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一歩一歩が拷問のような痛み。せっかくレースに向けて頑張ってきたのに、今回の出場は夢で終わるのではと思わせるシンスプリント。その原因と対策とは?

「職場でもっとも頻繁に目にするのはシンスプリントだ」と言うのは『Running Strong』の著者でスポーツ医学の専門家ジョーダン・メッツル医師。事実、スポーツ医学誌に掲載された研究結果の見直しにより、ランナーを苦しめる最も一般的な怪我はシンスプリント(別名:脛骨過労性骨炎)であることが分かったそう。

米国整形外科医学会によると、この厄介なシンスプリントは脛骨周辺の筋肉、腱、そして骨組織が、ランニングなどの反復運動によって起こる炎症。脛の骨に沿って鋭くズキズキとした痛みを伴う。メッツルは「走った後に脛骨を押せば、シンスプリントを起こしているか分かるはずだ」と言う。

痛みで走り方が変わってしまうのも、シンスプリントを抱えているサイン(脛骨を触った時に痛みを感じなくても、走りながらそこに緊張を感じる場合、シンスプリントとは全く異なり医師の診断を必要とするコンパートメント症候群の可能性がある)。

痛みの原因は?

メッツルによると、あまりにも急に走行距離を増やすと、骨の炎症を誘発しシンスプリントになりやすくなるそう。認定筋力強化調整スペシャリストのニコール・ヘンゲルスは、ランニングマシンからアウトドアランニングに切り替えたり、最適なシューズを履いていないことも一因となると指摘する。また、シンスプリントがあなたの走り方に何か間違いがあることを暗示していることも。

メッツルによると「最も一般的な原因は、偏平足で足が内側に回内していること(プロネーションと呼ばれる状態)」、または歩幅が大きすぎること。「ガゼルのように走っている気がするかもしれないけど、これは脛によりストレスをかける走り方だよ」。彼はまた、遺伝、食生活(カルシウムやビタミンD不足)やホルモン上の問題によって、ランナーの骨密度が低いという可能性も指摘する。

痛みを防ぐには?

あなたが初心者またはレースに向けてトレーニングをしているランナーの場合、走行距離を徐々に増やすことでシンスプリントを防ぐことができる。原則として、一週間のうちに走行距離を10%以上伸ばさないこと。さらに、走り方を直さない限りシンスプリントはほぼ必ず帰ってきてまたあなたを悩ませる。「休むことで痛みは取り除けても、原因までは取り除けない」とメッツルは言う。

スポーツドクターにかかるのが最善の策。偏平足には土踏まずのサポートを。また、走行中の脛への負担を軽減するための骨盤や臀部を鍛える筋力トレーニングも重要。歩幅に問題があるのなら、それを短くする努力をしよう。また、近くのランニング専門店で歩行分析をしてもらうのも名案。フィッティングで最適なシューズを見つけるのを手伝ってくれるはずだ、とヘンゲルスは言う。

素早く回復するには?

ヘンゲルスいわく、走行時に脛が痛いのは普通ではない。だから脛の緊張が1週間以上続くようなら医師の正しい診断を仰ぐべき。レースに向けてトレーニング中なら、本当につらい判断だけど出場は諦めて。

歯を食いしばって耐えればいいと思うかもしれない。でもそれは大きな間違い。痛みを抱えながら走ると疲労骨折を起こし、3週間の回復期間で済むはずのところが何ヶ月もの休養を余儀なくされてしまうとメッツルは注意を促す。自ら治療するアスリートたちには“相対休養”を勧めているという彼。医師とともに問題解決への糸口を見つけるまでの間、ランニングの代わりにサイクリングや水泳などの安全で負荷の低い有酸素運動を行い、心臓機能を維持するというもの。

その一方でヘンゲルスは、痛みのある部分へのアイシング(20分冷やしたら20分休む)に加えて、コンプレッションソックスを履いて血流を増やし、出来る限り炎症を軽くすることで回復を早めることができるとする。「私たちの多くにとって、目指すべきは終身ランナーであることを覚えておいて。まずは健康第一。フィニッシュラインに集中するのはそれからよ」。

https://www.womenshealth.com.au/article/fitness/why-you-get-shin-splints



Text: Jessica Migala Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images