お酒で赤くなるのと遺伝子には深い関わりが!? 生まれ持った「酒豪度」を知ろう

03 January 2019

お酒で赤くなるのと遺伝子には深い関わりが!? 生まれ持った「酒豪度」を知ろう

飲み会の席で必ずといっていいほど見かけるのが、顔を真っ赤にして飲んでいる人。少し飲んだだけで顔が赤くなってしまうのは、実は遺伝子が深く関わっているよう。
その理由といわゆる「酒豪度」を表す3つのタイプを、書籍『最高の飲み方』の監修者である肝臓専門医の浅部伸一先生が教えてくれた。あなたはどれに当てはまる?


お酒の「強い、弱い」を示す「酵素」とは一体?

お酒を飲んで顔が赤くなるかならないかは、アルコールを代謝する際に発生する有害物質、アセトアルデヒドを分解する酵素「アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(以下ALDH2)」がどれだけ活発に働いてくれるかが大きく影響する、と肝臓専門医の浅部先生。

「ALDH2という酵素は、主に肝臓の中にあり、アセトアルデヒドを酢酸に変える役割を担っています。この酵素が活発に働く人は活性型で、有害なアセトアルデヒドの代謝能力が高いとされています。定期的に飲むことで酵素の働きが高まるのは不活性型、酵素がほぼ働かない人は失活型とみなされます」


あなたはどれ? タイプを診断してみよう

簡易的な診断で、自分がどれに当てはまるかを見てみよう。

●活性型の特徴(日本人全体の5割を占める)
・飲んでも顔は赤くならない
●不活性型の特徴(日本人全体の4割を占める)
・ 今は顔が赤くならないけれど、初めてお酒を飲み始めた頃は飲むとすぐ顔が赤くなった
・ しばらく飲んでいないと顔が赤くなる
●失活型の特徴(日本人全体の1割を占める)
・ ビールをコップ半分飲むだけで気持ち悪くなる

ちなみにお酒で顔が赤くなる人の多くは、アジア系の人種に見られるのだとか。「ほとんどの白人や黒人の方、ヨーロッパ系やアフリカ系の方は両親の両方が、アセトアルデヒドの分解能力の高い活性型であることが多いのです」と浅部先生。

「活性型同士の親から生まれた子供は当然ながら、活性型になります。つまりお酒に強い体質になるわけです」。一方日本では、アセトアルデヒドの分解力がかなり低下している「不活性型」と、ほとんど働かない「失活型」が合わせて人口の5割ほどを占めており、そのいずれかを引き継いでしまうと活性型にはなれないことから、日本人をはじめとするアジア系人種はお酒に弱いそう。


パッチテストでもチェック!

上記以外に、パッチテストで簡易的にチェックすることもできるそう。「この診断方法は、国立病院機構久里浜医療センターの樋口進先生が考案されたものです。ALDH2が存在する皮膚に、消毒用アルコールに浸した脱脂綿などを数分つけておくと、自分のタイプが分かるというものです」

消毒用アルコールを含んだパッチを7分間当てたときの反応は以下の通り。
●活性型
・皮膚は赤くならない
●中間型
・外した直後には赤くならないが、少しの時間(10分ほど)たつと赤くなってくる
●失活型
・ 外した直後に皮膚が赤くなっている
・ 注射をするとき、アルコール消毒をするとすぐに皮膚が赤くなるタイプ

「ただこれはあくまでも目安です」と浅部先生は指摘。「例えば不活性型の方でも、全く皮膚が赤くならない可能性もありますので、不活性型と活性型は見分けがつきにくいかもしれません。パッチテストで一番わかりやすいのは、すぐに赤くなる失活型でしょう。どうしても知りたい場合は、遺伝子検査で調べるのが一番です」


顔が赤くなるのはなぜ? 何を意味するの?

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不活性型の中では、飲めば飲むほど顔の赤みがなくなる人もいれば、定期的に飲んでいても失活型のように顔が赤くなる人もいるそう。そしてこの顔の赤みが示唆するのは、「お酒を飲んだときに害が出やすいかどうか」だと話す浅部先生。

「ALDH2という酵素の活性が足りていないということは、不快な症状を生むアセトアルデヒドをテンポよく分解できていないということです。すると血中のアセトアルデヒドの濃度が上がり、結果として顔が赤くなります。長い目で見ると、発がん性も考えられるでしょう」と浅部先生。

つまり飲酒によって作り出されるアセトアルデヒドの分解スピードが遅く、体内に長く滞在すればするほど、体に害を及ぼすリスクが高まりやすいということ。


不活性型は、飲み続けてお酒に強くなれば、健康リスクも減るの?

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タイプ診断で触れたように、飲むごとにお酒に強くなる(=赤みがなくなる傾向にある)のは、不活性型タイプ。不活性型は飲み続けることにより「悪さをするアセトアルデヒドを分解するALDH2の働きが若干高まるため、飲めば飲むほどお酒に強くなる傾向にあります」と浅部先生。

ただし、体内にはALDH2の他にもお酒を分解する酵素があるため、「飲んでいくうちに他の酵素が活発に働くようになり、お酒に強くなるということも考えられます。そのためALDH2の働きだけが活発になっているとは言い切れません」と浅部先生は解説。不活性型は飲み続けることで、いくら飲んでも赤くならない活性型と同じくらいの量を飲めるようになることもあるそう。

ここで気を付けたいのは、お酒に強くなる=お酒による病気のリスクが下がる、ではないということ。「もともと不活性型だった人がどれほどALDH2の活性が高まったかという点を調査することはとても難しいのです。活性が高まったことにより病気のリスクが下がったという研究結果は、まだ見たことがありません」

でもお酒に強くなり、アルコールを分解する力がつけば、「活性型の人くらいのリスクしかない可能性もあります」と浅部先生は分析している。「はっきりしていることでは、不活性型の人の方が活性型の人と比較して食道がんなど、お酒と結びつけられる病気にかかるリスクが高いということです。失活型はさらにそのリスクが高いでしょう。同じ量を飲んだとしても、がんになるリスクは遺伝子によって変わってくるということです。また、アセトアルデヒドだけではなく、アルコールそのものにもがんなどを増やすリスクがあることを忘れてはいけません」

ちなみに不活性型の人は少し飲むのをやめると、だんだんお酒に弱くなると浅部先生。「1日、2日飲まないだけでは変わりませんが、数週間ほど飲まない期間が続くとアセトアルデヒドの分解に必要な酵素が減るため、かなりお酒に弱くなるでしょう」と浅部先生は話している。


「確率」とはあくまで指針。けれど、特定の人については語れない

ここで浅部先生が強調する点は、上記3つのタイプによってお酒が害を及ぶ可能性が高い、低いというのはあくまでも指針(目安)でしかないという点。

研究結果や文献、ニュースなどに記される「病気に発展する確率」とは、往々にして何万人という人を調査する疫学調査をもとに出されると浅部先生は語る。「被験者たちの経過を見て、どのような病気が出たかを見ていきます。どういった行動を起こすグループの人が、どういったがんになりやすいのかを観察し、その危険性を割り出します。こういった調査から出た結果は、信用性が高いと考えます」

「ただ、この落とし穴は、『特定の人』に関してはわからないということです。大勢の結果をもとに出した確率でしかないので、『あるAさんがどうなのか』というところまでは正確には予測ができません。皆さんが知りたいのは、『私どうなの?』というところだと思いますが、健康に関して一人一人について語ることはなかなか難しいと感じています」

「例えばアルコールによって肝臓を壊しやすい方もいれば、そういった症状とは無縁の方もいます。ですが、医学的には大勢の調査結果をもとに『リスクが高まります』とお伝えするしかありません。そのため、やはり検診を受けて、異常な数値が出ていないかを確認するのが一番でしょう。とは言え異常な数値が出なければ絶対に大丈夫といった保証はありません。ただし確率として、害は出にくいでしょう」

たくさん飲めるから、とついお構いなしに飲んでしまう人も中にはいるはず。でもお酒は体にとって毒性の強いものであることには変わりないことを忘れないで。特に顔が赤くなりやすい人は、遺伝子から見てもお酒を多く飲める体質ではないため、飲み過ぎにはくれぐれも気を付けよう。

 

■お話を伺ったのは……
浅部伸一(あさべ・しんいち)先生
自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授。肝臓専門医。肝臓病学、ウイルス学を専門とし、現在はバイオ医薬品企業アッヴィ合同会社に所属している。好きな飲み物はワイン、日本酒、ビール。書籍『酒好き医師が教える 最高の飲み方 太らない、翌日に残らない、病気にならない』監修者。

Photo: Getty Images

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