テニスのウィンブルドン選手権を主催するオールイングランド・クラブが、「出場選手は白のウェアを着用すること」としてきたルールを緩和した。女子選手の間では、「生理中に試合に臨む際の不安」を訴える声が高まっており、そうした状況を受けての決定だという。

イギリスの『スカイ・ニュース』が伝えたところによると、選手たちは白のスカートの下に、濃色のアンダーショーツをはくことが認められる。

これまで生理の問題についてオープンに語ってきたイギリスのヘザー・ワトソン選手(31)は、「アンダーショーツについてのウィンブルドンの発表を、とても嬉しく思います。 明らかな変化をもたらすことですから」と述べている。

「2022年は(ウィンブルドンの試合が)生理のタイミングと重ならないように、ピルを服用しました。白のアンダーショーツをはかなければなりませんし、恥ずかしい思いをするのが嫌でしたから。私たちはコートで走り回って汗をかき、足を大きく広げることもありますからね」

「今年もウィンブルドンと生理の時期が重なるのですが、昨年と同じようにする必要がなくなったのは、とても嬉しいことです」

2015 australian open day 2
Hannah Peters//Getty Images
ヘザー・ワトソン選手

以前に別の大会で、生理のために恥ずかしい気持ちになったことがあるというアメリカのコリ・ガウフ選手(19)選手も、このルールの変更を歓迎している。

「劇的な変化につながります。この話題がもはやタブーではなくなったことを、とても嬉しく思います」「生理用の下着は役立ちますが、(生理中であることは)常に頭の片隅にあります。トイレに行きたいわけではないときでも、シミができていないか確認するために、行くことがあります」

「私にとって、(ルール変更は)大幅なストレス軽減につながると思います。話し合いが行われたのは、とても良いことです」

「身に着けるものはすべて白に」というこのルールは、1877年に定められたもの。アンダーショーツに関する新たな規則は、2022年11月にオールイングランド・クラブの委員会で賛否を問う投票が行われ、全会一致で可決されたという。イギリスではそれ以前から、「ドレスコードに対応を」と銘打ったキャンペーンが展開され、大きな広がりを見せていた。

day one the championships wimbledon 2023
Julian Finney//Getty Images
コリ・ガウフ選手

ただ、ウィンブルドンのこの規則の問題について、最初に関心が集まったのは、2007年のこと。フランスのタチアナ・ゴロビン選手が、白いウェアの下に真っ赤なアンダーショーツをはいて出場したときだった。だが、クラブがその後、特に行動を起こすことはなかった。

女子テニス協会(WTA)を創設した元選手のビリー・ジーン・キング氏や、男子テニスのアンディ・マレー選手の母でコーチのジュディ・マレー氏などはこれまでも、ルール変更の必要性を訴えていた。

一方、女子選手のユニフォームについては、ショーツがいずれも白だったサッカーのイングランド女子代表(ライオネセス)とウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン、マンチェスター・シティ・ウィメンズが別の色への変更を決定するなど、テニス以外のスポーツにおいても、変化がみられている。

多くの女子選手たちが、生理の話題をタブー視する風潮を変えるための活動を行っている。そうしたなかでのウィンブルドンの決定は、正しい方向への一歩だといえるだろう。

Translation: Ryoko Kiuchi From Women’s Health UK