史上初めて、ショートヘアのミス・フランスが誕生した。だが、残念ながらその勝者である20歳の大学生、数学を専攻するイヴ・ジルさんが、インターネット上で猛烈な批判を浴びている。ショートヘアであることに加え、やせていることなどが問題だという。

毎年恒例のこのコンテストは、12月16日(現地時間)に決勝戦が行われ、TV中継されたその模様は、およそ750万人が視聴したとされている。

ジルさんはステージ上で、美しさは「髪型や体形などだけで判断されるものではない」として、「あなたがどのような人でも、それについて他の誰かの指図を受けるべきではありません」と述べていた。

a group of women in formal wear
ARNAUD FINISTRE

今となれば、これは彼女に対する「まったくミス・フランスらしくない」との批判に対する反論として、受け止めることができる。

私たちは髪の長い美しい“ミス”たちを見慣れているものの、それでも「中性的なショートヘアを選んだ」というジルさんは、「私たちが日々耐えなければならないボディシェイミングについて、話し合いたいと思いました。私たちのすべてが、不完全な面を持っています」と語っていた。

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また、ジルさんの優勝は、「wokeism(ウォークイズム)」の影響を受けているとの批判もある(「woke」は「wake(目を覚ます、起きている)」の過去形で、「社会に対して常に政治的な目を向け、行動しよう」という意味で使われる言葉)。

これを受け、政治家たちは相次ぎ、ジルさんを擁護する発言をしている。緑の党のサンドリーヌ・ルソー議員は、「つまり、2023年のフランスで私たちは、女性を尊重することについての進歩を髪の長さで測るということですか?」と疑問を呈している。

いっぽう、ミス・フランスはコンテスト自体も、多様性の欠如や出場者に求める厳しい応募要件などが批判されてきた。12月上旬には、2018年のミス・フランスのファイナリスト2人の上半身裸の姿を無断で撮影し、TVで放送したことで訴えられていたTV局のTFIと番組制作会社エンデモル・プロダクションが、損害賠償を命じられている。

こうしたことから考えれば、ミス・コンテストの倫理的な面(そしてその運営方法)について、議論の必要があることは確かだといえる。そして、髪が短くても長くても、生えていなくても、「すべて美しい」ということも。

From COSMOPOLITAN UK

From: Cosmopolitan JP
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Amber O’Connor
Junior Features Writer

 Amber O’Connor is Cosmopolitan UK’s junior features writer, who covers everything from breaking news, women’s safety and real life features to fitness, travel, and cultural trends. She works on first-person features, reports, and long reads, plus the hottest stories of the day (if you want to know about the latest wellness craze or TikTok trends, she’s your girl). 

Amber has previously worked as a reporter and a lifestyle writer, with her work appearing in numerous publications, including The Mirror, Red Magazine, Evening Standard, Indy100, and Yahoo News. When she’s not working her way through her TBR list, Amber loves dancing, running, and going on adventures with her dog.

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翻訳者。学業・仕事のため、5カ国の7都市でおよそ10年を過ごす。帰国後は経済・ビジネス関連の文書やニュース記事の翻訳を中心に、ウェルネス系の専門誌やアート関連の書籍、映像翻訳も手掛けるなど、長年にわたってフリーランスで活動。常に新たな情報に触れる仕事柄、心がけているのは、「浅くても、 何でも広く知ろうとすること」。