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最近よく耳にする「筋膜」という言葉。実際に筋膜をケアすると、気分もパフォーマンスも見た目も若返るみたい。でも、筋膜って一体何のことだろう? 大切にするべき「筋膜」について、アメリカ版ウィメンズヘルスからご紹介。

筋膜とは?

オレンジの皮が人間の皮膚だとしたら、その皮の下にある白い繊維(果肉の詰まった各袋を取り巻くと同時に、すべての袋を球体としてまとめる中果皮)は人間の筋膜。筋膜は、ゼラチンのような糖タンパク質(スポンジのように水をキープする)、コラーゲン繊維(最強のタンパク質)、多様な細胞(脂肪細胞など)からできている。

かんきつ系フルーツの中果皮と同じように、筋膜の主な仕事は、筋肉、関節、腱(けん)、骨などの体内組織をあるべき場所にとどめておくこと。この素晴らしい組織の層は、顔からつま先まで、全身に広がっている。

筋膜は体にどんな影響を与える?

米オークランド大学ウィリアム・ボーモント医学部の解剖学教授、レベッカ・プラット博士によると、「筋膜はすべての組織をつなげているので、最も重要かつ広範囲に広がる組織のひとつと言える」。何よりもまず、日常生活やエクササイズを楽に行うためには健康的な筋膜が不可欠(座りすぎやワークアウトのしすぎで体が凝っている人は要注意)。血管の間を縫って走り、血流を促進する筋膜は、けがからの回復にも重要。

また、筋膜は結合組織(最も統合された体組織のひとつ)の一種で、活力、可動域、運動能力が衰退する原因にも、それに対する解決策にもなり得る。幸いなことに、健康な筋膜を維持し、日常的に直面する問題と戦うための術はある。

1.頭痛

デスク仕事をしている人は要注意。ドクドクと脈を打つような頭痛がするのは、たいてい首の筋膜が機嫌を損ねているからだとか。本来背骨と並んでいるべき頭と肩が前に出ると、頭の付け根の筋肉(およびその周辺の筋膜)が硬くなる一方で、肩をコントロールする筋肉が弱くなるため、緊張性頭痛が生じる。

予防策:週に3回、ウエートを使ったシーテッドローを12回ずつ3セット行い、胸を開かせ、肩甲骨筋を強くしよう。

2.可動域が狭い

手術や大きなけがをすると、コラーゲンベースの瘢痕組織が作られ、健康な筋膜に取って代わる。これがなぜ問題なのか? 通常の組織繊維が柔軟なのは、並行に配置されているからだとか。でも、瘢痕組織は縦横かつ、やみくもに作られるので、筋肉がうまく伸縮できなくなる。しかも瘢痕組織は、厚くなると筋膜内にピッタリと張り付き、体の動きをさらに制限してしまう。

予防策:損傷部位が治ったら、やさしくマッサージを始めよう。1日数回数分ずつ、皮膚を前後左右にそっと動かすといい。傷を悪化させそうで怖いなら、理学療法士に簡単な方法を教えてもらおう。

3.関節が硬い

運動中に膝がきしむ? ヨガで足首が曲がらない? 筋肉およびその周辺の筋膜が硬くなると、関節が凝り、体が長期的な問題を引き起こすような動きをし始める。ふくらはぎが凝ると、つま先をすねに向かって上げにくくなり、歩き方が変わるのは典型的な例。

予防策:筋肉が最も反応しやすいのは体が温まっている時なので、ワークアウトを終えたら必ず、フォームローラーかストレッチで体の凝りをほぐすこと。立ったまま、毎日30秒間ふくらはぎをストレッチしよう(両脚をまっすぐ伸ばし、かかとを下げる)

4.背中から腰の痛み

胸椎(背骨の中央)と腰椎(背骨の下部)がぶつかる部分は、背骨の上半分と下半分を支える筋肉が交差するので、クモの巣のように複雑。つまり、この部位の筋膜が別の部位(特にハムストリングスと大腿四頭筋周辺)で緊張した筋膜に引っ張られ、痛みを生じる可能性があるということ。例えば腰筋。股関節屈筋(膝を持ち上げるのに必要な筋肉)の一部で、これがないと体幹が強くならないため、パーソナルトレーナーが頻繁に口にする。この腰筋が(座りすぎたせいで)硬くなると、腰椎が痛くなるはず。

予防策:骨盤付近の奥深くにあるため、大半の人は腰筋をリリースするのに苦労する。股関節屈筋のストレッチ(はとのポーズなど)が役に立つことはあるけれど、週に少なくとも2回はハムストリングスにフォームローラーを使うこと。これでポステリア・キネティックチェーン(体の後ろ側のライン)の痛みが抑制される。

5.足底筋膜炎やかかとの痛み

足の裏の筋膜が炎症を起こすことで生じる足底筋膜炎やかかとの痛みには、毎年200万人が苦しんでいる。ランナーには特に多く、扁平足(脚の筋肉が弱いため)が絡んでいることもある。でも、通常はふくらはぎ周辺の凝りが原因。その痛みだけでも十分つらいけれど、人間の体は単一のキネティックチェーン(運動連鎖)なので、足の裏の問題を他の筋肉が補おうとするうちに、体全体のバランスが崩してしまうこともある。その結果、足を引きずるような歩き方になったり、敏しょう性が衰えたりする。けがにつながることも珍しくない。

予防策:左右それぞれの足をラクロスボールの上で1分ずつ転がしてみよう。毎日やるのが理想的。かなりアクティブな人は、両脚のふくらはぎに最大5分ずつフォームローラーを当て、筋膜をリリース。これでキネティックチェーンも元の状態に戻るはず。

 
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Women’s Health  Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。