医師が勧める! 減量のためのベストダイエット「DASH食」
ケトン体ダイエットは中断したくなるかも⁉
ケトン体ダイエットは、今大人気の食事法。でも、医師たちが推奨するプランに従って体重を減らし、健康を手に入れたいと思っているなら、インフルエンザのような症状が副作用として現れかねない食事法は避けたいところ。そこで注目して欲しいのが、DASH食によるダイエット。減量はもちろんのこと、DASH食には、血圧、コレステロール、心臓病のリスクが下がるというメリットがある。総体的な健康を改善するとして、何年にもわたり専門家に高く評価されてきたDASH食は、血圧を下げたい人にも、循環器系を強くしたい人にも、栄養をしっかり摂りながらスリムになりたい人にもオススメ。もちろん、そこには正当な理由があるけれど、まずはDASH食の全貌を理解しよう。その内容をオーストラリア版ウィメンズヘルスからご紹介。
DASH食とは?
DASHとは「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の略で、薬を使わずに血圧を下げる目的で開発された。マーラ・ヘラー公認管理栄養士の著書『The DASH Diet Action Plan: Proven to Lower Blood Pressure and Cholesterol without Medication』には、28日分のミールプランとレシピ、さらにはDASH食を日常生活の一部とする上で役立つ専門家のアドバイスが盛り込まれている。
地中海食のように、DASH食でも脂肪の少ないタンパク源、全粒穀物、食物繊維が豊富な野菜とフルーツ、低脂肪または無脂肪の乳製品、豆類、ナッツ、シードが中心に摂取される。高血圧の人々にDASH食が適しているのは、ナトリウムの摂取量が1日2,300mgまでに制限されているから(参考までに、米国心臓協会は、1日のナトリウム摂取量を最大2,300mg、理想的には1,500mg以下としている)。
DASH食が高血圧とダイエットにいいワケ
DASH食の人気が出始めたのは、米国立心肺血液研究所がDASH食のメリットを調べる研究に出資した結果、この食事法が被験者の血圧を大幅に下げ、心臓病のリスクを低下させることが分かったから。これを理由に、アメリカの情報誌『U.S. News & World Report』は、米国内のベストダイエットに例年DASH食を選んできた。また、最近の文献は、医師がDASH食を最も勧める理由を明らかにしている。
2018年の心臓学専門誌『Journal of the American College of Cardiology』が発表した研究では、412名の被験者が血圧を下げるために4週間のDASHダイエットを行ったところ、血圧だけでなく、ナトリウム摂取量も低下した。
さらに、米国心臓協会が行った2018年の実験によって、エクササイズに加えてDASH食もダイエットに効果的であることが分かった。この実験では、高血圧と診断された太りすぎ、または肥満の男女129名が3つのグループに分けられた。1つ目のグループはDASH食によるダイエットを行い、体重管理プログラムとエクササイズプランに従った。2つ目のグループは、栄養士の指導のもとでDASHダイエットを行い、3つ目のグループは、食生活もエクササイズの習慣も変えなかった。
研究チームは16週間後、DASHダイエットを行い、体重管理プログラムとエクササイズプランに従った被験者の体重が平均8.5kg減り、血圧が大幅に低下していることを発見。DASHダイエットだけを行った被験者にも血圧の低下が見られ、食生活とエクササイズの習慣を一切変えなかった被験者の血圧低下は最小限にとどまった。
DASH食のミールプランとガイドライン
2011年にDASH食が誕生してからこれまでに、3種類のミールプランが作られている。
オリジナルプラン
ダイエットプラン
ベジタリアンプラン
素早く体重を減らし、血圧を下げ、糖尿病を防ぐためのレシピを揃えたDASH食の料理本も出ている。
ほとんどの医師と栄養士は、高血圧の患者にオリジナルプランを勧めるけれど、1日のナトリウム摂取量を1,500mgに抑えた低ナトリウムプランもある。どのプランに従うべきか分からない場合は、かかりつけの医師か栄養士に相談し、自分の健康と栄養ニーズに合ったプランを見つけよう。
なお、オリジナルプランには、1日のカロリー摂取量が1,600kcalになるように作られたものと、2,000kcalになるように作られたものの2種類がある。体重を減らしたいなら、選ぶべきは1日1,600kcalのプラン。それ以上カロリーを減らしたいなら、専門家が言うように、風味付きのヨーグルト、フルーツジュース、フルーツそのものの果汁ではなくシロップに漬けられた缶入りフルーツといった、添加糖を含む食品の摂取を控えること。
DASHダイエットの食材リスト
DASHダイエットでは、栄養価が高くて美味しい多種多様な食品が食べられる。ここで紹介する抗酸化物質たっぷりの食材は、血圧を下げるだけでなく、インスリン抵抗性を改善し、トリグリセリド(中性脂肪)をも減らしてくれる。
全粒穀物(玄米、キヌア、ファッロ、フリーカなど)
フルーツ(ベリー、リンゴ、オレンジ、梨など)
野菜
低脂肪または無脂肪の乳製品
脂肪分の少ない食肉と魚
ナッツ、シード、豆類
ヘルシーな脂質(エキストラバージンオリーブオイル、アボカド、ナッツ、シードなど)
スイーツ(人工甘味料と砂糖不使用のキャンディ)
DASHダイエットのミールプランサンプル
理想的な食事内容が知りたい人のために、1日1,600kcalと2,000kcalのミールプランのサンプルを用意した。
穀物と穀物製品
・2,000kcalプラン:1日6~8食
・1,600kcalプラン:1日6食
・1食分とは:パン1枚、全粒穀物のシリアル30g(1食分の量はシリアルのタイプによって違う場合もあるので、ボウルに注ぐ前に成分表をチェック!)、調理済みの玄米/全粒パスタ/他の全粒穀物1/2カップ
・おすすめの食材:全粒パン、全粒シリアル、ポップコーン、スティールカットオーツ
野菜
・2,000kcalプラン:1日4~5食
・1,600kcalプラン:1日3~4食
・1食分とは:野菜ジュース110g、生の葉物野菜1カップ、調理済みの野菜1/2カップ
・おすすめの食材:トマト、カボチャ、ブロッコリー、ホウレン草、さつまいも、さやいんげん
肉と魚
・2,000kcalプラン:1日6食以下
・1,600kcalプラン:1日3~6食
・1食分とは:調理済みの食肉か魚、または卵1個。肉の皮と脂肪は必ず取り除き、揚げるのではなく、焼く・あぶる・グリルまたはローストにすること。
・おすすめの食材:脂肪分の少ない食肉(目に見える脂肪を取り除き、あぶるか、ローストするか、茹でるか)、皮なしの鶏肉、サーモン
フルーツ
・2,000kcalプラン:1日4~5食
・1,600kcalプラン:1日4食
・1食分とは:フルーツジュース(添加糖フリー)120ml弱、中サイズのフルーツ1個、フレッシュ/フローズン/缶入りフルーツ1/2カップ
・おすすめの食材:アプリコット、バナナ、ぶどう、オレンジ、グレープフルーツジュース、レーズン、イチゴ
低脂肪または無脂肪の乳製品
・2,000kcalプラン:1日2~3食
・1,600kcalプラン:1日2~3食
・1食分とは:スキムミルク(脱脂乳)か低脂肪ヨーグルト1カップ、部分脱脂乳のチーズ1.5カップ
・おすすめの食材:無脂肪または低脂肪のミルク、チーズ、ヨーグルト
ナッツ、シード、豆類
・2,000kcalプラン:1日4~5食
・1,600kcalプラン:1日3食
・1食分とは:ナッツ1/3カップ、ナッツバター大さじ2、シード大さじ2、調理済みの豆類1/2カップ
・おすすめの食材:アーモンド、ピーナッツ、ひまわりの種、インゲン豆、レンズ豆
脂質とオイル
・2,000kcalプラン:1日2~3食
・1,600kcalプラン:1日2食
・1食分とは:ソフトマーガリンかオイル小さじ1、マヨネーズ大さじ1、サラダドレッシング大さじ2
・おすすめの食材:ソフトマーガリン、植物油(キャノーラ、オリーブ、またはサンフラワーオイル)、低脂肪マヨネーズ、さっぱりしたサラダドレッシング。低脂質または無脂肪のドレッシングには、足りない脂質を補うために大量の糖が加えられている場合もあるので、必ず成分表を確認すること。
スイーツと添加糖
・2,000kcalプラン:1週間で5食以下
・1,600kcalプラン:なし
・1食分とは:砂糖/ゼリー/ジャム大さじ1、シャーベットかゼラチン1/2カップ、レモネード1カップ
・おすすめの食材:人工甘味料、低脂肪または無脂肪のゼラチン、フルーツポンチ、ゼリー、メープルシロップ、シャーベット、飴
DASHダイエットの始め方
ダイエットや新しいミールプランを始める前に、かかりつけの医師に相談しよう。血圧、体重、心臓病のリスク要因の測定結果から、あなたにDASH食が合っているかを判断してくれるはず。ほとんどの医師は、ナトリウムの摂取量が1日2,300mgに制限されたオリジナルプランを勧める。
手始めに、料理に使う食材のリストを作成しよう。上記のフードリストかDASH食のガイドブックを参考にして、1週間分の献立を考えてみて。穀物には、キヌア、玄米、ファッロなどの全粒穀物か全粒パスタを選んで。全粒穀物バージョンよりも食物繊維とタンパク質が多めに含まれた、豆ベースのパスタもある。
牛肉や豚肉を使うなら、サーロインやトップロインのような脂肪分の少ない部位を選び、キッチンばさみで余分な脂肪を取り除くこと。鶏肉の場合は、皮のない白身の部分を使って。野菜をたっぷり食べることも忘れずに。オリジナルプランでは、1日4~5皿分が必要になる。食物繊維はお腹を満たし、食べ物への欲を最小限に抑えてくれる。ヘルシーな脂質と低脂肪の乳製品も必ずストック。脂質を摂ると満足感が得られるので、食事の直後にお菓子が食べたくなることもない。良質な脂質の供給源には、エキストラバージンオリーブオイル、アボカド、ナッツ、ナッツバターなどがある。甘党の人には低糖のフルーツがおすすめだけれど、大好きな焼き菓子を人工甘味料でヘルシーに仕上げてもいい。
※この記事は当初、『Prevention US』に掲載されました。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Tiffany Ayuda Translation: Ai Igamoto