生理前になると増加する食欲。抑えられないこの衝動の原因と対策を専門医が解説! 生理前は我慢できずについつい食べ過ぎてしまい、日頃のトレーニングの成果が台無し、なんて経験がある人も多いはず。実はこの食欲増加の理由には、女性ホルモンが大きく影響しているそう。産婦人科医の清水なほみ先生に、生理前の食欲を抑える方法を聞いた。

生理前に食欲が止まらない原因

女性ホルモン「プロゲステロン」の分泌の影響

黄体ホルモン

女性の体は、排卵後、妊娠を成立させて継続させる働きをもつ女性ホルモン・プロゲステロン(黄体ホルモン)が増加します。その影響で、食欲が増したり、むくみやすくなるのです。さらに、気持ちが不安定になったり、便秘がちになったり、吐き気や頭痛が起こることも。これこそPMS(月経前症候群)です」(清水先生) 

生理前は血糖値のコントロールがしにくくなる

食事や間食による血糖値の乱高下が起きやすくなるため、空腹が感じやすくなるのも一因だそう。

間食
Getty Images

「生理前に食欲が増す人は、イライラがベースにあります。それで衝動が抑えられず、食べてしまうという結果に。でも、生理周期に伴って精神的な波が出るのは普通のこと。PMSの症状のみなら、生理が始まると自然に食欲は収まります。

しかし、それ以外でも食欲が増すなら、原因は別に。それを判断するには、基礎体温表をつけることです。基礎体温を測り、メモ欄に食欲が増大した日に印をつけてください。PMSだと高温期だけ、食欲が増えます。しかし、別に原因がある場合は、高温期以外にも食欲が増す日があります。その日の出来事、仕事や恋愛などの悩みが食欲を増大させる原因となっているのです」(清水先生)

まずは1カ月、基礎体温表をつけて、暴食の原因を突き止めて! 基礎体温表は、無料でダウンロードできるものもあるので、ぜひチェックを。

生理前の食欲を抑える方法

好きなことをして食欲をコントロール!

「PMSの症状がでやすい人は、〝生理前の食欲はコントロールできない〟と思い込んでいる特徴があります。でも、体調も食欲も自分主導でコントロールできるものです。まずは、それを認識することが大切です」(清水先生)

生理前の過剰な食欲を抑える方法として、トレーニングなど、自分が好きなことに熱中するのがおすすめだそう!

トレーニング
Getty Images

「生理前でも生理中でもトレーニングはしてもOK。運動によって気分がスッキリし、満足感を得られるなら積極的に行いましょう。プロゲステロンが上がる時期は、減量しにくくなりますが、1日の中でも体重は約2㎏増減します。だから、生理前に2㎏くらい増えることは心配ありません。ダイエット中の人は、現状維持を心掛けましょう」(清水先生)

トレーニングも嫌々やるのは逆効果。ゆっくり過ごすことが好きなら、それでも問題はないそう。ストレッチをしたり、ヨガの呼吸法をするなど、自分が心地いいと思える方法をセレクトして。自分にとって〝本当にほしいもの〟で満足感が得られれば、食欲は抑えられるそう。

食事は低糖質・高タンパク質なものを選ぶようにする

生理前は、味覚が鈍感になり、甘いものやしょっぱいもの、人工的な味がほしくなります。でも、間食では砂糖が含まれたものはとらないこと。もし食べたくなったら、ナッツや小魚を食べるといいですね」

旅館ご飯
Getty Images

「また、食事は、お肉、お魚、大豆を意識して食べてください。理想は、旅館の朝食。ご飯は、玄米や雑穀がベストです。よく噛んで時間をかけて食事することで血糖値の乱高下を防ぎましょう。パンだけ、パスタだけなど、糖質のみの食事は、基本的にNGです」(清水先生)

もし過食してしまったら、次の食事で調整を。1日食べ過ぎたら、次の2日間で少しずつご飯を減らして食事量の微調整を行い、トータル3日間で平均になるように。ファスティングを行うのもおすすめだそう。まずは自分の食欲の原因を見つけて、生理周期の食欲をうまくコントロールできるようにつとめて。

ポートサイド女性総合クリニック ビバリータ
住所/神奈川県横浜市神奈川区大野町1-25 ヨコハマポートサイドプレイス3階
電話/045-440-5577(予約専用)
診療時間/10:00~13:00(受付~12:30)、14:00~18:00(受付~17:30)
休診日/水・日・祝日
URL/www.vivalita.com/index.html
※完全予約制

Headshot of 清水なほみ先生
清水なほみ先生
産婦人科医
ポートサイド女性総合クリニック ビバリータ 院長。日本産科婦人科学会専門医・日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー。女性医療を通して、女性の美と健康をサポートする。