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マドンナ、ミランダ・カー、マイリー・サイラスなど、数多くの海外セレブやモデルが健康や体型維持のためにヨガを実践している。ヨガを習慣にしている人は、ほどよく引き締まったヘルシーな体型の人が多い。さらにヨガは、ストレスの緩和やリラックスなど精神面にもよいと言われている。なぜ、ヨガは心と体によいのか? 医師でヨガ講師の石井正則先生が、その理由と効果的な練習方法をレクチャー。

ヨガで自律神経の乱れを整える
「ヨガにチャレンジしてみたいけれど、体がかたいからムリ」と思っている人は多いはず。ヨガと聞くと、アクロバティックなポーズを想像するかもしれないが、ヨガに柔軟性はまったく関係ない。ヨガは体がかたくても、運動が苦手な人でも、だれでも簡単に始められるものだ。

「ヨガは全身を使う有酸素運動で、自律神経を安定させるのにとてもよいメソッド。正座ができない、あぐらがかけないような体がかたい人でもできます。運動をしたいという患者さんにも、ヨガを選択肢のひとつとして薦めています」(石井正則先生)

自律神経は、循環器や呼吸器、消化器など体内のさまざまな働きをコントロールしている神経。交感神経と副交感神経の2つがあり、健康な状態のときはこの2つの神経はバランスを保っているが、心身にストレスがかかるとバランスが不安定に。とくに忙しい現代人は交感神経が優位になりがちで自律神経が乱れやすいため、筋肉のこりや血圧の上昇、不眠などの不調が出やすくなるという。

「一般にヨガのレッスンは、呼吸を意識していくつかのポーズを行った後、最後に仰向けのポーズで5〜10分ほど休みます。ヨガで筋肉を使うと交感神経はさらに興奮しますが、最後にリラックスすることで交感神経の働きが低下して副交感神経がぐんと優位になります。これにより、自律神経を安定したよいバランスに戻すことができるのです」(石井先生)

自律神経が安定すると、免疫力のアップにもつながるという。「ストレスを強く感じる状態が続くと、コルチゾールというストレスホルモンが過剰に分泌されて免疫力が低下します。ヨガで副交感神経を優位にするとストレスが軽減されるので、コルチゾールによる免疫力の低下を防げます」(石井先生)

ヨガで健康になるためには、①動きにオン(緊張)とオフ(弛緩)がある②呼吸を意識して動く③意識を心と体に向ける、の3つのポイントをおさえて練習することが大切だと石井先生。
「ヨガの目的は、美しいポーズをとることではありません。大切なのは、呼吸を意識して今の自分の心と体に向き合うことです」(石井先生)
ヨガを続けていると体を支える筋肉(抗重力筋)が鍛えられるので、姿勢の改善やヒップアップも期待できる。心も体も健康になりたいなら、今すぐヨガを始めよう!

<プロフィール>
石井正則(いしいまさのり)JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽頭科診療部長。八重洲クリニック・耳鳴り・めまい・難聴・ストレス特殊外来担当。日本耳鼻咽頭科学会評議員、宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙医学審査会委員。1980年東京慈恵会医科大学卒業。84年同大学院卒業とともにヒューストン・ベイラー医科大学・耳鼻咽頭科へ留学。2006年からヨガを始め、スタジオ・ヨギー公認ヨガインストラクターとしても活動中。

参考文献
『自律神経を良くすれば、耳鳴り、めまい、難聴も良くなる!』石井正則 著(廣済堂出版)

Photo : Getty Text : Mayo Yasuda