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月経(生理)にまつわるさまざまな悩みは女性が毎月付き合っていくもの。けれど、中にはベストな付き合い方を見つけられていない人も少なくないのでは? そこで今回ウィメンズヘルスが成城松村クリニックの松村圭子先生とともにお届けするのは、生理にまつわる疑問をすっきり解消する「生理痛特集」。

今回取り上げるのは、意外と放置されがちな「生理痛」と「薬」での対処法について。痛みを効率的に和らげるためには、そもそも痛みが起きる原因と、薬の飲み方を心得ておく必要があるそう。これを機に生理中の薬との付き合い方について、理解を深めてみて。

まずは知っておこう。生理痛ってそもそもなんで起きるの?

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「生理痛の大きな要因は、生理の直前より子宮内膜から分泌されるホルモン、プロスタグランジンです」そう教えてくれたのは、女性の体に詳しい成城松村クリニックの松村先生。痛みの原因となる物質でもあるプロスタグランジンというホルモンは、私たちの子宮を収縮させて、経血を排出する役割を担っているそう。そして子宮が収縮するときに感じる痛みが、生理痛。「赤ちゃんを産むときも、私たちは子宮をぎゅうっと収縮させています。だからお産の痛みと似た感覚なのです」。さらに松村先生によると、プロスタグランジンは生理中の頭痛にも関与しているそう。

「生理痛の「重い」「軽い」も、プロスタグランジンの分泌量に個人差がある点が大きいです」と松村先生。「プロスタグランジンの分泌量が体質的に多い人は、生理痛がひどくなる傾向にあります。その他には、子宮が背中側に傾いている「子宮後屈」だと経血がスムーズに排出されにくく、余計にぎゅうっと子宮を収縮させないといけないので生理痛がひどくなる方が多いです」

ポイント:
・ 痛みの大きな原因は、プロスタグランジンというホルモン
・ プロスタグランジンが子宮を収縮させればさせるほど、痛みは増す
・ 生理痛がひどい人は、プロスタグランジンが多く分泌されていることが考えられる


飲むタイミングによって効き目は変わるの? 知っておきたい鎮痛剤を飲むタイミング

松村先生は痛みが発生してしまうと自分自身で軽減するのは難しいため、我慢するメリットはないと言う。それに我慢ばかりしていると、逆に痛みに過敏になってしまうそう。そこでまず覚えておきたいのは、飲むタイミング。

「痛みを効果的に抑えたいのなら、痛みがピークになる前に飲み始めるのがおすすめです。プロスタグランジンの分泌量が増えたタイミングで飲んでも、あまり効果が得られません」と松村先生はアドバイスしている。

また、頓服として飲むのではなく、安定した血中濃度を保てるように朝・昼・晩など決められた用法・用量で飲むのがベストだそう。例えば生理の2日目から痛みがひどくなると分かっているのなら、生理が始まった日から。生理初日から痛みに悩まされるタイプは、生理が来る少し前のタイミングから飲んでおくと効率的に痛みが和らげると、松村先生。

ポイント:
・痛みを抑えたいのなら、なるべく痛みがピークに達する前から「朝・昼・晩」などに決まった量を飲む


薬は市販のものでもいいの? それとも処方薬をもらうべき?

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市販薬で生理痛が治まるのであれば、市販薬で対処してもOK、と松村先生。「ただ生理痛がひどいと病気が潜んでいる可能性があるので、診察を受けた方が安心です」

「病気ではないのに生理痛がひどい場合は、強い子宮収縮が原因で起きる『機能性月経困難症』と診断され、痛み止めが処方されます。一方で病気が潜んでいる場合は子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患を含む『器質性月経困難症』と診断され、痛み止めなど対症療法のほか、根元に潜んでいる病気を治療していきます」

さらに、月を追うごとに生理痛がひどくなっていく場合は要注意と、松村先生はアドバイス。「生理を繰り返すごとにひどくなっていく場合は、子宮筋腫や子宮内膜症の可能性があります」。日常に支障をきたすほどの痛みが生じている場合は放置しておかず、必ず病院へ。そして、たとえ症状がなかったとしても、年に1回は検診を受けておく方が安心だそう。

ポイント:
・ 市販の鎮痛剤が効いている場合は、市販のもので対処でもOK
・ 市販の鎮痛剤が効かない場合は、病気が隠れている可能性も考えられるので、一度診察を受けるのが安心


検診はどれくらいの頻度で受けるべき?

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忙しいと受診を忘れることも、つい先延ばしにすることもある「定期検診」。でも、大切なパートナーのため、今後仕事でより活躍していくため、そして今後何十年生きていく上でも体に病気が潜んでいないかを確認しておくのが大切。
「誕生日ごとに『バースデー検診』と思って受けに行くのも一つの手です。自分が健康であることを確かめる『自分へのご褒美』として、婦人科で定期検診を受けることを習慣付けてみるといいでしょう」

ポイント:
・検診を年に1回の行事にする

重い生理痛で悩んでいる場合は放置せず、薬も視野に入れて。それでも痛みが治まらない場合は、ちゃんと医者に診てもらうことも大切。

次回は日頃からできる、生理痛を和らげる方法をご紹介。

■今回お話を伺ったのは……
松村圭子(まつむら・けいこ)先生
婦人科専門医。成城松村クリニック院長。日本産科婦人科学会専門医。大妻女子大学非常勤講師。西洋医学のほか、漢方薬、サプリメント、プラセンタ療法などを治療に取り入れている。雑誌、Web、テレビなどのメディアを通して女性ホルモンや生理、更年期についてわかりやすく説明し、ささいなことでも相談できる女医として人気。著書に『女30代からのなんだかわからない不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強食事術』(青春出版社)など。



Photo:Getty Images