膣トレ、その前に。骨盤底が緩むと、将来どうなってしまうの?

16 May 2018

膣トレ、その前に。骨盤底が緩むと、将来どうなってしまうの?

近年、非常にクローズアップされるようになった膣の機能。「膣力」の低下が叫ばれ、関心が高まって膣のトレーニングなども人気を集めている。中でも知っておきたいのが、骨盤の底にある臓器の「骨盤底」。姿勢や見た目だけではなく、出産や女性特有のトラブルにも密接に関わるこのホットキーワードについて、専門家であるドクターがアンサー!

関口由紀先生

女性医療クリニックLUNAグループ理事長・医学博士 関口由紀先生

横浜市立大学客員教授、日本泌尿器科学会専門医、日本東洋医学会専門医、日本排尿機能学会専門医、日本性機能学会専門医。女性の泌尿器科治療の第一人者。尿漏れなど相談しにくい部分の悩みを根本から治療するプログラムを提案している。『ちょびもれ女子のための「あ!」すっきり手帖』(主婦の友社)、『女性外来の骨盤底筋トレーニング』(宝島社)など著書も多数。LUNA骨盤底トータルサポートクリニック http://www.luna-clinic.jp

聞いたことはあるけれど……「骨盤底」ってそもそも何?

骨盤底(こつばんてい)とは、骨盤の底にある筋肉や靭帯の集まりのこと。骨盤の前にある恥骨から肛門の後ろにある尾骨の間にハンモックのようについているプレート臓器で、骨盤内臓器の支持と排泄を司る。この骨盤底の主要な構成成分が、骨盤底筋(こつばんていきん)。正確には、“骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)”と呼ばれ、複数の筋肉の集合体だ。

骨盤については、プロポーションや姿勢に関わることから気にする人が多いが、この骨盤底筋は存在を知らない女性も多いのが現状。でも、実はとても重要な筋肉群なのだ。

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「骨盤は私たちの胴体の底にあたる骨の集合体です。その骨盤の一番下の辺りを支えている筋肉が、骨盤底筋です。骨盤に収められている内臓を、この骨盤底筋がしっかりと支えているのです。骨盤内にある膀胱や子宮、直腸などはこの骨盤底筋がしっかり支えないと、腟からこれらの臓器が出てくる骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)という病気になることがあります。

女性は骨盤内に出産に関係する子宮や卵巣があり、骨盤底には尿道、膣、肛門という3つの穴が開いています。そのため、この筋肉の働きが弱まってしまうと尿のトラブル、排便のトラブル、月経のトラブルなどが起きてしまうのです」と言うのは、早くから骨盤底と骨盤底筋の重要性を伝えている女性医療クリニックLUNA理事長の関口由紀先生。関口先生は通常、LUNA骨盤底トータルサポートクリニックで診療にあたる。

  

排尿、排便といった生きていくために欠かせないことだけでなく、月経の経血の排泄、出産のときに産道を伸び縮みさせるなど、骨盤底は女性の一生に欠かせない存在だ。


出産や加齢、便秘、生活習慣で傷ついてしまう骨盤底筋

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そんな大事な骨盤底筋だけど、ダメージを受けてしまうことも。

「最もダメージを受けてしまうのが出産です。10カ月も重たいお腹を支えているだけでも骨盤底筋には負担になりますが、赤ちゃんの頭が産道を通るときに、膣が大きく伸びて骨盤底筋にダメージを与えてしまうのです。

1年ぐらいで90%の人は、機能的には出産前と同じ状態に戻ります。しかし遺伝的に骨盤底筋が弱い人、難産だった人の中には、産後に機能が戻らないケースもあります。

また、一度機能が正常に戻った人でも、閉経で女性ホルモンの分泌量が低下すると、筋肉量の低下、結合組織のコラーゲン線維の減少などで、膀胱や膣の粘膜が萎縮して骨盤底筋の伸縮性が落ち、再び機能が低下してきます。

日常生活では、便秘での力みやひどい咳、肥満での過体重なども骨盤底筋にダメージを与えると言われています」


骨盤底筋のダメージは「見た目+下半身」の不快なトラブルのもとに!

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では、骨盤底筋の機能が低下すると、どんなトラブルが起きるもの? 最も代表的なものは、尿漏れだという。

「筋肉が緩んで、腹圧の負荷に瞬時に対応できなくなるため、咳やくしゃみ、大笑いなどをするだけで、尿が漏れてしまうようになります。また骨盤底がたるむことによって、子宮や卵巣への血流障害が起こり、月経が重くなる人もいます。

さらに、骨盤底の支持機能が低下すると子宮や膀胱、直腸が膣内に落ちてきてしまい、膣の入口から外に出てきてしまう骨盤臓器脱になってしまうこともあります。膣から子宮が出てきたらびっくりしてしまうかもしれませんが、痛みはないことが多く、自分では気づかない人もいます。

ですが違和感を感じることもあり、外に出かけたり、旅行や温泉が嫌になる人も多く、QOL(quality of life、人生や生活の質)を下げてしまうことも多いのです。

これらのトラブルを総称して骨盤底障害と呼びます。若い世代では少ないのですが、40代以上では、全女性の11%以上がこの骨盤底障害を経験しているといいます」

また骨盤底筋は腹横筋(ふくおうきん)や多裂筋(たれつきん)など、姿勢に影響を与えるインナーマッスルと協調して動くことも分っており、骨盤底の緩みは姿勢やプロポーションの低下にも影響すると言われている。

 

正しい知識をつけておくことで、美しく、ヘルシーに年を重ねるヒントになる、骨盤底筋。今から情報とケア法を学んで、快適な毎日を自分の手で作ろう。

Photo:Getty Images Illustration:Kanao Enami(asterisk-agency) Text:Manabi Ito

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