一つしかない地球のために、今自分は何ができるだろう。この疑問をもとに、ウィメンズヘルスがお届けするのは、世界中で注目する人が増えている「ごみゼロ生活」について。話を聞いたのは、「ごみゼロ生活」を実践し、具体的な方法をまとめた、情報サイト「Wasteland Rebel」を運営するシア。

今回ご紹介するのは、意識をすることで少しずつ変わってくる、「ごみを減らすための心掛け」。

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最も多いのは、どんなごみだろう? 
答えは「ごみ箱の中」に

まず自分が出しているごみの「正体」を知ることが第一歩だと話すシア。簡単な方法は、家のごみ箱を覗くことだそう。「食べ物のプラスチック包装は、とにかくどの家庭でも多く出るごみです。ごみを減らしたいのであれば、まず手に取る前にそれがごみになるかどうかを毎回自分に問いかけてみるといいでしょう。

例えば、プラスチックのラップに包んである白菜。プラスチックはごみになりますよね。すると今度は、どこでプラスチックのラップに包まれていないものが買えるだろうか、と考えるようになります。プラスチック不使用まではいかなくても、せめて最小限に抑えられる方法を探るようになります」

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プラスチックなどのラップで包装されていないものを選ぶのが、第一優先。

誰でもいつでもできる「ごみを減らす方法」。
現実的なステップを教えて!

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ごみを減らす方法の一つは自炊です。そうすればコンビニでお弁当を買う必要もなくなります。プラスチックの容器を捨てずに済みますよね。そのために私は夫と、週末に常備菜を作っています。二人でやると意外とできてしまうものです」

買い物に行くとき、シアと夫が持っていくのはこれ。

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「『ごみゼロ生活』を手助けしてくれる優秀なアイテムたちです。果物や野菜は袋に詰められていないものを選び、メッシュ素材のバッグに入れています。もとは洗濯するときに靴下や下着を入れていたバッグを再利用したんです。

豆などの乾物をまとめ買いするときは布の袋と、豆を袋に詰めるときに使う漏斗を持っていきます。豆腐やサラダなど水が出るものは、プラスチックを使っていない容器に入れ替えます。また、私たちは容器の重さをあらかじめ測って、瓶に記しています。そうすれば食べ物の重さだけで値段を計算してくれます」


自炊できないときや
外食が重なる時期はどうしているの?

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シアも彼女の夫も毎日午前9時〜午後5時まで働いているから、自炊ができない日もあるそう。そんなときの彼らが心がけるのは、今日からでも真似できそうなシンプルなこと。

「カフェに行くときは、再利用が可能なリユーザブルカップを持って行きます。そして極力コンビニで食べ物を買うのは控えて、レストランで座って食べるようにしています。使い捨てのスプーンやフォークが出されることも想定して、マイ箸は必ずバッグに入れて持ち歩いています

次に見直したいのは、
浴室やキッチンで使う「石けん類」や「コスメ」

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洗剤が入った容器、シャンプーやリンス、ボディソープの入れ物……。キッチンエリアや浴室エリアは、想像以上にプラスチックごみが多く出る場所。「私たちは髪や手、顔に足、食器を洗うのにも固形石けんを愛用しています。

コンディショナーは手作りのものに変えました。大さじ1杯分のリンゴ酢と水1カップを混ぜれば100%オーガニックのコンディショナーができますし、髪もツヤツヤになります。肌を潤すローションも、最近では食用オイルを使うようになりました。普段はキャノーラ油にオリーブ油とココナッツオイルを混ぜています」


シアが見る日本の「ごみ事情」と
「改善できること」

「ごみゼロ生活」を始める前に、日本の大学院に留学していたと教えてくれたシア。この頃から既に友達に勧められて暖房を使い過ぎないようにはんてんを買ったり、「袋はいりません」という言葉をすぐに覚えて買い物するときに使ったり……。

「必要以上に地球の資源を使いたくない」という気持ちは前々から彼女の中にはあったよう。そしてうれしいことに、マイバッグを持っていくと値引きされたり、エコバッグを持っていくと褒められる場面もあったとか。

日本以外にもドイツとカナダで生活したことがあるシアは、この3つの国にごみに対する共通認識があるように思えたと言う。「どの国もリサイクルのシステムがしっかりしているから、道路がとてもきれいに保たれている気がします。

でも、リサイクルのシステムがしっかりしているからこそ、ごみが環境に及ぼす影響を忘れがち。リサイクルすることも大事だけれど、リサイクルしているだけではごみ問題は解決されません。私たちは知らずに大量のごみを出して、貴重な資源をどんどん使ってしまう傾向にあります。だからこそ問題の根本と向き合う意味でも、『ごみゼロ生活』を送ることに意味があると感じています」

「主にヨーロッパやアメリカから『ごみゼロ生活』を支持する人たちが増えていますが、アジアからも少しずつ広まっているように感じます。例えば日本でも、徳島県・上勝町では『ゼロ・ウエイスト政策』を掲げ、2020年までにごみをゼロにすることを目指して、ごみの削減やリサイクルに熱心に取り組んでいます。

日本に住む皆さんに私がお薦めするのはRanさんのインスタグラム(@zerowaste.japan)です。日本でごみゼロ生活を送る方法を知りたい人には、きっと役立つ情報がたくさんあるでしょう」


話を伺ったのは……
シア
シアと彼女の夫、ハンノは2014年に「ごみゼロ生活」を始めた夫婦。当時は「どうにかごみを減らしたい」という想いだけだったものの、今では750ミリリットルの瓶に一年間分のごみが収まるまで「ごみゼロ」を徹底した生活を送っている。現在は、ごみゼロ生活の送り方を紹介するサイト「Wasteland Rebel」を運営する傍ら、ドイツの公共ラジオ放送局「COSMO」で、毎週エコなライフスタイルを紹介する番組を配信中。ごみを減らす方法をまとめた著書「Zero Waste: Simple Life Hacks to Drastically Reduce your Trash(ゼロ・ウエイスト:ごみを劇的に減らすとてもシンプルな方法)」は英語とドイツ語で好評発売中。

公式サイト:https://wastelandrebel.com/en/
インスタグラム:https://www.instagram.com/_wastelandrebel_/



Photos: Wasteland Rebel