White, Bed sheet, Skin, Leg, Beauty, Shoulder, Bed, Room, Comfort, Bedroom, pinterest

どれくらいの頻度で夢を見る?  “ほとんど見ない” が答えなら、あなたには仲間がいっぱい。ある調査では、参加者の32パーセント近くが1ヶ月に夢を1回見るか見ないかだと回答しているそう。夢を見ないのは一般的。だけど、これがあなたの睡眠の質に関する何かを物語っているかもしれない。というより、夢を見ないこと自体が危険かも。

米国アリゾナ大学統合医療センターの睡眠科学者であるルビン・ナイマン博士は、アメリカ人の見る夢の数がかつてないほど減っており、これはまさしく全国民の健康を脅かす危機だという。なぜなら、ニューヨーク科学アカデミーの年報に寄せた最新の文献で彼が説明するように、夢を見ることは、人間ひとりひとりの身体的・精神的・スピリチュアルな健康に欠かせない重要な一部だから。

メンズヘルス誌とのインタビューの中でナイマン博士は、「私たちは睡眠と夢を、起きている時間ほど重要ではない補助的なものだ考えているが、実際はもっとずっと大切なものだ」 と語った。

ほとんどの場合、夢はレム睡眠 (急速眼球運動) の成果物。このステージでは、睡眠サイクルの中で脳が最も活発化するため、夢を見やすくなる。ナイマン博士いわく、夢をまったく見ていないとすれば、それはたぶんレム睡眠が足りないから。つまり、質の高い睡眠が恐らく全体的に不足していることになる。

これはどうしてだろう? ナイマン博士は、なかなか眠らせてくれない仕事のスケジュール、アルコールや処方薬などの物質、そして偏在する電子機器から来る現代社会のプレッシャーが、人と睡眠の関係を壊し、貴重なレム睡眠の時間を浸食していると主張している。博士はまた、レム睡眠が不足すると、うつ病、記憶障害、肥満、その他多くの疾患のリスクが高まると注意を促す。

ここまでくると、ナイマン博士がニューエイジ・サイエンスにかなり入れ込んでいるように聞こえるかもしれない。その思われても、ある程度はうなづける。実際に会話の中でもナイマン博士は、“スピリチュアリティ” や “認識モード” といった用語を使い、彼の文献にはローリングストーンズの格言が用いられているくらいだから。

とはいえ、彼の主張は確かな証拠で支えられている。研究によって、オーストラリア人の大多数は、推奨された睡眠時間を満たしていないことが分かっており、それが与える健康への影響を裏付ける文献も十分出揃っている。一般的な睡眠不足は免疫システムに悪影響を及ぼすだけでなく、体重増加の原因にもなりうることが実証されているのだ。

ナイマン博士は、この問題を解決するカギはレム睡眠、特に夢を見ることにあると確信している。でも、他の科学者はというと、それほどでもない。

ハーバード・メディカルスクールで睡眠の研究を専門に行う神経学者のパトリック・フラーは、メンズヘルス誌に対し、レム睡眠に関する研究論文の中には結論の出ていないものがあることを明かした。

「私は、レム睡眠に関する具体的な主張をすべて疑わしく思っている。レム睡眠の機能は未だ謎だからだ。レム睡眠が記憶の特定の側面において重要であることを示すデータは存在するけれど、レム睡眠をほとんど、あるいはまったくとっていないのに、高い機能性を維持する人がいるのも事実。レム睡眠は動物界全体に見られるので、重要な生体機能であると推測される。しかし、その機能が何であるかは未だハッキリしていない」

そのフラーが異議を唱えなかったのは、睡眠不足が国中に広がっているということ。

「睡眠はある程度犠牲にしてもいいものだ、という文化規範が確立されてきたとは思う。ぐっすり眠れることをありがたく思い大切にするのが、我々自身だけでなく次の世代にも送ることのできる、より良いギフトのひとつと言えるのではないか」

質の高い睡眠を確実にとるために、できることがいくつかある。フラーは、一週間毎日同じ時間に起きるよう勧めている。就寝前はパソコンやスマホの使用を避け、体本来の睡眠パターンを邪魔しないように、目覚ましナシで起きることを勧める専門家もいる。

でも、レム睡眠を取り巻く科学がまだ若干 “夢物語” であるとはいえ、夜の快眠が総体的な健康に不可欠なのは明らか。体重を減らし、ハッピーでヘルシーな自分をキープしたければ、今すぐこのブラウザを閉じて眠りにつくのがいいかも。

※この記事は当初、メンズヘルスに掲載されました。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Jack Crosbie Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images