実はマスクは顔をたるませるって知ってた? マスクをするようになってから、たるみが気になったという人は多いかも。そんな人におすすめなのが、表情筋を鍛えながらリフトアップするだけでなく、声まで美しくなれるという「美顔ボイトレ」。
今回は、ボイストレーナーで美顔ボイトレの考案者である鳥山真翔さんに、その効果やトレーニング方法などを伺った。

【目次】

マスクによる顔のたるみの原因とは?

顔がパッと明るくなる、“声”の作り方とは?

顔を若々しくキープする秘訣とは?

鳥山さんが考える美顔の定義とは?

美顔ボイトレとは?

美顔ボイトレのメリットとは?

美顔ボイトレはいつやるべき?

美顔ボイトレのトレーニング方法4

まとめ

マスクによる顔のたるみの原因とは?

「通常、人間は鼻呼吸をして生活をしています。しかし、マスクをしている状態だと、無意識のうちに口呼吸に。実はこの口呼吸がたるみの原因なんです。本来、正しい鼻呼吸をしていると、まぶたの筋肉である“上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)”を使うことができます。上眼瞼挙筋は表情を動かす表情筋とつながっており、この筋肉が衰えてしまうと、顔がどんどんたるんでいってしまいます。美顔ボイトレは、上眼瞼挙筋を使いながら、鼻呼吸をするメソッド。さらに、喉に負担のかからない発声法でもあり、美声を手に入れることもできるんです」と鳥山さん。

顔がパッと明るくなる、“声”の作り方とは?

鼻呼吸をしながら発声をすると目が開き、顔も心も明るくなるのだとか。
「声は、声帯で音の元が作られ、体内の空洞に響かせて生み出されます。鼻の裏あたりに、鼻腔という大きな空洞があり、そこでしっかり響かせることでとてもきれいな声が出るのです。しかし、マスクをしていると、声はマスクの中でこもってしまいますよね。口角も自然と下がってしまうため、声が出にくくなって、たるみを作る原因にもなります。解決策として、しっかり鼻呼吸をすることが大切。鼻呼吸をしながら声を出すと、ワントーン明るい声がでますよ。正しい鼻呼吸をするためには、まぶたの筋肉である上眼瞼挙筋を使いましょう」

顔を若々しくキープする秘訣とは?

透き通ったように白く、ツヤツヤな肌を持つ鳥山さん。スキンケア方法を伺ったところ、内側から潤す方が重要だと考えているため、毎日化粧水は週に3~4回しか塗っていないのだとか。
「毎日、2リットルのペットボトルに入った水を3本ほど飲んでいます。喉に関してもメリットがあり、飴をなめて一時的に喉を潤すよりも、水を毎日たくさん飲んで内側から潤すことをおすすめします。
声帯が不調だなと感じるときは、喉のむくみや毒素、たんが絡んでいる状況です。日ごろから喉を潤していればこのような不調が軽減され、肌もきれいに保たれますよ」

鳥山さんが考える美顔の定義とは?

「顔の筋肉を正しく使い、自然に顔を動かしている人が美しいと思いますね。他のフェイスメソッドのように、笑顔を横に開いて動かすことは美しくないと感じますし、首に力が入るため喉も痛めてしまいます。そのため私が考案した美顔ボイトレでは、フェイスラインを引き上げるために使う、“口角挙筋(鼻の付け根部分)”を鍛え、自然な笑顔を目指します。『口角挙筋を使うと表情ジワができるのでは?』という人もいますが、この筋肉を使った笑顔のほうが自然で美しいです。また、美容目的で注射を打つことも悪いとは思いませんが、薬で顔を固定させると不自然な笑顔になってしまうと感じますね。筋肉をしなやかに動かし、水分で内側から潤せば、美顔をキープできますよ」
加齢で表情ジワができても、自然に作る笑顔が何よりも美しいと鳥山さんは話す。 

美顔ボイトレとは?

まぶたの筋肉である上眼瞼挙筋と笑顔を作るときに使う口角挙筋を鍛えて、フェイスラインを引き上げながら発声をするトレーニングのこと。
年齢を重ねると顔がたるむだけでなく、変声期もむかえるため低音ボイスでしゃがれていくという。また、閉経にむけて女性ホルモンが減少するとともに、声帯が男性化して、低い声になっていく。これらを防ぐために、毎日コツコツと美顔ボイトレを続けよう。

美顔ボイトレをするときのコツ5

1. 上眼瞼挙筋をしっかり動かす

2. 鼻呼吸をする

3.あごはあまり動かさない

4.あごより下の筋肉は力まない(あごより下の筋肉は喉と繋がっている。その部分に力は入ると、声帯を傷つけてしまう)

5.首に力を入れない

「笑顔を作ろうとして口角を横にひくと、首筋がでますね。それは首に力が入っている証拠で、首と繋がっている喉を痛める原因になります。美顔ボイトレのコツは、まぶたの筋肉である上眼瞼挙筋を使う意識で笑顔を作ってください。その筋肉を使って美しい声を出す練習をしましょう」とアドバイスをくれた。

美顔ボイトレのメリットとは?

「美顔ボイトレを続けて鼻呼吸が上達していくと、鼻詰まりが良くなります。しっかり鼻呼吸をし、鼻に空気をしっかり通せば改善するのです。また鼻呼吸によって、ホルモンバランスが整うというメリットも。鼻の一番奥にある副鼻腔(ふくびくう)は、脳に繋がっています。一番奥までしっかり空気が吸えると、物理的に脳まで酸素を行き渡らせることができます。このようにしっかり呼吸をすれば、ホルモンバランスが整うのです。さらに奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)に酸素を送るためには、筋肉が必要。ここまで呼吸がいくと、集中力がアップし“ゾーン”に入ります。
このゾーンに入ると、声のトーンがさらに美しく上がりますよ。話し方が悪いと、余計な筋肉を使ってしまい、肩こりなどの不調の原因となります。
また、実は吐く息に老廃物が入っているので、しっかり呼吸を吐くことが大切です。呼吸を深く正しくすることで代謝があがり、体調も良くなりますよ」と鳥山さん。 

美顔ボイトレはいつやるべき?

「トレーニングは朝がおすすめ。なにか声を発する前にトレーニングをするのがいいでしょう。いつでも、どれくらい行っていただいて大丈夫です。もし頭がクラクラしてきたら休むようにして、自分のペースで行ってください。お化粧前のルーティーンにするのもいいかもしれませんね」と鳥山さん。

美顔ボイトレのトレーニング方法4

口角挙筋をしっかり使って笑顔を作ろう。顔の横はリラックスさせて、縦に笑顔を引き上げて。

上眼瞼挙筋を鍛える方法①

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1. おでこにシワが寄らないように、手でおさえる。まぶたを引くように、グッと目を開く。10秒キープしたら、脱力する。

2.次はおでこの片側だけおさえる。おさえていないほうのまぶたを引くように、しっかりと開く。
おでこにシワがよらないよう、下にグッとおさえる感覚でおでこをおさえる。首になるべく力を入れず、後頭部を立て姿勢を正そう。10秒キープしたら、脱力する。

上眼瞼挙筋を鍛える方法②

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鳥山真翔
おでこをおさえて眼球のみ上を向く。


1. おでこにシワが寄らないように、手でおさえる。まぶたを引くように、グッと目を開く。5秒キープしたら、脱力する。

2. おでこをおさえて眼球のみ上を向く。まぶたは動かさず、眼球のみ正面に戻す。戻ってきたとき5秒ほどキープし、鼻呼吸をしよう。目の奥から空気を出し入れする感覚で呼吸をしてみて。目の裏がひんやりと感じるはず。片方ずつ行おう。

正しい笑顔の作り方

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鳥山真翔
鼻の穴の横あたりを指でおさえる。


鼻の付け根あたりを指でおさえる。口角挙筋を使って、涙袋がピクっと動くように縦に意識して笑う。首や喉の周りに力はいれないように注意して。横に引くと喉を傷つけるリスクがあるそう。 

発声もよくなる美顔ボイトレのやり方

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1.あごが下がらないように、唇の下を指でおさえる。このときまぶたは、上眼瞼挙筋しっかり使いながら開ける。

2.高めの声(できれば裏声)で「ま」と発声しながら、上唇を涙袋が反応するくらい引き上げる。もし動かない場合は、鼻の脇部分を指で押し、目頭のほうに引き上げて。

3.①②を繰り返して、音程を1音ずつ下げながら6回ほど「マ」と発声する。発声は、息を吸ってそこから声を出すイメージで。40秒間ほど繰り返そう。

「はじめて行う方は、難しいと感じるかもしれません。そのようなときは、手を使いながらトレーニングに励んでください。完璧を求めすぎず、時間をかけてゆっくりでいいので行ってみて。慣れてくると、会話中に目のあたりがスーッと清涼感を味わうでしょう」と鳥山さん。

まとめ

まぶたの筋肉である上眼瞼挙筋を使いながら鼻呼吸をしっかり行うことで、たるみが引きあがる。そして上眼瞼挙筋を使ってまぶたを開いた状態で発声をすると、声帯が傷つかずにきれいな声を出すことができる。ポイントは、首に力をいれないように目をしっかり開けて呼吸をすること。より詳しく知りたい人は、鳥山さんの著書『美顔ボイトレ 声を出すたびに美しくなる(祥伝社)』も併せてチェックして!
「美顔ボイトレを行うと、今自分の持っている声や顔をより美しく磨くことができます。『私はこんな声と顔だから……』と決めつけず、トレーニングをしてみてください。継続させれば声も肌も今よりグッと美しくなります。声がイキイキすれば、顔も心身も考え方も前向きになりますよ」と鳥山さんが悩める女性の背中を押してくれた。

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鳥山真翔

■お話を伺ったのは......

鳥山真翔(とりやま・まなと)鳥山式 美顔ボイストレーニング トレーナー ボイスセラピスト・占い師。株式会社スイッチオブボイス 代表取締役。
日本ボイス・ビューティ協会 代表理事。幼少期より「人の声が色で見える」というな共感覚を活かし、ボイストレーナーとしてこれまで2万人以上を指導、声と向き合う。自身考案のメソッド「美顔ボイトレ」が話題を呼び、数々の番組の出演、書籍の出版、メディア監修、プロデュース等を行う。

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Runa Komatsu
エディター

主にSNS周りを担当。オーガニック・ヘルシーフード・K-POPなどのリサーチ力が持ち味。オーガニックワイン、ヴィーガンフードなどのキーワードから、土壌を始めとする環境問題などにも興味を持ち、記事へとつなげている。 2022年までウィメンズヘルス編集部に在籍。