普通の牛乳とどちらがいいか、栄養士に聞いてみた。
栄養士のクリス・モーアはクライアントに「無脂肪牛乳は糖質が多すぎるので、普通の牛乳を飲むべき?」とよく聞かれるそう。
そこで、牛乳に関するよくある疑問に答えてもらった。
まずは糖質ついて。無脂肪牛乳、脂肪分が1%から2%のもの、普通の牛乳などの味のついていない牛乳はコップ1杯あたり糖質を12g程度含んでいる。でも、それ以上でもそれ以下でもない。さらに、この糖質は自然由来で、元から牛乳に含まれているラクトースで人工的に添加されたものではなく、政府も摂取量を制限していない。
カロリーは含まれている脂質の量に左右される。コップ1杯の無脂肪牛乳の場合、脂質は含まず90kcal程度。通常の全乳の場合は145kcalで脂質は8g程度。
それ以外の主要栄養素、たとえばカルシウム、カリウム、ビタミンDなどは低脂肪牛乳も全乳もすべて同じ。
では、気になる飽和脂肪酸は?
確かに乳製品の脂肪のほとんどは飽和脂肪酸である。でも、2015年5月の『Advances in Nutrition』の飽和脂肪酸と循環器系の健康について最新データを用いた調査では、飽和脂肪酸について最適な栄養素の組み合わせというものは見つからなかったという。ただし、研究者は飽和脂肪酸を全面的に排除するのではなく、どの栄養素と置き換えるかのほうが大切だということを指摘したという。さらに、2015年の食事ガイドラインのレポートでも、食事に含まれる脂肪の量に関する懸念を否定している。
普通の牛乳と無脂肪牛乳どちらがヘルシー?
乳製品を摂っている人は今すぐ普通の牛乳に替えたほうがいい、と言うほど簡単ではない。なぜなら、普通の牛乳にするとどうしてもカロリーは増えてしまう。
たとえば体重がオーバーしている肥満のクライアントが普通の牛乳を飲んでいるのなら、カロリーをカットできるので、低脂肪のものをすすめる、とモーア氏は言う。
一方で、脂肪を減らしたいのではなく運動のパフォーマンスを上げたいと思っているクライアントには、栄養をもっとしっかり摂るようにアドバイスするので普通の牛乳を飲んでいてもよいと言うそう。
つまり、牛乳だけでなく全体像を見る必要があるということ。栄養素は黒か白かではないし、全員に同じことが言えるわけでもない。求めていることやゴールによって必要なものはちがってくる。大切なメッセージは、食生活全体を見て、ある特定の食品だけを見ないこと。
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text:Chris Mohr Phd.,R.D. Translation:Noriko Yanagisawa Photo:Getty Images