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ベッドに入れば、1分もたたないうちにすやすや眠れる人もいる。でも中には寝つきが悪く、夜通し寝返りを打ち続ける人も。神経学・睡眠医学専門クリニック「Charlottesville Neurology and Sleep Medicine」の医院長で、『メンズヘルス』誌の睡眠アドバイザーでもある、W・クリストファー・ウィンター医学博士によると、一般的に「寝つきをよくする」とされているアドバイスには、効果が薄いものが多いとか。イギリス版ウィメンズヘルスが挙げるのは、寝つきをよくするために守りたい7つのこと。

1. 眠りの質も眠る量もアップしない? 睡眠薬に頼らない

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ウィンター博士によれば、睡眠薬が睡眠の質を高めてくれるという科学的な証拠は存在しないのだとか。

夜中に何度も目が覚めたり、常に眠りが浅かったりなど睡眠の「質」が低いままだと、脳と体が必要とする回復プロセスが完全に始動しないため、朝起きてもすっきりしないそう。

質もそうだけれど、睡眠時間も増えるわけではない。これまでの研究から、睡眠薬を飲むことで、いつもより数分早く眠りに落ちることは分かっているけれど、ふらつきやだるさなどは他の薬からも得られる症状。睡眠薬がそれ以上の効果を発揮しているかどうかは、言い切れないところだそう。

ウィンター博士いわく唯一のメリットは、実際の効果はさておき、よく眠れていると"思える"こと。それで翌日すっきりした気分が味わえたり、目覚めが良くなったりするというプラシーボ(偽薬)効果はある。ただし、副作用や依存症のリスクが伴うことには変わりない。

2. 自然と分泌されにくくなってしまう? メラトニンのサプリに頼らない

日が落ちると同時に増加するのが、眠気をもたらすメラトニンというホルモンの分泌量。

そのプロセスを促進しようとメラトニンのサプリメントを飲んだところで、効果はあまり期待できないそう。米イェール大学が1,683名の被験者を対象にした19本の研究結果を分析したところ、メラトニンサプリメントを飲んでも7分早く眠りに落ち、8分長く眠れるだけであることが判明している。研究チームによると、この効果は他の睡眠促進法と比べても非常に低いよう。

また、ウィンター博士が言うように、サプリメントの頻繁な使用は、体本来のメラトニン生成機能を混乱させてしまうそう。その結果、脳が自然と分泌するメラトニンの量が減り、逆にサプリメントなしでは正常な量を分泌しにくくなることも

そのうえ、大抵の人はサプリメントを飲む時間が遅すぎるそう。メラトニンは睡眠の3~4時間前に自然と分泌され始めるものなので、夜10時に飲んだとしても、効き始めるのは午前2時という計算。

3. 毎日大体同じ時間に眠るのが鍵。ベッドに入る時間を変えない

ミア・フィンケルストン医学博士によると、就寝時間を毎日のように変えていると、寝つきが悪くなってしまうとか。

これは、不規則な生活に体がついていける20~40代の人にとっては大きな問題。例えば遅くまで夜遊びしても、翌朝8時のミーティングは何とかこなせてしまう。でも体はリズムを求めるもの。平日、週末問わず、毎日同じ時間に寝て起きることで、寝つきがよくなるそう。

体はルーティンを覚えることで、毎日大体同じ時間に体を『オフ』にできるようになります。体がそのタイミングを覚えてしまえば、アドレナリンとコルチゾールの分泌量は自然と同じ時間に減るようになり、眠気を促すメラトニンも毎日同じ時間に増えるようになります」とフィンケルストン博士。

「睡眠パターンが変わっても体はなんとか調整しようとしますが、基本的には一貫性を持たせるべきです」と続ける彼女は、1週間に5日は決まった時間に寝ることを勧めている。

4. 横になるだけでもリラックス効果あり。眠れないからといって他のことをしない

15分たっても眠れなければ、ベッドから出て読書をしたり、音楽を聴いたりするといいというアドバイスはよく耳にするけれど、ウィンター博士によれば、たとえ眠っていなくても体を休めることが重要だそう。

「眠れないことに気をとらわれなければ、その時間は立派な休息となります。決して無駄ではありません」。実際に眠っていなくても体を休めていれば、ストレスホルモンのコルチゾールが減るそう。

また、ウィンター博士が指摘するように、一度ベッドから出てしまうと、SNSや仕事など、余計に眠れなくなってしまう行為に手を出す人が多いよう。

5. 概日リズムは狂い、レム睡眠が短くなるだけ。お酒の力を借りない

米国立睡眠財団によると、アメリカ人の約20%はアルコールの力を借りて眠ろうとするとか。心が落ち着いたり、寝つきが良くなったりという一時的な効果は確かにあるかもしれないけれど、ウィンター博士いわく、寝酒は睡眠の質を低下させるそう。「アルコールは睡眠に悪影響を与えます。これは紛れもない事実です」

早く眠れたとしても、そのツケは大きい。概日リズム(サーカディアンリズム)が狂い、レム睡眠が短くなり、トイレに行く回数が増えるだけでなく、喉の筋肉が弛緩(しかん)してしまい呼吸に問題が出ることも。この全てが眠りを妨げるため、翌日すっきり起きられなかったりする。「アルコールは、最後の1杯から4~5時間たっても睡眠に影響を与え続けるので、夜のお酒は夕食時の1〜2杯にとどめておくのがいいでしょう」とウィンター博士。

6. 逆に不安な気持ちになってしまう。羊を数えない

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「羊を数えることで眠くなるなど、効き目があるなら続けてもいいでしょう」とウィンター博士。でも多くの人にとっては、数を数えること自体が不安の原因だそう。数字が2桁台に突入すると羊はかわいくなくなり、「こんなに数えたのに眠れない」と逆にイライラしてくる原因に。

こんなときは、心が興奮しない程度に気を散らしてくれる何かに、想像を膨らませたほうが効果的。例えば、完璧なゴルフコース。カートに乗り込み、ドライバーを選び、ティーを取り出し、ボールをセットし、打つ準備をする。ウィンター博士がこの手法を勧めた患者のほとんどは、スイングするまでに寝てしまっていたとか。

「彼(患者)は、2本目のティーショットは一度も打ったことがないと言っていますよ」。バナナブレッドを作っているうちに寝てしまい、一度もオーブンから取り出したことがない人もいるそう。

これは、こういったイメージを脳が "睡眠前の視覚"として記憶するから。毎晩同じことを頭の中でイメージすれば、寝つきやすくなる。ウィンター博士によると、こういったイメージは数を数えなくて済むため、不安な気持ちになりにくいみたい。昨日は羊を10匹数えたところで眠れたのに、今日は30匹数えても眠れない……と思うこと自体が眠れないことにつながっているのかも。

7. ストレスホルモンが急増してしまう。時計を確認しない

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「あと6時間で目覚ましが鳴る」「あと5時間半で起きないと」と考えを巡らせながら時計にチラチラ目をやってしまうのも、フィンケルストン博士に言わせてみれば、悪習慣。睡眠時間が短くなるにつれて不安が大きくなり、コルチゾールとアドレナリンが急増してしまうため、余計に寝つけなくなるそう。

そこでフィンケルストン博士は、見にくいところに携帯電話や時計を置いておくようアドバイス。ウィンター博士いわく、スマホのアラーム機能を使っている人は特にそうしたほうがいいそう。ブルーライトが光っていては余計に目が覚めてしまうし、通知がたまっているのを見ると反射的にチェックしてしまうことも。

「寝室は、できるだけ気が散らない場所にしましょう」とウィンター博士。「テレビは別の部屋に置き、スマホは見えないところに置いておきましょう。音が鳴ったり光ったりするものは全て排除しておくべきです」

※この記事は当初、アメリカ版ウィメンズヘルスに掲載されました。
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Elizabeth Millard Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images