心の病に苦しんでいる人を支える上で、正しい言葉を見つけるのは時として難しい。善意から出たコメントが有害無益になることさえある。イギリスの情報誌『MetroUK』のライフスタイルレポーターは、「心の病を抱える人に言ってはいけないこと」というハッシュタグを考案。メンタルヘルスに悩む人々に「言ってほしくないこと」をツイートして、と呼びかけた。そこから浮かび上がってきた、言葉の数々。オーストラリア版ウィメンズヘルスが、心に悩む人とのコミュニケーションついて一石を投じる。
イギリスの情報誌『MetroUK』のライフスタイルレポーター、ハッティ・グラッドウェルは#ThingsNotToSayToPeopleWithMentalIllness (心の病を抱える人に言ってはいけないこと) というハッシュタグを作り、それを知らない人々を教育するために、心の病に悩む人々に協力を呼びかけた。
「心の病を抱えている人に対して言ってほしくないことを一つ添えてリツイートして。私から始めるわね、 『他の人の方が大変でしょ』と言うのはやめてほしい。心の病が何なのか知らないというだけで、私の病気をまるでないもののように扱わないで」
ハッティの呼びかけを受け、人々はどんな意見を寄せたんだろう?
@ISOBELK14
『大丈夫だよ』『前向きに考えなよ』
…… こういう言葉は不安もうつ病も治さない。それで治るくらいシンプルな問題だったらいいのに。
@KELLYXEVANS
『そんなに心配しないで』
……どうもありがとう、たった今、私の不安障害が良くなりました(苦笑)。
@WOLFETONE98
『周りはみんな人生何とかしてるんだから、あなたにだって出来るよ』
……代わりに「最近大変そうだけど、私はそばにいるからね」 と言って支えようとしてほしい。
@CYN_BARNES
強迫性障害を抱えていると伝えると……
『私も強迫性障害だったら、我が家はもっとキレイなのに』
@ELEANORSEGALL
『全部あなたの思い込み。実際はそんなことないでしょ』
@SJH1980
『でも、あなた超スキニーじゃん。なんで体重が心配なの?』
@IAMNICOLEELOISE
『頭、おかしいでしょ!』
……自分の頭が混乱していると何年も心配してきた私にとっては、これが最悪のコメント。
@ELLIOTLEAVER92
『うつ病になるには若すぎるよ!』
……実際に一度、言われた。
@KNOWLESEY95
『でも、悲しむことなんて何もないじゃん』
……それで済む話だったらどんなにいいか!
@STACEYLOU_BLOG
『とにかく、そのこと考えるのやめなよ』
@MUMMYNEVASLEEPS
『え、昨日は平気だったよね』
……うん、知ってる。で、今の私は自滅的。それが私の妄想って、どういうこと?
@LUCECECECE
『とにかく前向きに考えなよ』『何でもうまくやってるように見えるけど』『あなたがうつ病だとは思わなかった。悲しい人には見えないから』
@NORTHERNBT86
『なんでそんなことが心配なの? おばかさんだなぁ』
……この取るに足らないと思われることが、なぜこれほどの苦痛を引き起こすのかがサッパリ分からない。
@ICEROWE
『前向きに考えなよ』
……たぶん善意から出る言葉なんだろうけれど、そんな簡単な話じゃないから本当にムカつく!
@BLOGGERONPOLE
『リラックスして』『ヨガやったことある?』
@HAIDEE_BALL
『うん、でもそれって昔の話じゃん』
……そうなの? 気付かなかった。何カ月もかけて何度も何度も思い返しては、それまでに起きた不快なことをすべてスルーして病気が無かったことにして、それで今、再発してるわけじゃない。
@SMEARY
『元気出して』『笑顔笑顔』『もう立ち直りな』『全部気のせい』
……言われなくても分かってるよ、名探偵シャーロック・ホームズさん!
『買い物、模様替え、ヘアカットしてみたら?』『他の人はもっと大変だよ』『落ち込まないようにしなよ』『大袈裟に感じているだけでしょ』『人の注意を引きたいだけでしょ』『神様、運命、これがあなたに与えられた人生』系のコメントはどれもふざけてる。
『でも、うつ病、躁うつ病みたいには見えないよ』『飲んでる薬のせいだよ。もっとナチュラルなものを試すべきだってば』『それだけじゃ済まないこともあるよ』『誰だってそんな気分になるよ』
ハッティは、「身体的な病気を抱えている人に言わないと良いとされていることは、精神的な病気を抱えている人にも言わない」という思慮深いアドバイスをしている。そして多くの場合、「大丈夫?」「調子はどう?」「私がついてるからね」といった、とてもシンプルなコメントで十分なのだとか。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Lauren Williamson Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images