毎日、当たり前のように飲んでいる水。私たちの体と生活にとって欠かせない水だけれど、身近な存在過ぎて水のことについてきちんと知っている人は意外と少ないのでは。ミネラルウォーター、採水地、硬水、軟水……聞いたことはあるけれど、その意味を知ってる? そこで今回は、水を知り尽くしたアクアソムリエに「水」について徹底インタビュー。知っているようで知らなかった水の真実、今日からコップ一杯の水への意識が変わるかも。
健康のために意識的に水を飲むようにしてはいるけれど、いつも同じメーカーのものばかりで何を飲んで良いのか正直分からない……。そんなフィットネス女子も多いはず。
せっかく飲むなら自分の目的に合わせた水を選びたいもの。そこで、ミネラルウォーターに関する知識や科学的根拠に基づく正しい情報を伝えるアクアソムリエであり、ミネラルウォーター専門スクール「AQUADEMIA(アクアデミア)」の校長である山中亜希さんに水の基礎知識について伺った。
知らずに飲んでいない? 硬水・中硬水・軟水の違い
飲料水と言えばミネラルウォーターが当たり前になった時代。店頭には多くの商品が並ぶけれど、どういう基準で分けられているの?
「一般的には硬度で分けられていることが多いです。硬度は水に含まれる(カルシウム量×2.5)+(マグネシウム量×4.1)で計算。私たちのスクールでは『岩波 理化学辞典』(岩波書店)を元にした数値で水の種類を分けています。計算値が178mg/L以下を軟水、178~357mg/L未満を中硬水、357mg/L以上を硬水と定義しており、国内の水は軟水であることが多いですね」
軟水、中硬水、硬水……その違いを理解して飲むことは体にとって、とても大切。そして、できればおいしいと感じる水を選んで飲みたいもの。では、飲んだときにおいしいと感じる水って?
おいしい水って何? その意外な「条件」とは
いつも飲んでいるからこそ、心底おいしいと実感して飲む機会が少ない水。一般的においしいと感じる水には条件があるの? 実はおいしい水には、水に含まれる成分はもちろん、水の処理方法や生活習慣も関係していると山中さんは言う。
「おいしい水の条件は新鮮であること、マンガンなど味を損なう金属製物質が入っていないこと、環境が整備されている場所で採水され、不純物が含まれていないこと。もちろん好みによる部分もありますが、この条件と飲み慣れている水かどうかという生活習慣から、天然水の軟水をおいしいと感じる人が多いのではないかと思います。
また、水道水などをRO膜という超微細孔フィルターを通してろ過処理した“RO水”というものがあります。RO水そのものや、RO水に人工的にミネラルや炭酸などを加えて、ミネラルウォーターとして販売されているものもありますが、天然のミネラルを含んだおいしい水を飲みたいという方には天然水をおすすめします」
ここまで意識できれば水のプロ!? 加熱殺菌と非加熱殺菌の違いを知ろう
よくラベルに記載されている加熱殺菌と非加熱殺菌。加熱する、しないによって水にどんな違いが出てくるの?
「加熱殺菌とは85℃くらいで加熱処理を施した水のこと。結果、生水ではなくなってしまうため、水そのものの“生の味”を保ちたいメーカーはフィルター殺菌などの非加熱殺菌を選びます。日本では1980年代半ばまでは非加熱水は禁止されていましたが、ヨーロッパの水は日本とは逆にほとんどが非加熱水のため、法律が変わりました。現在では加熱殺菌とフィルター殺菌が主流となっていますが、メーカーの選択によるところが大きいですね」
“生の水”の味を楽しみたいなら、非加熱殺菌の水を選ぶと良さそう。
保存方法で味が変わる? 常温保存 or 冷蔵庫どっちが良いの?
水を購入してボトルを一度空けたら冷蔵庫へ……。無意識にとっているこの行動は合っているの?
「一般的な水は12℃~15℃で保存すると良いですね。夏は冷蔵庫、冬は外に出して常温保存。硬水や味に癖があるものなどは、冷やして飲むと飲みやすくなります」
また、最近人気を博し、暑い季節に飲みたくなる炭酸水。山中さんによると「炭酸水は冷蔵庫に入れてください」とのこと。
「炭酸が抜けてしまうのを防ぐためにも毎回飲みきれる量を買うのもコツ。また、最近の炭酸水の中には、水道水などからカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを取り除いて炭酸を加えただけのものもあり、ミネラルウォーターとは言えないものもあります。ただ、強い刺激を味わいたい人には向いているでしょう。
現代人はミネラルが足りていない人も多いので、刺激にこだわらないのなら天然水に炭酸が入っているものがおすすめ。ミネラルはストレスによって吸収が妨げられ、不足すると足がつりやすくなるなどの症状が出ます。そのため、日常的に意識して水から摂取することも大切です。
どの種類の水にも言えるのですが、水本来の味を楽しむために氷は入れないで飲む。また、おいしく飲むためにも、殺菌の繁殖を防ぐためにも、ペットボトルから直接飲むのではなくコップに移してから飲むようにしてみてください」
コップ一杯の水が体に与える影響は意外と大きいのかも。これまで無意識に飲んでいた水だからこそ、自分に合った水を選ぶための参考にしてみて。
今回お話を伺ったのは……
アクアソムリエ 山中亜希(やまなか・あき)
2004年、ミネラルウォーター専門店「AQUA STORE」の立ち上げと同時にイタリアにてアクアソムリエの資格を取得。2008年より、アクアソムリエを養成するミネラルウォーターの専門スクール「AQUADEMIA」を開校し、校長に就任するとともに、「AQUA STORE」のディレクターとしても活動。ミネラルウォーターの正しい知識・情報の普及のために、セミナーや講演、企業へのコンサルティング業務などを行っており、海外からもセミナーの講師として招聘されている。
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