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ヨガのポーズの中でも特に難易度が高い、ヘッドスタンドなどの逆立ちポーズ。挑戦したいけど怖い? その恐怖感を拭い去る方法を、ヨガインストラクターのキャサリンが伝授してくれた。

あちこちでシェアされている驚くようなイメージの数々に、人々は深く感銘を受けるか、ひどく自信を失うかのどちらかみたい。逆さまになるのが怖い自信喪失グループなら、あなたは決して一人じゃない。

倒立のように難易度の高いポーズには、身がすくむこともある。普段とはまったく違うことをさせるものだし、体と視点が文字通り逆さまになる。無限の可能性を秘めた新しいレンズを通して世界を見るチャンスでもあり、崖っぷちでグラグラ揺れているような感覚にもなるもの。

この手のポーズが怖いのはどうしてだろう? 恐怖を断ち切り、バランスを取って優雅に浮かぶ方法はあるの? 逆立ちするという考えが、私たちを震え上がらせる理由を考えてみよう。

まず倒立は、経験豊富なインストラクターの指導のもとで練習するべきものであることを覚えておこう。安全に行うためには、可能な限りヨガスタジオで正しいやり方を身に付けるのがベスト。高血圧の人、めまいがする人、肩をケガしている人、妊娠中の人には推奨されないので注意。

恥をかくのが怖い

恥をかきたい人なんて一人もいない。私はこれをインストラクター養成講座の中で身をもって知った。40人近い大きなグループで、誰もが逆立ちセクションを熱心に学んでいた。壁に沿ってハンドスタンドを行うことになったので、各自の持ち場について全員が足を蹴り上げた。その全員というのは私以外。私にはやり方が分からず、蹴り上げては失敗した。失敗を繰り返す私の姿を誰もが見つめる中で、どんどん必死になった。講師の一人が私の後ろに回り込み、慎重に脚を持ち上げてくれた。彼のサポートを受けながらポーズを維持し、終わった途端すすり泣いた。講師は、「このポーズに必要な体の強さは充分にある。“ここ” の準備ができて初めてできるものだ」 と、私の頭を指で軽く叩いただけ。このシンプルな教訓が、恥と結果へのこだわりを捨て、ただ練習に励むことをいつも思い出させてくれる。足を蹴り上げるか、やめるか。大切なのは取り組む姿勢であり、結果ではない。

人前で恥をかきたくないがために、ヨガスタジオで練習しないヨギをたくさん知っている。人目のあるところでヨガをすることに不安を感じるのは完全に普通。でも、大技に挑戦して失敗するのは特に怖い。逆立ちに失敗すれば、前にいる人を倒してしまったり、大量のレンガを崩してしまうかも。一番嫌なのは、地面から起き上がろうとする自分に部屋中の視線が向いているように感じること。この恐怖に立ち向かうには?

まず第一に、あなたを見ている人なんて冗談抜きで一人もいないことを理解しよう。みんな自分の練習にいっぱいいっぱいで、人の様子を気にする余裕なんかない。ヨガルームには、人が撃沈する姿を見たがる人もいない。実際には、部屋中がチアリーダーで溢れていることを忘れないで。ずっと練習していたポーズをついに成功させた生徒に、みんなが拍手を送るのも珍しくない。グループで練習することの利点は、チームのサポートが得られること。1回目や108回目の挑戦であなたが大技を決めることなど、誰も期待していない。みんなで一緒に頑張る過程にこそ価値がある。他の人も逆立ちに苦労しているのを見れば、自分の恐怖が断ち切れるかもしれない。ポーズを完璧にすることではなく、それを経験し、そこから学ぶことが目的だと覚えておこう。

けがをするのが怖い

これは大きな恐怖。腕が崩れて頭を強打したり、脚を蹴り上げすぎて転倒し、想定外の死体のポーズをとるハメになったりするのを恐れて、ハンドスタンドのようなポーズができない人は非常に多い。訳も分からずやっていては、けがをする可能性があるのは言うまでもない。この恐怖に打ち勝つには、経験豊富なインストラクターの助けを借りて正しい配置 (アラインメント) を習得するのが一番。

ここで、ちょっとしたアドバイス。

腕が崩れるのが怖いなら、ヨガストラップを使ってみよう。肩幅の大きさの輪を作って両腕に通し、肘の真上で固定する。この輪が腕をやさしく包み込み、崩れるのを防いでくれる。上腕の外側に力を入れる練習にもなるので、首に負担をかける必要がなくなり、体の他の部分とのつながりを維持できる。

転倒してけがをするのが怖いなら、壁で練習! 私の生徒にはいつも壁で練習させてから、部屋の中心に移動するのに必要な身体的および精神的なサポートを徐々に与えていく。私自身、恥じることなく何年も壁で練習した。壁を使っていることで自分を評価しないで。逆立ちの練習に必要なパワーを得るための足掛かりとして使えばいい。最終的には少しずつ壁から離れ、蹴り上げた足が空中に浮かぶ時間を増やしていけば、そのうち壁に一切触れなくなる。

常に背中がバナナみたいに曲がっているように感じ、ひっくり返ってしまいたくなる人には、肋骨を固定する必要がある。肋骨の周りに本物のコルセットが付いていて、骨がリボンの紐で出来ていると想像してみよう。リボン同士を結んでキュッと締めれば、正面の肋骨が柔らかくなり、腰が伸び切る (ほとんどの人は腰が非常に柔らかいので、やりたくもないのにバックベンドしてしまう)。体幹に力が入るのを感じ、逆さまでも安定するようになる。

失敗するのが怖い

ヨガは、A型タイプや頑張り屋さんを魅了する。ポーズを完璧に決めたい人たちらしい。もちろん、ポーズにも色々あるし、手や腕、時には頭でバランスを取るのは決して簡単なことではない。明らかに不可能そうなポーズを目にすると、生徒たちは途端に 「無理だ」 と口を揃える。すぐさま無理だと自分に言ってしまっては、学び、成長する可能性が消え去ってしまう。新しいポーズに挑戦したら失敗する? 絶対何度も失敗する。でも、人はそうやって上達するもの。何ヶ月経っても、壁に向かって足を蹴り上げることすら出来ないかもしれない。だからって諦めるべきかと聞かれれば、答えはノー。だってそれは、あなたがコンフォートゾーンの外側にある何かを学ぶ道を歩んでいることを意味している。結果に執着せず、定期的にスタジオに姿を見せてベストを尽くせば、努力が報われることを知るチャンス。失敗への恐怖心に、その邪魔をさせないで。

筆者のキャサリン・ブディグは、世界を飛び回りながらオンラインプラットフォーム『Yogaglo』でヨガを教えるインストラクター。ヨガエキスパートとしてウィメンズヘルス誌やヨガジャーナルに寄稿する一方で、食通ヨギとしてライフスタイルマガジンMindBodyGreenでも活躍する。Gaiam社から発売の『Aim True Yoga』DVDの制作者、『Poses for Paws』の設立者、そしてRodale社発行の『The Women's Health Big Book of Yoga』の著者。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳しました。



Text: Kathryn Budig Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。