自然の力を生かした農業で現代人の心と体の不調に向き合う“菌ちゃん先生”こと吉田俊道さんが、腸内環境の整え方について解説してくれる。栄養をぐんぐん吸収するお腹にするためのポイントとは? 便の匂う人は要注意⁉ 

「便が臭う人」のお腹の状態とは

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Satome Yokote

「有機物は”腐敗”もしくは”発酵”のどちらかのルートで分解されます。要は便の臭い人は”腐敗”に傾いているということ。お腹がこういう状態では、ミネラルを摂取しても吸収しやすい状態とは言えません」

臭くない便を出すには

「まずはお腹の中を発酵状態にしないといけません。お腹の中が発酵することで、栄養も吸収できるようになります。発酵させるためには、無添加の発酵食品を摂るのもいいのですが、他にもいくつかポイントがあります」

POINT1:虫食いのないオーガニックの野菜

菌ちゃん
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「虫食いのある野菜は無農薬で美味しい証拠だと思っていませんか。これは大きな勘違いです。栄養がぎっしり詰まった美味しい野菜には虫は寄り付きません。なぜなら抗酸化物質が多く、虫は消化吸収できないからです。抗酸化物質とは腐らせない力、つまり発酵させる力です。私たちにとって栄養豊かな野菜ほど、虫は食べられません。虫食いのある野菜は弱っている証拠で、栄養価が低く味が良くない野菜だということ。だから虫食いのないキレイな野菜を選んでください。オーガニックの野菜は売ってる場所も限られますし、最初は面倒かもしれません。でも試しに2〜3日、完全オーガニック食にしてみてください。便の変化に気が付くと思いますよ」

POINT2:オーガニックの玄米

「オーガニック米の抗酸化力は非常に高いのです。だからこそ虫が食べにくく稲が病気になりにくいという特徴があります。その抗酸化成分はお米の外側にあります。精米したらオーガニックの意味がありません」

POINT3:ミネラル

「昆布やひじきなどミネラルが豊富な食材は色々あるけれど、おすすめはにぼしです。手軽で安価ですし、たっぷりミネラルが確保できます。アゴのにぼしもいいですね。頭にもいっぱいミネラルが含まれているので、頭つきのものを選んでください。ただ酸化防止剤が使われている商品は避けてくださいね」

腸内環境が整うと現れる変化

①おならが臭わなくなる

「便はもちろん、おならのにおいもなくなります」

②口臭・体臭がなくなる

「腸は腐敗臭を吸います。それが体臭になるのです。加齢臭もほぼ腐敗臭です」

③免疫力アップ

「“腸は免疫の司令塔”なんて言われているように、私たちの免疫細胞にいろんな情報を与えているのが腸内細菌です。腸内細菌が発酵するということは、当然免疫力も高まります」


菌の種類が増えるとさらに免疫力アップ

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「ヨーグルトや味噌など発酵食品を食べることで、菌の数を増やすことはできますが、種類を増やすことはできません。菌がついている有機のもの、オーガニックの野菜、オーガニックの米、オーガニックの味噌などを食べ続けていると、土壌菌が入り腸内細菌の種類が増えます。菌の種類を増やすことで、さらなる免疫力を手に入れることができるのです。当たり前のことですが、腸内細菌にも1つ1つ個性があり長所短所があります。3人よりも10人いる方があらゆることに対応できるのと一緒です」

アレルギーやアトピーの改善も

「近年の研究で、腸内細菌がアレルギー症状と深く関わっているという証拠が次々と明らかになっています。腸内細菌の種類が増えるとアレルギーやアトピー、腸内細菌に関わる色々な病気、精神疾患など、さまざまな方面で調子が整うでしょう」

病気に遭遇するたび強くなる体へ

「結局、人間も野菜と一緒なんですよ。野菜にいくら農薬をかけても野菜が元気になるわけじゃないし、ずっとかけ続けないといけない、また病気にもなる。それが土の中を発酵状態で微生物だらけにしたら、農薬がいらなくなったのです。人間の体も同じです。でも本当の理想は、菌の種類が増えて発酵状態になること。そうすると野菜が全然病気にならないように、人間もほとんど病気しなくなってくるということです。病気をしてもすぐ治るし一回かかったら二度とかからなくなる、それが免疫力ですよね。病気を乗り越える体、病気に遭遇する度に強くなっていく体です」

心身の健康を司る腸。その働きを知り、菌の種類を増やすことで、あなたの体のお悩みが解決するかもしれない。

【教えてくれた人】

吉田俊道さん

長崎県環境アドバイザー。九州大学農学部大学院卒業後、長崎県の農業普及員に。1996年県庁を辞め有機農家を始める。1999年に「ながさき県北『地球村』」を発足、2003年より「NPO 法人・大地といのちの会」に改め、九州を拠点に生ゴミリサイクルによる元気野菜作りや、野菜作り・土づくりを通して子どもたちの免疫力を上げる公演を全国各地で行う。著書『生ごみ先生の元気野菜革命』『菌ちゃん野菜作り&菌ちゃん人間つくり』など。

HP

ブログ

Text: NAOMI TANAKA

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Kanna Konishi
ウィメンズヘルス・副編集長

編集者として多くのメディアに携わったのち現職。健康オタク歴20年、趣味は"毒出し"で、体と心と部屋を効率よく整え、環境にもいい健康法を探るのがライフワーク。チアリーダー経験あり、勝手に人を応援しがち。仕事では「心から推せるものしか紹介したくない!」と目を血走らせ、常に情熱大陸に上陸中。 

Instagram: @editor_kanna_purico