ついつい食べすぎ&飲みすぎてしまいがちな年末年始。いざ脂肪を落としたい、体を引き締めたいと思ったとき、こんなことを考えたことはないだろうか。

「脂肪は、どうやって私たちの体から出ていくのだろう?」

魔法のように消えてなくなるのか? それとも体内には、私たちにはわからない超複雑なメカニズムがあるのか? 残念ながら、その答えは学校の授業では教えてくれない。

この疑問を解消するため専門家に聞いてみたところ、脂肪はいくつかの方法で体外に排出されていることが判明。急激に体重を落とそうとすると健康に害を及ぼすことにもなりかねないので、まずは正しい脂肪の落とし方と、減量時の注意点について、改めてここで確認しておこう。

そもそも体脂肪って何?

体脂肪、すなわち脂肪組織は、体内のエネルギーを蓄積するうえで、非常に重要。心血管系に関する学術誌『Frontiers in Cardiovascular Medicine』の研究では、体脂肪は内分泌系としての機能もあり、体内で特定の成長因子や分子を分泌していることも明かされている。つまり、脂肪は何もしないでただ体内にいるわけではなく、ホルモンの調節にも一役買っているのだ。

体脂肪には主にこの2種類がある:

  • 内臓脂肪:肝臓、膵臓、腸などを取り囲む腹腔内に蓄積された脂肪のこと。ラトガース・ロバート・ウッド・ジョンソン・メディカルスクールの内分泌科チーフを務めるクリストフ・ベットナー氏は、「腹腔内脂肪や臓器脂肪とも呼ばれ、代謝や心血管系のさまざまな問題にも関わるため、増えすぎると健康を害する可能性があります」と説明。
  • 皮下脂肪:皮膚のすぐ下にある脂肪組織の層のこと、と登録栄養士でペンシルバニア大学医学部の非常勤准教授を務めるコリーン・テュークスベリー氏は解説。

脂肪はどのようにして体の外に出ていく?

脂肪を体外に排出する方法はいくつかある。ハーバード大学医学部の医学・小児科講師で、マサチューセッツ総合病院で肥満内科医を務めるファティマ・コディ・スタンフォード氏によると、主に汗、尿、そして気体として外に出ていくそう。脂肪は体内で水分に変換され、さまざまな形で排出されているのだ。

「水分として、発汗時には皮膚から、排尿時には腎臓から排出されます。また、二酸化炭素として肺からも吐き出されます」とスタンフォード氏。つまり、私たちは実際に脂肪を(空気のように)吐き出すことが可能ということ。ただし、汗をかくだけでは脂肪は燃焼されず、水分に変換するためには、まず食事と運動に取り組まなくてはならないので要注意。

「脂肪を減らす方法は、運動からでも食事からでも、原理としては同じです」と話すのは、オレンジコースト・メディカルセンター内メモリアルケア・減量外科センターで肥満外科医を務めるミール・アリ氏。しかし、もし体重を減らすことを目的にしているのなら、運動よりも健康的な食事プランに取り組んだほうが効果は高まるとのこと。

脂肪が減っているかを確かめるには?

tape measure on scales, close up
Peter Dazeley//Getty Images

これまでは標準的な体重計に乗ることが主流だったが、そのとき胃の中にある食べ物や水分、増えた分の筋肉などの要素が正確な測定を妨げてしまい、完璧な方法ではない、とアリ氏。

テュークスベリー氏は「取り入れやすく、長期的に役立てられる指標」として「ウエスト周囲の測定」をすすめている。

いっぽうスタンフォード氏は、生体電気インピーダンス法(BIA)を用いて体脂肪率を計測できる体組成計を使うことも推奨。この場合も概算的な数値しか計測できないことが多いが、長期的に自身の進捗を把握するうえでは役に立つそう。

また、(ウエストの計測と体脂肪の測定の)両方を試すことで、前進している感覚を得られるメリットもある、とアリ氏も補足する。

脂肪を落とす3つのポイントは?

スタンフォード氏は、ベストな脂肪の落とし方には「個人差がある」とした上で、まずは次のことから始めるように助言している:

  1. 赤身肉などのタンパク質、全粒穀物、野菜、果物などを中心に、質の高い食事をとる
  2. 週に150分の有酸素運動を行う(疾病対策予防センター推奨)
  3. 週に最低2日の筋トレを行う
grain bowl with peanut sauce
Enrique Díaz / 7cero//Getty Images

いっぽう、テュークスベリー氏は医療従事者に相談することも大切だと述べている。「自己流の減量は、身体的にも精神的にもリスクがあります」「自分にとって最適な方法を、医師や栄養士と話し合ってみてください」

なおスタンフォード氏は、極端な手段は取らないようにと警告。「大胆なカロリー制限は体に良くない場合が多く、最初は脂肪が減少することもありますが、筋肉も減って栄養が不足し、体重が戻ってしまうこともあります」

アリ氏は、運動で食事が帳消しになるという考えにも言及している。「運動をしていれば、食事にはそれほど気を遣わなくてもいいと考える人もいますが、どちらも重要です」

体脂肪に関するよくある質問

減量を始める際には、以下のことを心に留めておきたい。

医師が最も聞かれる減量に関する質問は?

「患者からよく聞かれるのは、『少食なのに体重が減らないのはなぜ?』ということです」とアリ氏。「このケースの多くの場合は、間違ったものを食べているからでしょう。どれだけ食べているかより、何を食べているかが重要なのです」

特定の部位の脂肪を減らしたいときは?

残念ながら、どこの脂肪を減らすかを選ぶことはできない。「体は、つけたいところに脂肪をつけます」とアリ氏。脂肪がつく場所については、「遺伝によるところが大きいです」とのこと。

脂肪を減らすには「食事」と「運動」のどちらが重要?

食事と運動のどちらも気にかけることが理想的であり、「いずれも長期的に続けることが重要」だとスタンフォード氏は助言。テュークスベリー氏も、「研究によると、食事と運動の両方に気を付けることが最も効果的であり、(どちらかを選ぶのであれば)食事、運動の順だと示されています」と補足している。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Women's Health US

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Korin Miller
Korin Miller is a freelance writer specializing in general wellness, sexual health and relationships, and lifestyle trends, with work appearing in Men’s Health, Women’s Health, Self, Glamour, and more. She has a master’s degree from American University, lives by the beach, and hopes to own a teacup pig and taco truck one day.
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 高校生時代にアメリカンカルチャーの影響を受け、大学在学時にアメリカ・シアトルにてホームステイを経験。海外ドラマに関するWEBメディアでライターを務める。海外エンタメ・セレブ、ロイヤルファミリー、ヘルス・ウェルネス記事をメインに、翻訳を担当。手話技能検定3級、世界遺産検定2級、アロマテラピー検定1級を持つ。