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話題を呼んだあのウエアには、血流の循環をよくするという機能も備わっていたという。

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今年5月、出産後初の全仏オープンに、体にぴったりフィットしたナイキの漆黒のキャットスーツで登場した元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ。が、フランステニス連盟(FFT)が、そのウエアの着用を先ごろ禁止したことが明らかに。

セリーナは当時、いかにも映画『ブラックパンサー』に登場しそうなこの特殊スーツについて、「“ワカンダ(同作に登場する架空の国)風キャットスーツ”って呼んでいるの」とジョーク交じりにコメント。自身のインスタグラムでも、「産後の体が回復しきっていないすべてのママたちに、このキャットスーツを捧げるわ」とのメッセージを送っていた。

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その投稿は約80万の「いいね」を獲得。だが、FFTはあまりお気に召さなかったようで、AP通信によると、FFTは新しいドレスコードを採用し、2019年大会から奇抜なウエアの着用を禁止すると発表。FTTのベルナール・ジウディセリ会長は、米『テニス・マガジン』誌に対して、「たまに度を越していると思うことがあります」と語り、セリーナのウエアを例に挙げ「そのようなウエアをこれ以上認めることはできません。選手は、試合とその場所に敬意を払わなければなりません」と厳しく批判した。

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おしゃれなデザインで会場中の視線を釘付けにしていたセリーナのキャットスーツ。実は、ファッション性だけでなく、血流の循環をよくするという機能性も備わっていた。セリーナは以前から血栓症を患っており、2011年には深刻な肺塞栓症を発症、緊急入院している。セリーナは当時「両方の肺の血管内にいくつかの血栓があると言われた」「それで亡くなる人もたくさんいる」と英『ガーディアン』紙に告白。

また長女アレクシス・オリンピアちゃんを出産後、肺塞栓症で呼吸困難に陥り、命の危険にさらされたそう。US版『ヴォーグ』誌のインタビューで「血栓症を何度も発症した。この12カ月で、どのくらいの血栓ができたかわからないくらい。だから(キャットスーツに)機能性があるのは間違いない」「これまでも試合に挑む時はパンツを着用することが多く、血流循環を改善することができた。見た目は面白いけど、機能性もちゃんとあるの。このおかげで問題なくプレイができているわ」と振り返っている。

FFTのジウディセリ会長曰く、新しいドレスコードは、白いウエアの着用を義務付けているウィンブルドン選手権ほど厳しくはないものの、ユニフォームのメーカーに事前にデザインをチェックさせてもらうよう頼み、「ある程度の制限」を設けるのだとか。

注目を集める一方で、ウエアや体型について批判されることも多いセリーナ。今回は彼女の命に関わるウエアを禁止されたため、ファンからは彼女の健康面や体調を心配する声もあがっている。FFTの新しいドレスコードが今後、セリーナのプレイに影響しないことを祈りたい。

Photos: Getty Images, Courtesy of Serena Williams via Instagram
Translation: Reiko Kuwabara From ELLE