皆さんは食事から全ての必要栄養素を十分に摂れていますか?

こう聞かれてイエスと答えられる人はおそらくゼロに等しいだろう。それほど私たちに必要な栄養素は多い。中でも五大栄養素と言われるたんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルは特に欠かしたくない。

「最近では聞いたこともなかった栄養素が注目されたり、見たこともないサプリメントの広告が飛び込んできたりします。しかし、基本である五大栄養素をしっかり摂れていないのに、手当たり次第に色々なサプリメントに手を出すのはあまり賛成できません」

そう語るのは、自身もサプリメントで不足栄養を積極的に補うというパーソナルトレーナーの林健太さん。

「サプリメントには抵抗がある、反対だという方もいらっしゃるかと思いますが、僕は必要な栄養はサプリメントを使って効率よく補います」

今回はその重要な五大栄養素の中でも不足しがちで、林さん自身もサプリメントで補うことが多い栄養を教えてもらった。

サプリメントは個人の食生活や体質、習慣により異なってくるので、一つの情報として参考にしてみて。


①二種類の水溶性ビタミン

不足しがちな栄養素
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必要量は少ないものの、各種ビタミンは体内で作りだすことができないので食事からの摂取が必須。

中でも水溶性ビタミンであるB群とCはその名の通り水に溶けるので、特にこれからの暑くなる季節は汗でもどんどん排出されてしまう。

排出が多いということは、なるべく食事の度にしっかりと摂る必要があるが、なかなかそういうわけにもいかない。ビタミンは補酵素でもあり、体内の様々な生体反応にも必要なので、タバコやアルコールを好む人、運動量の多い人はその分必要量も多くなる。

摂取しても過剰な害のない量として耐用上限量が設定されているものの、現代人の乱れがちな食生活では上限に達することはまずない。

「特に水溶性ビタミンは、コンビニで買える清涼飲料水などにも添加されていることも多いので、サプリメント同様にそういったものを使うのも一つの手だと思います。食事が少なくなってしまう時や、外出でサプリメントを持ち歩けないときなども、ものによっては自販機でも手に入ります」

気休め程度の摂取かもしれないが、塵も積もれば山となる。

むしろ水溶性ビタミンは汗や尿で排出されなかなか積もるものではないので、常に不足すると考えてこまめに摂るようにしておこう。

②多種類のミネラル

ミネラルのサプリメント
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カルシウムやマグネシウム、鉄や亜鉛など馴染みの深いミネラルから、セレンやモリブデンなどあまり聞かないミネラルまで種類は多い。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では13種類が記載されており、さらに主要ミネラルと微量ミネラルにも分かれる。

ビタミン同様に必要量は少ないが、体内で作りだすことはできない。

ミネラル同士やビタミンと相互に影響し合うので、バランスよく摂ることも非常に重要。でも名前も知らないようなミネラルもあるくらいなのだから、摂れているのかどうかも分からないというのが現状だろう。

「塩分過多の現代食では、ナトリウムの摂り過ぎが度々取りざたされますが、それ以外のミネラルはしっかりと摂っておきたいですね。特に女性は鉄や銅は貧血予防のためにもしっかりと摂っておきましょう。緑黄色野菜や木の実、雑穀や海藻など摂る機会が少ない食品にこそミネラルは多く含まれます」

ビタミンやミネラルは機械の歯車に差す潤滑オイルのような存在。少量でも差してあげることで滑らかに回転する。なくても回り続けるが、歯が欠けてしまったりひずみが出たり、最悪は回転が止まってしまうなんてことも。

自分自身の体でそういった不調を起こさないためにも、普段摂らない食材をリストアップして、その食材に多く含まれるミネラルなどを追加で補うように心掛けてみよう。

③定番のオメガ3脂肪酸

オメガ3サプリメント
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魚やナッツに豊富に含まれる脂質として有名なオメガ3脂肪酸。これも日頃の食事では不足しやすいので是非摂ってほしいと林さんは言う。

「現代の食事で脂質が不足することはまずありませんし、できれば控えるくらいの心がけをしてほしいです。しかし、このオメガ3脂肪酸だけは不足しがちなので、脂質全体のバランスを整える意味でも積極的に摂りましょう」

特に女性の妊娠中は胎児の器官形成、産後には母乳脂質成分を充実させるためにも不足させたくない。

また、炎症作用にも深いかかわりがあるので、生理痛が重いという人は一度食事のバランスを見直してみるといいかも。

サプリメントに頼りたくないという人は、肉食の回数を減らし、魚食メインの食生活に切り替えるだけでも十分に摂れるので、まずは食事の改善から心がけてみて。

④何といってもプロテイン

不足しがちなプロテイン
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朝食は手軽におにぎりや菓子パン、ランチはさっとラーメンで。夜は太りたくないからサラダなどで糖質オフ。

そんな食生活を送っている心当たりのある人はどれくらいいるだろうか。

このような食事では先述した3つの栄養素はもちろん、タンパク質も全く足りていない。

炭水化物や脂質がエネルギー源になる一方で、ご承知の通り筋肉を作る為に必要なのがタンパク質。車に例えるならば、ガソリンでもなくエンジンオイルでもなく車本体。

この本体を構成する栄養成分が欠けていては、どれだけ微量栄養素を摂っていても歯が立たない。

タンパク質は体を鍛えている人だけがたくさん摂るべきだと勘違いしている人もいるが、特に高齢者は加齢に伴って減少していく筋肉量や筋力を維持する上で、若年者や中年成年に比べてもより多くのタンパク質が必要とも言われている。

どれだけ少なくても0.66g/kg体重は毎日欠かさず摂るようにし、理想を言えばこの二倍、運動量の多い人は三倍を目指すのが林さんのおすすめ。

摂りすぎに気を付けても摂ってしまうのが脂質であれば、摂っているつもりでも摂れていないのがタンパク質。PFCバランスを心掛けた食事を摂りながら、微量栄養素でその歯車をしっかり回していくことができれば、充実した健康生活を送れるはず。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/