「ヌーム(Noom)」を利用した78%の人が減量に成功したというけれど、ヌームは他のダイエットプログラムやアプリとは違うの? 日本でも利用者急増中の「ヌーム」アプリの全体像をご紹介。

セレブたちは名声と幸運、そして、体重を落としたい時に、短縮ダイヤルでパーソナルトレーナーと栄養士を呼ぶ力を持っている。 でも、一般人にとって、ダイエットはそれほど簡単なものじゃない。

そこで開発されたのがフィットネス&ダイエットアプリの「ヌーム(Noom)」。でも、このアプリで何ができるの? 他のダイエットプログラムやアプリと何が違うの? 公認管理栄養士の私としては、このアプリに大きな可能性を感じている。ヌーム(Noom)で人生が変わる人もいるのでは?

Noomってどんなアプリ?

ヌーム(Noom)は、“あなたが最後に必要とするダイエットプログラム”。トレーナー、栄養士、保健指導員が一カ所にまとまっているようなもの。

でも、ヌームが他のアプリと異なるところのは、食生活やダイエットを取り巻く行動の変化に焦点を当てているところ。このアプリでは、緑色ー黄色ー赤色のスケールで評価されたオススメの食べ物が表示される。私としては特定の食品に“赤”や“悪”などのレッテルを貼るのは好きじゃないけれど、特定の食品に対する不安をあおらず、ヘルシーな選択をするための方法や、他の食品より特定の食品が勧められる理由について、ユーザーを教育するアプローチを取っている点は素晴らしい。そしてヌームには、健康的な習慣を身に付けるコツを読ませる通知機能やユーザーのモチベーションを評価する機能、クイズ機能もついている。

退屈そうに聞こえるけれど(1日中読んでクイズを解く時間がある人はいない)、ダイエットを長続きさせるためには必要なアプリかも。ヌームがくれるカロリー・糖質の減らし方や運動量の増やし方などの知識は、持続可能な方法で体重を減らす上で役に立つし、絶対不可欠。

4,500万人という他のユーザーからサポートとフィードバックがもらえるのもうれしい。しかも、メッセージボードや自動広告が表示されるだけでなく、他のユーザーとグループチャットで直接話せる。

ヌームは、全米ヘルス&ウェルネスコーチ委員会認定の“ヘルスコーチ”をユーザーに提供しているけれど、彼らが公認栄養士や認定トレーナーのような熟練した専門家であるとは限らない)

また、このアプリでは行動を改めると報酬がもらえる上に、ソーシャルサポートにアクセスし、長期的な目標達成を助ける励ましの言葉をもらったり、責任感醸成コーチングを受けたりすることも可能。

ヌームのアプリをダウンロードしたあとは?

ヌームの無料アプリをダウンロードすると、まず最初に聞かれるのは、どのくらいのペース(カメからウサギのスケール使用)で何キロの体重を減らしたいか、年齢、身長、現在の体重。ここまでは普通のダイエットアプリと一緒。
その後ヌームは、スマホのヘルスケアアプリにアクセスする許可を求めてくる。エクササイズは自動で記録されるけれど、食事内容は(ヌームの食べ物データベースから)自分で入力する必要がある。食事による摂取カロリーは自動的に計算されて、1日の目標カロリー摂取量(ダウンロード直後に入力した情報をベースに算出される)からマイナスされるため、今日はあと何キロカロリー摂取できるかが一目瞭然。
ヌームでは体重の減り具合も確認可能。毎週体重を入力すれば、アプリが進行状況をグラフで表示してくれる。

ヌームの価格は?

ヌームには無料バージョンも有料バージョン(1カ月約59ドルで、複数月契約は割安になる)もある。有料バージョンでは、生活習慣や健康目標、ダイエットの障害などに関する細かいアンケートに回答する。
でも、ヌームの強みは具体的なアンケートだけじゃない。このアプリには教育コンテンツも充実している。例えば、「そのサラダはヘルシーなオプションです」という当たり前のフィードバックの代わりに、「そのサラダは低カロリーで栄養価が高いです」という一歩先を行くフィードバックをくれる。
つまりヌームは、ただ盲目的に体重を減らすのではなく、自分がなぜ、どうやって体重を減らしたいのかをユーザーに考えさせるダイエットアプリと言える。

ヌームは実際どうやってダイエットを助けてくれるの?

ヌームは、ユーザーが責任感を持ち続け、自分で賢い選択をするプロセスを助けてくれる。その日の献立やフードプランをくれるわけじゃない。その代わり、食べた物を入力すると、赤・緑・黄色の3色で食生活のヘルシーレベルを教えてくれる。
緑の食品(フルーツや野菜)はカロリーが最も低く、体に良い栄養素が最も高い濃度で含んでいる。黄色の食品(お肉や乳製品)はカロリーが少し高いけれど、必ずしも体に悪いわけじゃない。赤の食品(加工食品やデザート)はカロリーが最も高く、栄養価が最も低い。
ヌームは赤の食品を制限しない。このアプリの目的は、赤の食品は高カロリーで栄養価が低いという事実にユーザーを気付かせて、1日の目標カロリーの範囲内で食べるスキルを身に付けさせることにある。

ヌームで本当に体重は減らせるの?

間違いなく可能。でも、ポイントはヌームを一貫して使うかどうか(この詳細は後ほど)。
科学情報誌『Scientific Reports』に掲載された2016年の論文によると、ヌームは体重を減りやすくする。研究チームがユーザー35,921名から集めた9カ月分のデータを分析したところ、そのうちの77.9%が体重を減らしていた。また、夕食の内容を入力しなかったユーザーは、入力したユーザーよりも体重の減りが少なかった。
ヌームは間違いなくダイエットに役立つけれど、前述の通り、実際に使わなければ意味がない。偽りのない正直なデータを毎日アプリに入力すれば、ヌームは絶対役に立つ。つまり、専門家のアドバイスに耳を傾け、自分のプランに忠実でいれば、目標は達成できるということ。
ヌームが一番向いているのは多忙な人(=地球上のほぼ全員)。似たような考えを持つ人からのバーチャルサポートを楽しめる人にも、このアプリは向いている。
個人的には、長期的な結果を出すという現実的なスタンスや、食事制限や一時的な流行(ケトジェニックダイエット、グルテンフリー、ローフードなど)にユーザーを追い込まないスタンスが気に入っている。
ヌームを使うと、自分が何を食べているかを意識することが多くなる。自分の食習慣に良しあしをつけることなく、食事内容にフォーカスするのはダイエット成功の第一歩。この意識が高まったら、おなかがすいてもいないのに食べてしまう理由やストレスから食べてしまう理由を考えて、必要な調節をすればいい。

ヌームにも悪い面はある?

体重を減らすことができない基礎疾患がある場合、アプリにはそのことが分からないので、使うとイライラしてしまうかも。
まずは医師に相談し、ダイエットを始める前に対処するべきインスリン抵抗性、甲状腺疾患、ホルモンバランスの乱れなどの問題がないかどうかをチェックしよう。
また、このアプリは月額約50ドル(※)とかなり高額。最も高いウエイトウォッチャーズのプランよりは少し安いけれど、自分でカロリーを計算するより高いのは間違いない。
そして、ヌームはあくまでダイエットアプリであることを忘れずに。過去に体重を気にしすぎて苦しんだことがある人や摂食障害歴を持つ人は、公認管理栄養士によるマンツーマンのコーチングを受けた方がいいかもしれない。

最後に1つ当然の話をしよう。ヌームをダウンロードしても、あなたの代わりにヌームが買い物をしたり料理を作ったりしてくれるわけではないので、自ら率先してアドバイスを取り入れる姿勢が必要になる。

ヌームはウエイトウォッチャーズとどう違う?

両者は栄養価の高さによって食品をランク付けする点(ウエイトウォッチャーズはポイントシステムでヌームはカラーシステム)で似ているけれど、ヌームは体重管理の裏にある心理的要素を考慮している。そのためヌームを使っていると、自分が“なぜ”そういう食べ方をして、そういう食べ物を選ぶのかが分かるようになってくる。一方、ウエイトウォッチャーズの強みは、ユーザーに責任感を持たせるパワフルなコミュニティーと外部によるサポート。

あなたにどちらが向いているかは、あなたのパーソナリティーと予算次第。栄養士に相談したり、この2つのプログラムを体験済みの友達や家族に聞いたりしよう。

ヌームのレビューはどんな感じ?

ほとんどのレビューはポジティブ。メアリー・ルサウサー(30歳)はヌームでやっとダイエットが始められ、体重を18kg減らしたそう。「変な話かもしれませんが、ヌームはいちから食べ方を教え直してくれました」。ルサウサーは、空腹を満たすだけでなく体の燃料源になる食べ物の選び方も学んだそう。
でも、彼女がダイエットに成功したのはヌームを一貫して使い、豊富な教育コンテンツを最大限に活用したから。「ヌームのコースを終えてからも、そこで身に付けた食生活は続いています」
小児科看護師のシアニ・ピーターソンもヌームのユーザー。「ヌームが良いのは自分に責任が持てるからです。このアプリにはカロリートラッカーと歩数計の機能が付いていて、自分の食事内容を入力することができます。私の体重が減ったのは、90%この食事日記のおかげでしょう。自分の運動量が見える化されて、体重の減り具合が確認できるのもいいですね」
7カ月で22kgの減量に成功したピーターソン。自分に責任を持たせる必要はあるけれど、彼女にとってヌームのアプリは素晴らしいツールだった。「当てずっぼうで食べることがなくなりました」

App Storeのレビューは、ほとんどが星5つの高評価。その一方で、ヌームを使ったダイエットは非現実的、値段だけの価値がない、アプリを改善してほしいといったユーザーの声もある。その中のいくつかを紹介しよう。

使う価値あり

「トライアルを始めた頃は怪しいと思ったけれど、プログラムを開始して1カ月くらいで体重が5kg減。自由を奪われた感じもないのに。ただ、食べ物をスキャンして1日の摂取量に追加する際、データベースに限りがあると思った」

「24時間365日、ユーザーが脱線しないよう見守ってくれるアプリ。自分と同じタイミングでプログラムに参加している複数の人にアクセスすることも可能。メッセージボードは見た目の面でも使いやすさの面でも改善できると思う。いまは複数のスレッドに同時にアクセスしようとすると混乱しちゃう」

「いまの自分の生活には合っていると思うので続けるつもり。自分がなぜそれを食べるのか、不適切な物を食べすぎるのかなど、心理的な問題も取り扱っている。このアプリを使えば、食べ物とうまく付き合えなくなる原因に対処できる」

期待以上

「プログラムは大成功。予定の2倍時間がかかったのは、それほど頑張らなかったから。というより、ほとんど頑張らなかったのに、それでも結果が出た! グループ交流は最高。ゴールスペシャリストには期待しすぎなければOK。コンテンツは素晴らしい。もう少しペースを落として期間を伸ばした方が続きやすいと思う。赤、黄色、緑の食べ物の割合はベジタリアン向きじゃない」

腹ペコになる

「このアプリには、すごく期待していたから残念。1日2,000kcalから始め、徐々に減らしていく仕組み。ヌームは私に餓え死にしてほしいのかと思ったわ。屋外で仕事をしていて、1日中歩き回って汗だくなのに。私は食べる。ヘルシーな物を1,300kcal以上食べることに後ろめたさを感じるなんて間違っている」

「ヌームには、アーモンドバター、ピーナッツバター、オートミールなどの栄養価の高いアイテムが“赤の食品”として表示される。この色分けのせいで何も食べられない気がした。ランチタイムまで腹持ちするヘルシーな物をパパッと作らなきゃいけないのに。このアプリには総じてガッカリ!」

理想の体重を取り戻した

「良かった点は体重を測る気になれる、体重チャート、ほとんどのコンテンツ、エクササイズの記録機能。かなり良かった点はカロリー記録機能。食品表示を読んで紙に書く以外の経験がないので、他のアプリよりもシンプルかとか正確かは分からない。個人的には使いやすいと思った」

「役に立たなかった点は週に1回連絡してくるゴールスペシャリストとグループコーチング。週に1回、担当のスペシャリストから一般的な質問をされた。連絡が来るのは週に1回だけ。アプリでのグループコーチングも個人的に好きじゃなかった。1日中スマホを見つめて他の人のコメントを読み、返信内容を考えるのはイヤ。時間がかかりすぎるので、最初の自己紹介が終わってからは、一度もグループコーチングを使わなかった。体重をたくさん減らす必要はなかったけれど、食事内容に気を付けたくてサインアップ。目からウロコのアプリだった」

「食事内容を記録しているうちに、考え方が変わってきた。2カ月で体重が減らしたかった分だけ減った。大きなリバウンドはない。でも、プログラム中はほぼ四六時中おなかがすいていた! ダイエットは本当に大変」

ヌームを使うなら、真剣にコミットを

アプリをダウンロードする前に自分のコミットメントレベルを真剣に評価して。始めてから時間がないことに気付けば、失敗に終わったような気がしてしまう。でも、実際はヌームのプランが自分や自分のライフスタイルに合っていなかっただけかもしれない。

プランに対する反応は人によって違うことも覚えておこう。食事内容と食べるべき理由を明確に示してほしい人もいれば、コーチと対面で話し合うのが好きな人もいれば、スマホだけで全てを完結させたい人もいる。最後は、その人の好み次第。

結論

このアプリを使わなければ、減量や食生活の改善ができないわけでは決してない。自分をよく知り、自分に一番合ったプランを見つけよう。
「ヌーム」の日本語版アプリもリリースされているので、気になる人は以下のURLからチェックしてみて。
※日本では2カ月プログラムが2カ月で¥9,900の他、各種料金設定がある

「Noom」https://www.noom.com/jp/
 

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Mallory Creveling Translation: Kanako Iwaki Photo:Getty Images

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