる仕組みで、元々持っているメラニン色素と混ざるため明るい色に染めることはできないものの、白髪は染まる。染毛剤と比べると、比較的安全な方法に思えるが、本当にそうだろうか?

※パラフェニレンジアミン

ヘアカラーの何が危険なの?

hands holding hair dye in a bowl
Michael Nesterov//Getty Images

国民生活センターにはヘアカラーなどの使用による身体被害の相談が多数寄せられており、消費者安全調査委員会は2015年10月に「毛染めによる皮膚障害」に関する事故等原因調査報告書を公表。2010年以降の5年間で1008件の毛染めによる被害が消費者庁に寄せられ、そのうち166件は1カ月以上の重症だったという。

日本ヘアカラー工業会のQ&Aでも、ヘアカラーによるかぶれの原因をパラフェニレンジアミンに代表される酸化染料と説明している。なお、パラフェニレンジアミンは毒物及び劇物取締法で劇物に指定されている。

「カラーリングは、発がん性物質と指摘されているジアミン系酸化染料や過酸化水素、合成界面活性剤を使用しているのが問題とされています。ヘアマニキュアに使用されているタール色素も、アレルギーや発がん性の懸念が指摘されています。

さらに、美容院でヘアカラーを塗布するときにしみた経験がある人も多いと思いますが、頭皮に塗布した薬剤は頭皮から経皮吸収されてしまいます」

長年美容師としてお客様の頭髪を見てきた森田さんによると、おしゃれのつもりでヘアカラーやパーマを頻繁に行う人ほど、白髪や薄毛に悩み、最終的にカツラを選ぶケースが多いという。

ちなみに、パーマに使用する1剤に含まれるチオグリコール酸は、皮革製品の脱毛処理にも使われるなど、脱毛効果もある。脱毛効果がある薬剤を頭皮に塗布しているのだから、パーマが薄毛の原因になるのは、当然とも言える。

ヘアカラーをやめれば薄毛や白髪は改善するの?

女性の髪の寿命は7年。つまり今生えている毛が全て生え変わるのには7年の時間がかかる。森田さんによると、ヘアカラーやパーマを止めて7年経てば、毛髪や頭皮は完全に健康な状態に戻るそう。何もしないことがまずは一番。

また、森田さんのお客様の中では、天然100%のヘナを利用したケアを続けることで脱毛していた部分にも毛量が増え、髪そのものもツヤツヤボリュームアップした事例が数多くあるそう。ヘナには頭皮環境を改善する効果もあるため、新しく生えてくる髪はより健康なものとなり、白髪が増えるのも防ぐという。何もしないのが一番と言われても白髪が気になる、という人は、髪や頭皮にダメージを与えず、トリートメント効果がある天然100%のヘナでカラーをするのがおすすめ。

「ヘナ」と謳っていても実際には染まりをよくするために酸化染料などを混ぜていることもあるので、安心安全なヘナを選ぶことが何よりも大切。ナチュラルなヘナはオレンジ色に染まってしまうものの、ヘナの後にハーブを原料としたインディゴ系染料などを重ねることで黒に近い落ち着いた色に染めることもできる。

ヘアカラーは環境汚染にも

ヘアカラー剤を洗い流した排水に比べ、天然のヘナ100%のヘナカラーは薬剤で水を汚さないという利点もある。森田さんは、世界中のヘアカラーの排水が変われば、きっと環境改善に繋がるはずだと話す。新たな白髪染めの時代が始まるかもしれない。

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【教えてくれた人】

ヘナカラー


美容家/森田要さん
東京・表参道の美容室「kamidoko(カミドコ)」代表、化粧品販売会社・株式会社ラクシュミー代表取締役。化学薬品を使ったパーマやヘアカラーなどの施術を一切行わない美容室として話題を集め、全国から顧客が集まる。「美髪再生」と「本当の美しさ」をテーマに各地でワークショップを開催。『髪 あるがままの美しさを求めて』(茅花舎)など、髪とヘナに関する著書も多数。