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月経(生理)は、毎月付き合っていく女性のメカニズムだからこそ、少しでも楽に付き合っていく方法を身に付けておきたいところ。そこでウィメンズヘルスが4回にわたりお届けしているのが、生理ともっと上手に付き合っていくための方法。

今回は、知らずに自ら痛みを招かないようにできること、そしてそれでも痛みがひどい場合の対策法をご紹介。前回と同様、お話を聞いたのは成城松村クリニックの松村圭子先生。

血行不良は痛みを悪化させる理由の一つ。血行をよくして、冷えない体を作る

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ストレスや冷えは現代女性の間でよく耳にする悩み。そしてこの二つを理由に起こり得る「血行不良」が、生理痛の痛みを悪化させてしまう一つの原因に。

「血行不良になると、痛みの原因にもなるホルモンのプロスタグランジンがうまく排出されず体内に滞り、痛みが強まることもあります」そう教えてくれたのは、女性の体に詳しい成城松村クリニックの松村先生。「そのため、生理中に体を冷やして血行不良を自ら招いてしまうのは望ましくありません。また、ストレス過多は血管を収縮させてしまうので、ストレスをため込むことも血行不良の原因の一つとなります」

松村先生がお勧めする「血行をよくする方法」は、自分のやりやすい方法で日頃から体を温めること。例えば適度な運動や入浴。運動は自分の体に負担がかからない軽度なものから選ぶのがコツ。例えばヨガをストレス解消と感じているのであれば、それを続けるのがいいでしょうと松村先生。

「ただし、生理中は出血をしているので、貧血気味になったり、運動をすることで体調が悪くなったりする場合は無理をしないようにしましょう」

運動はストレスや冷えをケアする一つの方法。普段から体を動かす習慣を付けて血流をよくしておくと、心の悩みも冷えもダブルでアタックでき、この一連が生理痛の緩和にもつながるみたい。

ポイント: 
・ 冷えやストレスなどから起こり得る血行不良は、痛みを悪化させる要因
・ 冷えない体作りのために、適度な運動と入浴で血行をよくする

プロスタグランジンを抑える効果も。青魚に含まれる「EPA」を摂取

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食事面で松村先生がアドバイスするのは、青魚などに多く含まれるn-3系脂肪酸「EPA(エイコサペンタエン酸)」の摂取。EPAはさけ、いわし、さば、あじなどに多く含まれ、生理痛の原因物質となるプロスタグランジンを抑えてくれるそう。食事からの摂取が望ましいけれど、難しい場合はサプリメントで日頃から摂取しておくといいみたい。

ポイント:
・プロスタグランジンの生成を抑えるには、EPAの摂取が効能

あまりにも生理痛がひどい場合は、避妊器具の一つである「IUS(子宮内システム)」も一つの対処法

生理痛を和らげる方法の一つとしてあるのが、避妊器具「IUS」。インターネットの普及とともに認知度は上がってはいるものの、避妊方法の一つとしてIUSはまだまだ日本では認知度が低い、と松村先生。

IUSは子宮内に挿入することで避妊効果が得られる器具で、一般的な装着期間は5年とされている。「IUSはホルモンを持続的に放出させて子宮内膜を変化させます。こうして赤ちゃんが着床しにくい環境を作ってくれます。内膜を薄くするため、経血量が減る効果もあります」と松村先生。

IUSにより経血量が減るということは、通常のように経血を排出させるために子宮がぎゅうっと収縮する場面が減るということ。生理痛が和らぐのはそのため。「IUSは過多月経の改善にもなるので、生理がつらい人にはいいと思います」

付け始めて1〜2カ月ほどは、副作用として不正出血が続いたり、生理痛が一時つらくなったりすることもあるそう(*)。「ただこういった初期の症状は、一般的に月を重ねるごとに落ち着いてくるので、過度に心配する必要はありません。ただし心配な場合は、気軽にドクターに相談をしましょう」と松村先生。
*個人差があります

次に気になるのが、付け心地。「付け始めた頃は少し違和感があるかもしれませんが、慣れていくと違和感を感じることもなくなります」と松村先生は説明してくれた。「IUSからは、1センチほどの糸が腟内に出ているため、性行為中に男性が気になることもあるかもしれません。また、まれにIUSが子宮から外れてしまうこともありますが、これはあまり見かけないケースです」

以前は、出産をしたことがない人だと挿入が難しいとされていたIUS。「ですが、数年前から保険が適用されるようになり、子宮の内側に向かって発育する『粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)』などを持つ女性以外は基本的に装置する傾向になりました。ただし、子宮の入り口が狭い女性には適さないこともあります」と松村先生。IUSが気になる人は、まずは診察を受けることで装着が可能かを確認してみて。

ポイント:
・ あまりにも生理痛が重い場合は、子宮内に設置する避妊器具「IUS」も一つの対処法
・ IUSとは子宮内膜を変化させることで経血量を減らし、結果として痛みを和らげてくれる効果も
・ 挿入が難しいこともあるので、付けられるかどうかはドクターの診察で確認

血行不良を見直すことやEPAの摂取、そしてあまりにもひどい場合は避妊器具のIUSを試してみるのも生理痛を和らげる方法。自分の生活に合うことから、生理周期とうまく付き合う方法を見つけてみて。

次回は「無理なくできる、生理不順を整える方法」をご紹介。

■今回お話を伺ったのは……
松村圭子(まつむら・けいこ)先生
婦人科専門医。成城松村クリニック院長。日本産科婦人科学会専門医。大妻女子大学非常勤講師。西洋医学のほか、漢方薬、サプリメント、プラセンタ療法などを治療に取り入れている。雑誌、Web、テレビなどのメディアを通して女性ホルモンや生理、更年期についてわかりやすく説明し、ささいなことでも相談できる女医として人気。著書『女30代からのなんだかわからない不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強食事術』(青春出版社)など。