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ハーフマラソンやフルマラソンの前に糖質の多いもの (パスタ、お米、ジャガイモなど)を食べる必要があることは、あなたも知っているはず。糖質は体のエネルギー源だし、42キロメートルを走り切るには大量のエネルギーがいる。でも、どれだけの糖質をどのタイミングで摂るべきなのか知っている?

「レース会場に行くと、糖質を十分摂取していない人の数に驚く」 と話すのは、耐久スポーツに詳しい栄養士のモニーク・ライアン。「とてもハードなトレーニングを積んできたのに、本番は大きなハンディを抱えた状態で走るのよね」
レース前に食べるべきものを理解して、しっかり燃料を補給した状態でスタートラインに立とう!

糖質の科学

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炭水化物を食べると、糖質のほとんどはグリコーゲンの形で筋肉と肝臓に蓄えられる。ライアンによれば、体が最もエネルギーとして使いやすいのはグリコーゲンだけれど、レース中は脂肪も同時に使われる。ところが、脂肪はグリコーゲンほど効率がよくないので、体がいつもよりハードに働かないとエネルギーに変換されない。

レース中にグリコーゲンが底をつくと、あなたの体は “ハンガーノック” 状態に。体が脂肪をエネルギーに変える間は、ペースダウンしてしまう。医師でマラソンランナーのベンジャミン・ラポポートは、2005年のニューヨークシティーマラソンで極度のハンガーノックに陥ったのがきっかけで、その避け方を研究するようになった。

その彼いわく、「糖質の適切な摂取、つまり筋肉をグリコーゲンでギリギリまでいっぱいにすることで、速く走れることはなくても、ベストな走りができるようにはなるし、賢く走ればハンガーノックも避けられる」 そう。

賢く選ぶ

ではどんな糖質を摂るべきなのか? ラポポートは、「朝食にも昼食にも夕食にもお米を食べる」。でも、実際にはそこまで限定する必要はない。トルティーヤ、オートミール、パン、パンケーキ、ワッフル、ベーグル、ヨーグルト、ジュースは、どれも消化しやすいオプション。

フルーツには糖質だけでなく食物繊維も多いので、食べすぎるとレース中におなかの調子が悪くなることも。スポーツ栄養士のイラナ・カッツによると、「バナナは食物繊維が少なめ。リンゴ、桃、梨も、皮をむけば食物繊維が少なくなる」。カッツのクライアントは、消化されやすい白米や皮なしのベイクドポテトも食べているそう。

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ライアンの話では、高脂質の食べ物 (クリーミーなソース、チーズ、バター、脂っこいもの) や、タンパク質の過剰摂取は避けるべき。脂質とタンパク質は、炭水化物よりもおなかにたまりやすく消化されにくい。トーストにはバターの代わりにジャム、パスタにはアルフレッドソースの代わりにトマトソース、デザートにはアイスクリームの代わりにフローズンヨーグルトを。

食べるべき量

たった1回の食事では、筋肉をグリコーゲンで完全に満たせないので、「レースの2~3日前には炭水化物を増やし始める必要がある」 とライアンは言う。これでレース前のトレーニングを控えていれば、グリコーゲンが筋肉にたまる。カッツによると、この時点で摂取カロリーの85~95パーセントは炭水化物から来るべき。例えば、体重が70キログラムの人は、1日600グラム(2,400キロカロリー相当)の炭水化物を摂取するのが好ましい。

ラポポートは、さまざまな可変要素(年齢、安静時心拍数、最大酸素摂取量、予想されるタイムなど)をふまえ、さらに正確なフォーミュラを練り上げた。覚えておいてほしいのは、トレーニングをたくさんしていた時より摂取カロリーを大幅に増やすのではなく、摂取カロリーの大半を炭水化物から摂るだけだということ。

炭水化物増量中は、体重が普段より最低2キログラムは多いはず。体重が増えたということは、糖質の補給がしっかりできているということ。カッツによれば、「体内に蓄積される糖質が1グラム増えるたびに、体内の水分が3グラムずつ増えていく」。つまり、水分と燃料が十分に補給された状態でスタートラインに立ち、力強くフィニッシュラインが切れるということ。

炭水化物増量中のメニューサンプル

体重が70キログラムのランナーには、例えばこんなメニューがおすすめ。

朝食

● ベーグル1個にイチゴジャム大さじ2杯(71グラム)
● 中サイズのバナナ1本(27グラム)
● フルーツヨーグルト230グラム(41グラム)
● オレンジジュース230ミリリットル

朝のスナック

● ミューズリーバー2本(29グラム)
● ゲータレード230ミリリットル(14グラム)

昼食

● 大きいベイクドポテト1個に4分の1カップのサルサソース(69グラム)
● サワードウのロールパン1個(40グラム)
● チョコレートミルク230ミリリットル(26グラム)
● 大きなオートミールクッキー(56グラム)

午後のスナック

● エナジーバー1本(42グラム)
● ゲータレード230ミリリットル(14グラム)

夕食

● お米、コーンサルサ、黒豆を入れたチキンブリトー1本(105グラム)
● キャンディー50グラム(50グラム)

合計糖質量: 611グラム

ランナーにピッタリの朝食オプション

● チキンソーセージ
● 生ハム
● 食物繊維の多いシリアル
● 無塩アーモンド
● スティールカットオーツ
● 野菜とハーブのスクランブルエッグ
● フローズンストロベリー
● オーガニックのベリーミックススムージー
● パンケーキかワッフル
● ハリッサ唐辛子ペースト
● 低脂肪ギリシャヨーグルト
● バナナとプロテインのパンケーキ
● 発芽穀物のマフィン
● ギリシャクリームチーズ
● フリーレンジの卵
● ベジソーセージ
● オーガニックのカッテージチーズ
● ダークチョコレートの全粒グラノーラ
● オーガニックのトルティーヤ

食べるべきタイミング

この食べ方で、本番までに燃料を満タンにしよう。

6週間前: 炭水化物を増やしてみる

最長距離を走るトレーニングの2~3日前に炭水化物を増やし、脂質と炭水化物を減らしてみよう。カッツいわく、これで 「自分のおなかに合うものと合わないものが何となく分かる」 そう。

1週間前: 計画を立てる

「レース会場が遠い場合は、計画を立てておくのが特に大事」 とライアン。エナジーバー、プレッツェル、クラッカーなどのスナックをたっぷり用意して、会場近くのレストランを調べて予約しておこう。

2~3日前: 炭水化物に切り替える
ここからレース本番までは、食事の85~95パーセントを炭水化物に。ラポポートいわく 「筋肉に一番グリコーゲンがたまりやすい」 テ―パリングの後に食べるのも忘れないで。

前日の夜: 食べすぎない
夕食は比較的少なめ、でも炭水化物は多め。ゆっくり消化できるよう、少し早めの時間帯に食べること。ライアンが言うように、「レース当日は、おなかがすいて起きるくらいがちょうどいい」

当日の朝: 朝食をとる
ライアンは、レース開始の3時間前にベーグルとヨーグルト、またはオートミールとスポーツドリンクで150グラムの糖質を摂取するよう勧める。早朝のレースなら、「朝3時に起きて朝食をとってから、もう一度寝る」 のがいいそう。

※この記事は当初、Runner's Worldに掲載されました。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Dimity McDowell Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。